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ヨーロッパ文化教養講座(「DOCあすへのカルテ」シーズン2(11)「前進」 鑑賞記)

2023/11/28
シーズン2も残り6話となった。伏線を回収しつつ、また新たな伏線を生み出すという、とても一回見ただけで全てを理解するのは困難なスピーディーな展開が続く。

今回の原題は、「Ragioni e conseguenze 原因と結果」。何を指しているかは正確にはわからないが、ダミアーノが前回の最後のシーンで、カルーソにロレンツォのカルテのコピーを渡したことの結果が今回直ぐに出てしまったことも「結果」の一つかなと思う。

1.救急搬送された患者 今回は2人
1)1人は本筋にはあまり関係がない若い女子学生の患者。原因不明の嘔吐を繰り返し、気分の回復には火傷を負うほどの熱いシャワーが必要である。今回は、カロリーナが原因を発見。医学部受験のためのテキストの内容を思い出したとのこと。カロリーナは、首席で卒業したことがわかった。

2)もう1人は、重要な中年女性の患者。この患者は、アニェーゼとダヴィデが里親になっているマヌエルの実の母親であることが判明。
(注:里親というのは、養子ではなく、両親がこどもを養えない理由がある場合に、一時的に他のカップルが預かる制度だということがわかった。)
マヌエルの母親の場合は、妊娠時に夫が急死し、自分も体調が悪いために、里親制度を使っていることがわかった。

コロナ渦にアンブロジャーノ総合病院の院長をしていたアニェーゼは仕事のために、マヌエルをダヴィデに任せきりになり、そのことで、ダヴィデから責められて今は険悪な状況になっている。心はダヴィデから離れて、アンドレアとの復縁間近の状況。

ここで、アンドレアとアニェーゼは、マヌエルの母親を助けることに必死になるが、これは患者のことより、患者が回復すればマヌエルが実の母親の元へ戻り、2人の復縁が叶うという「よこしまな」気持ちからだと自責の念を持っている。
エンリコとの話の中で、アニェーゼと復縁したい「アンドレア」という個人と、患者を治したい「DOC」という公人の立場の葛藤があるということを視聴者に伝えた。

結果は、アンドレア=DOCが、患者の体調不良の原因を発見し、マヌエルの母親は回復する。 予想に反し、この母親は自分よりアニェーゼにマヌエルを任せた方がマヌエルの将来の幸せにつながると感じたようで、退院後に世界一周のクルーズ船の乗員という仕事を選ぶことにして、マヌエルをアニェーゼに託す。ダヴィデもアニェーゼにわび、マヌエルとアニェーゼのわだかまりも取れて、アニェーゼは、「アンドレア」ではなく、今の家族を選択することになった。
アンドレアはエンリコに慰められる。「DOC」は勝ったが、「アンドレア」は負けたと言って落ち込む。

2.Canebluチームが隠している、ロレンツォの死の真相について
ロレンツォの死の真相は二重構造になっていて、表層は、ロレンツォが0号患者だったことを隠していること。これは、ロレンツォのカルテからアンドレアが抜き取りジュリアに渡しジュリアがダミアーノに写真を取られた、あのエリーザ?が書いた手書きのメモがそのことを証明する。
深層は、病床のロレンツォの依頼でカロリーナがロレンツォの酸素マスクを同室の年配女性に付けたことを、アンドレアが隠していること。

前回、ダミアーノがカルーソに渡した表層の証拠のメモの写メによって、カルーソは、アンドレアを病院から追い出すことに成功するかに見えた。
今回、カルーソのバックには、医療機器メーカーの幹部らしき人物がいて、医療機器の導入に反対していたアンドレアを追い出し、この医療機器を導入する見返り(たぶんリベート)を手にするという、「大人の」理由が存在することがわかる。

カルーソはダミアーノとの約束通り、ダミアーノの父親の裁判に大物医師の証人を立てて、父親を無罪放免とすることに成功する。
ダミアーノは、恋人になりそうだった、ジュリアを始め、すべてのCanebluチームから排斥される。ダミアーノは、実は、ミラノより前に始まっていたと思われる、ローマの病院の調査会の情報を得ていて、0号患者の糾明は意味がないことを知っていた。つまり、ロレンツォが0号患者であっても、全く問題がないことを知っていて、カルーソを騙したことがわかった。
ダミアーノはそのことをジュリアに説明するが、ジュリアは許してくれないようだ。

それでも、カルテのメモを抜き取る行為自体が問題があると、カルーソはアンドレアを責めるが、意外や意外チェチーリア・テデスキが、アンドレアをカルテ保管室で当日目撃したことを、調査官に報告せず、アンドレアの医長再任テストは続けられることになった。

チェチーリア・テデスキが、アンドレアからアニェーゼと別れたことを聞いたとき、表情が緩んだように見えたのが気になる。

3.ガブリエルとエリーザ、そしてリッカルドとアルバ
エリーザは、ガブリエルのパニック障害は、エチオピアの元婚約者の急死が原因だと思っており、自分に話せば良かったと優しくガブリエルに話す。
しかし、ガブリエルのパニック障害の1番の理由は、自分がコロナ陽性だと偽ったことなのだ。心理士のルチーアとの面談でもそのことを吐き出せずに苦しむ。

一方、アルバはリッカルドに「ガブリエルだけでなく、ルチーアに診てもらうべき人がいる。それは、仕事依存症のあなた!」という。リッカルドは、この言葉に過剰反応し、ルチーアへ怒鳴り込む。

その話を聞いていたガブリエルは、再度ルチーアに話そうとするが、パニック障害が起きる。
ガブリエルのパニック障害の原因を察していたアンドレアはガブリエルを慰め、2人は抱き合い泣きじゃくる。アンドレアは、ガブリエルに「前進」するよう諭す。

4.今後の展開、見所など

・カルーソは、医療機器メーカー?から裏金をもらっていることは、確実だと思われ、アンドレアを追い出さないと、自分の立場も無くなると追い詰められている。次回以降、アンドレアを追い出す新たな作戦をどう進めるかが見所。
・チェチーリア・テデスキは、今回、カルーソに味方しなかったことで、カルーソの利害の外で自分の判断で行動していることがわかった。
チェチーリアの最後の不気味な笑み?は、アンドレアに対する愛情なのか、それとも、他に理由があるのか? (たとえば、アニェーゼに対する私憤?)
・ガブリエルは、Caneblueチーム(特にエリーザ)に自分が陽性と偽り現場から逃げ出したことを告白することになるだろう。それによって、エリーザがどう反応し行動するかが見所。
・リッカルドは仕事依存症を認めていないが、彼を休ませるために、アルバは、アンドレアや他のCaneblueチームメンバーの助けを得ることになるだろう。それによって、今はCaneblueチーム外だった、アルバがCaneblueチームに加入できれば良いなと思う。
・ダミアーノは、ジュリアの信頼をどうやって取り戻すのだろう。
カルーソを騙したところをみても、抜け目のない人物なので、アンドレアを嵌めようとするカルーソを阻止して、ジュリアの信頼を取り戻すということも考えられる。
・今回心理士のルチーアがかなり活躍したが、彼女のバックグラウンドもどこかのエピソードで描かれるだろうと思う。
追:お腹を押さえるシーンがあったので、次回の患者の1人とか?

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