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ヨーロッパ文化教養講座(2023年7月22日 村治佳織+牛田智大 ダブル・リサイタル 鑑賞記)

2023/07/22
村治さんと牛田君のダブル・リサイタルを鑑賞した。
「ダブル・リサイタル」なのは、二人で一つのリサイタルを作り上げる(デュオ・リサイタル)ではなく、それぞれソロのリサイタル二つを合わせているから。

日時:2023年7月22日 開場:15時15分 開演:16時
会場:宝山ホール 観客は約7割 前から2列目で鑑賞

プログラム:

第1部 牛田智大(ピアノ)
1.シューベルト:アレグレット ハ短調 D 915
2.ブラームス:ピアノ・ソナタ 第3番へ短調 Op.5
3.ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
アンコール:無し

第2部 村治佳織
4.ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
5.J.レノン&P.マッカ一トニ一:ミッシェル、イエスタデイ
6.タレガ:アルハンブラの思い出
7.ブロードウェイ:舞踏礼賛
8.ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
9.モリコ一ネ:ガブリエルのオ一ボエ
10.村治佳織:エタ一ナル・ファンタジア
11.久石譲:人生のメリ一ゴランド
アンコール:
12.禁じられた遊び
13.ディア・ハンター

コメントと感想:

1)牛田君は、2021年のショパンコンクールでまさかの2次予選敗退があった。 当日YAMAHAを使った参加者が全員3次予選に進めなかったため、敗退した原因の一つがピアノによるものではないかという噂が流れていた。
今回は、(多分)宝山ホール備え付けの、スタインウェイを使用した。

2)1のシューベルトは、ゆったりとした短い曲。泣かせるようなメロディックな、左手と右手のアンサンブルをもっと聴きたいなと思ったころにスッと終わってしまう。
このような静かで時々光りを発するような、超絶技巧でない曲の方が、一流プロの素晴らしさを発揮できると、最近しみじみと思う。

牛田君は、そのまま、2のブラームスの大曲を弾き始める。
今回の演奏会の予習として、30年くらい前に購入して「タンスの肥やし」になっていた、ラドゥ・ルプー氏(残念ながら昨年死去)のCDを引っ張り出して、何回か聴いた。
この曲は、ダイナミックなフォルテッシモから、5楽章の最後までいろいろな要素が入っている名曲だなと(何回か聴いてやっと)思った。

ブラームスのピアノ・ソナタは、作品1、2、5の3曲だけだそうで、若い時に書かれたもの。牛田君の演奏は、若さに溢れる元気な演奏で、ブラームスの作曲時点の気持ちを感じて演奏したのかもしれない。
3楽章のスケルツォの出だしにミスがあった(ように聞こえた)のが惜しまれる。

3は、一度拍手を受け、舞台袖に引き上げてから再登場して弾いた。(これはアンコールが無いのかな? と思ったらそのとおりだった)
さすがに、牛田君はショパンの名曲の演奏は外さないと思った。
特にポロネーズ部に入ってからは、急激に盛り上がり、終曲ではフライングの拍手喝采だった。

3)休憩後、ピアノがどけられ、椅子と左足を置く台、それに、マイクと小さなアンプが備えれた。
クラシックギターの音量では、1500人のホールでは、アンプが必要なのは仕方のないことだと思う。

村治佳織さんのリサイタルではいつも、衣装に注目せざるを得ないが、今回は、花柄のワンピースに、原色の緑色の(厚底の太いヒールの)パンプス?というお姿。
牛田君と違って、数曲づつマイクで曲の説明をしたり、旅行が好きなこと、鹿児島は2年ぶりだとのこと、昨日は霧島神宮に行ったことなどのトークも入れながら演奏を進めていった。

牛田君が、現在ポーランドに在住していることも、村治さんから聞いた。
2025年のショパンコンクールで是非リベンジを果たして欲しいと思った。

アンコールが2曲あったあと、カーテンコールには牛田君も再登場した。
スタイル(も顔も)が良いのはわかるが、もう少し、筋肉をつけた方が、強音の打鍵に余裕がでるのではないかと思った。

4)余談:
牛田君の3の演奏中に、小生の右隣の席の男性の携帯電話に着信があった。
1月の森麻季さんの時もあったことを思い出した。
「電源スイッチを切る」という単純な事ができない人がいるんだなあと自分が恥ずかしくなった。

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