2024年1月31日 「本来の生態系」とは 1 SciKotz 2024年2月6日 16:54 【ちょい長め】これは時々聞きますし、大事な問いだと思うのでこの機会に私見と参考資料を。「本来の」というのは確かにフワッとしていて少しわかりにくかったり、「どこまでさかのぼれば本来なのか」とか「自然は移ろうから本来なんてあるのか」とか、そういう意見や疑問を聞いたことがあります。 https://t.co/PsbciW6hjL— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 純粋な疑問の場合もあれば、侵略的外来種対策や生態系再生の取り組みを揶揄するような文脈もありました。生態系の劣化の要因や、再生のメリットはこの辺を参考に。侵略的外来種はもちろんわかりやすいですが、(化学的な)汚染とか、(物理的な)土地改変とか、いろいろ。https://t.co/sXoascFXe3— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 それで、これは調べるとちゃんといろいろ参考になる資料はあります。今回の法案でいうところの「本来」と同一化はわかりませんが。— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 まずなぜ生態系の再生が重要なのかという背景としては、現在がそういう時期だから、という点を理解しておくことも大事です。昆明モントリオール枠組や、「国連生態系再生の10年(2021-2030)」です。ポッと法律が出てきたわけではなく、背景があるわけです。https://t.co/665gFU7363— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 再生をどう進めていくべきかというガイドブックもあって、その中では「測定可能な目標」の重要性にも触れられています。なので、「本来の」というのは確かにフワッとしているので、どんな姿を描くのか、何を「本来」とするのかはもう少しわかった方がいいのかもしれません。https://t.co/ge294KLjkR— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 こちら、Nature Publishing Groupによる教育に役立つ情報サイトでは、ある場所を再生する際には「natural」である状態を決めましょうというようなことが書いてあり、具体的には人が攪乱する前とか、農業などが発展してくる以前とかを基準にすることが多いなどとあります。https://t.co/QZ2snCx65G— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 これでもちょっと一般論過ぎるかなあとも思うのですが、日本語でも参考になりそうなものを。例えば環境省の出している手引はわかりやすいです。「自然再生の目標の設定にあたっては、地域における客観的かつ科学的なデータを基礎とし、地域の自然環境の変遷や課題の分析を踏まえて検討を行いましょう。— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 例えば、「過去の特定の時期の状況を目標とする」や「地域の特徴的な種や生態系の状態に着目して目標を設定する」などの方法が考えられます。」「過去の特定の時期の自然の状態を目標とする場合には、当時の状況を把握できる資料(調査結果、文献、写真等)を整理する以外に、時には古文書や— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 地域の長老へのヒアリング等を通じて明らかにすることも効果的です。」https://t.co/INBZmMSblB— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 また、リバーフロント研究所の手引もよいと思います。特にこちらのページでDLできる資料のうちpptのやつがわかりやすいです。そこに「代表区間」というものを設定していて、河川環境が同一の河川環境区分の中で典型的、かつ相対的に多様性が高い場→https://t.co/gsgAwN6xhn— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 河川環境を評価・改善する際の目安・手本(リファレンス)とする」とあります。要は同じ流域の中にあるよさげな場所を仮に「本来の姿」と置いて、そこを目指すみたいな考え方ですね。(あれ?URLをうまく切り取りできなかった…)— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 資料を探す中で、たまたま見つけたカナダのブリティッシュ・コロンビア州の資料に行き当たりました。それによると、「かつての状態に復元する」というのは、昔の調査とか写真とか、科学的な文献、過去の攪乱などを踏まえて描く将来の姿へと再構築していくことのようです。https://t.co/oCGkJzs5Ut— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 なのでいつもながらざっくりまとめると、「本来の姿」というのはなかなかそれだけでは想像しにくいけど、①昔の資料などから再現を試みる、②近くにある「見本」を探す、ことによってひとまず代替できると考えられます。— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 もちろん、すべてのことが過去の資料に残っているわけでもないし、近くの「見本」と再生しようとする場所の条件が全く同じ訳ではありませんから、順応的に管理する必要があると思います。生態系の何を重視して再生するのかによっても変わってくるかと思います。間違ってたらごめんなさい。— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 (誤字ないと思ったらやっぱりしてた)— 小坪 遊 Yu Kotsubo(めったに米を持ち歩かない人) (@SciKotz) January 31, 2024 ダウンロード copy 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート