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オグロシギが稲籾を食べる?

シギ・チドリ類はゴカイや甲殻類、貝類などの底生無脊椎動物を食べているとされます。しかし、2008年にヒメハマシギがバイオフィルムを食べていることが発見されました。さらに、2012年の論文では、トウネン、ハマシギも同様にバイオフィルムを食べ、食物中のバイオフィルムへの依存度は最大で70%にも達するそうです。

オグロシギの全長は38cm(体重は280g)あり、ヒメハマシギ全長16cm、ハマシギ21cm、トウネン15cmと比べると大きい。

ヨーロッパで繁殖するオグロシギは西アフリカで越冬し、渡りの途中にポルトガルの水田で餌を採る。

調査は2005年12月から2006年2月までと2006年12月から2007年2月まで、リスボン近くのテージョ川とサド川の河口周辺のいくつかの水田で行われた。水田の土壌を採取し、餌となる生物を同定するとともに、オグロシギの糞を採取して食物残渣を調べた。


生息場所選択

水田は管理状態(切り株、耕耘、休耕)と水位(湛水、溝に水、湿田、乾田)とで分類した。

観察された205の群れ(1年目の冬92、2年目の冬113)のうち、ほとんどが耕耘地と湛水地で観察された。休耕地は二次的に利用され、切り株を避けた。湛水田に多く見られた。

79個の糞便サンプルのうち58個に顕著な食物残渣が含まれていた。米粒は78%のサンプルから見つかり、最も一般的な食物であった。その他、腹足類、乏毛類、ダンゴムシ、アメリカザリガニProcambarus clarkiiが見つかったが、いずれもサンプルの15%未満にしか含まれていなかった。全体として、米粒は同定された食物の94%を占めた。

稲籾は、管理形態については、耕耘地で最も多く、次いで切り株地、最後に休耕地であった。水位との関係では、湛水した圃場が圧倒的にイネ穀粒の密度が高かった。事後Tukey検定の結果、湛水と耕耘の両方を行った圃場では、稲籾の量が他のどの圃場よりも有意に多かった。

これらの結果は、観察された生息地の選択が、停泊中のオグロシギの主食である稲籾の豊富さに関連している可能性を示唆している。この仮説を検討するため、オグロシギが採餌している水田と、そこから500m以内のオグロシギが観察されていない水田で、8回にわたり対の土壌試料を採取した。その結果、オグロシギが採餌している田んぼでは、稲の量が有意に多いことがわかった(Wilcoxon matched pairs test, z = 2.52, P < 0.05, n = 8)

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