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16和音のナイアガラ
酒を飲んでうっかりそのまま寝たのですっかり冷えきった身体をちいさな震えが感覚とおく断続する朝、外に出てみると太陽が芝生を白く発光させて、しかし空気は漠として乾き、澄んでよく光を通すので、白い発光の印象だけがつよく、まわりの木々や遊ぶひとびと、高層の建物、その他事物の展開は薄膜を通したようにおぼろで、遠くある。やがて「揃っている」というあいまいにつかめない感覚がわたしの腹の底にじりじりと滲み出してきて、わたしのうちに「存在の幸福」という手ごたえが沸く。ちかくでざふざふ、と音がして、それは六羽ほどの鳩たちが折り重なり積もった落ち葉の上を踏みしめてあるく音で、鳩の重さというものをはじめて実感した、とおもった。
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