星読みのための基本概念(1)


これからしばらく、定期的に占星術の基本になる考え方やルールについて書くことにした。

すでに占星術については相当なボリュームの情報があり、優れたテキストや資料も世に出回っていて個人向け講座も(首都圏中心ではあるが)充実している現状では、本気で学びたい人には多くの機会が提供されていると思う。

私が書こうとしているのはかなりライトな内容で、できるだけシンプルに“こういう見方をしてみたらわかりやすいかも”と思うところをまとめたいと考えている。

とりあえずいくつか書いてみて、そのあとどのような話題を取り上げるかを改めて考えることにしたい。


占星術はざっくり言うと天体の運行や配置から個人の持つ個性や特徴、あるいは物事のタイミングや流れを読んでいくというもので、さまざまなやり方や考え方がある。それは“何を中心にして天体を見るか”と“どのような情報を知りたいのか”に基づいて決められていく。

そしてどのやり方を選ぶにしても、星を読むにはベースとなる概念がいくつかある。膨大な情報や経験の蓄積から成り立っている占星術ではあるが、基本的な考え方を押さえておけばそれほど難しいものではなくなるのではないかと私は思う。


さて、星を読む上で第一の前提となる概念は“シンクロニシティー(共時性)”である。 個人の運勢などを調べる時にはまず10天体の配置を見ていくが、天体そのものと個人の特徴やライフイベントを結びつけるのが共時性の概念なのである。

シンクロニシティーというと、例えばある人のことがふと頭に浮かんだらその人から連絡が来たというように、イメージや思考が現実の現象として現れることというニュアンスで受け止められることが多い気がするが、本来は、ある現象や“形あるもの”が個人にとって特別に意味あるものとなる時、その人の内なる状態(精神とか思考のような見えない動き)と目の前の出来事との間に共時性が起きていると言えるのである。

占星術においてはこの概念を持ち出さなくても星を一通り読むことはできるけれども、それがないと例えば同じ誕生日、同じ時間にこの世に生を受けた人の性格特性や運勢は全く同じという捉え方になってしまう。実際には決して同じとは限らないので、なぜそうなのかの答えを探るためのひとつの手がかりとして、共時性という概念が必要になってくるのである。

これについては個人的な実例を紹介して締めとしたい。私は高校時代に全く同じ誕生日の人と同じクラスだったことがあった。私の誕生日だと牡羊座で水星と木星がコンジャンクションになっているのだが、コミュニケーションや学習を表す水星と、成長拡大の木星とのアスペクトは、”得意なことや伸ばしていきたい強み“という観点から見るとクラスメートにとっては“雑学的知識の豊富さ”として、そして私自身には“語学を幅広く習得する力”として表現されていたように思う。

私個人の誕生図ではこの二つの天体が3ハウスに入っていて木星が11ハウスを支配しており外国語習得のための環境に恵まれた点は大きかったと思うが、仮に同じ誕生日で同じ時間に生まれた人であっても必ずしもこのアスペクトがあるから語学が得意になるとは限らないわけで、ある人はあちこち旅行に出かけていろんな人と出会ってその記録をまとめて出版するかもしれないし、別の人はとりあえず知りたい事を学んでそれを大勢に教えるのが得意という形で表れるかもしれない。それらは個人が人生の初期に何に興味を持ったかを含め、過去の経験と水星木星の様々な象意を付き合わせてその中から答えを導き出していくのである。

ところで牡羊座の水星木星だと、早口だとか待てずに他人の話に割って入りやすいとか、話がまとまらなくてあちこち拡散しやすいという共通の特徴は確かにあるので、そこだけを見たいのであれば別に共時性を持ち出さなくても話はできるのだが、どうしてもステレオタイプな読みになってしまうので、それに抵抗を感じるようであれば、共時性という考え方を頭のどこかに持っておくのは助けになると思う。

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