2019春分図について(前編)


お久しぶりです。

このところ仕事がかなり重圧になっており気力体力を使い果たした状態だったので、日常のルーティンをこなすのにいっぱいいっぱいでなかなか書き物には手がでない状況ではあった。しかしそういうほとんど余裕がない状態であっても幸いだったのは、自宅のネット環境がずいぶん整備されたおかげで現地に出向かずしてzoomなどのメディアを介して会うべき人に会い学ぶべき事はしっかり学べる機会はあったということで、本気でやりたいなら工夫次第でどうにかなるものだとしみじみ感じている。

今後は情報発信の仕方を少しずつ変えようと考えており、文字だけではなくいずれは音声での提供も視野に入れている。一度に変えるのは諸事情で難しいので、テストを何回かやってみる方向で地道に取り組んでいこうと思う。


さて、今年の春分図についてだが本当に読むのが難しかった。占星術を学ぶ上で避けては通れない関門として”土星の解釈の熟達”があるのだが、今年は冥王星土星の合という半端ない組み合わせが春分図のMC付近に鎮座しており、この読み方の違いがそれぞれの術者による読みの違いに明確に表れているのである。また今年はリロケーションという方法も使わないと全体像がなかなか見えづらい、いつもとは全く状況の違う春分図なのである。


私より遙かに熟練した占星術師であっても読みが人によってかなり違うので、私のように一人前認定をようやく受けられたばかりの身ではできることは限られているのは承知で、今年はスタンダードな読みの他にややスピリチュアルな視点から見た春分図と、2本立てにすることにした。どちらがいいというのはないので、どちらが自分にとって読みやすいかわかりやすいかでご判断いただければ幸いである。


今年の春分図のうち、最重要ポイントは次の3つである。

1)春分と天秤座の満月が同日(19年ぶり)

2)MC付近の山羊座土星冥王星の合と、牡牛座火星、乙女座月と地のエレメントに見られる緩いグランドトライン

3)逆行中魚座水星に対するアスペクトの多さ

東京にロケーションを取るとアセンダントは牡羊座28度で天王星が上昇し火星も一室にあるのだが、牡牛座サインがインターセプトになっており火星が春分図全体の鍵は握るもののなかなかすんなりと出られない配置になっている。また太陽もアスペクトが少なく12室という目立たない場所にあるのが今年の特徴である。


これらを踏まえて今年の予想をいくつかに分けて記していく。


①土星冥王星がもたらすもの


 土星冥王星の合は今年末から来年にかけてピークを迎える。この2天体の組み合わせが”極度の貧困”や”過剰懲罰、締め付け”という予想に繋がるのは、土星のネガティブな面が冥王星の存在で極まるからと言えるだろう。これらは全世界的な現象として現れてしまっており個人ではどうにもなるものではないと考えると気が滅入ってしまうが、冥王星が第三デークを運行中で事後処理の段階に来ているという見方をするなら、それらの社会問題が根本的な解決に到るには長い時間が必要であっても草の根レベルでの取り組みはすでに始まっているわけで、当面は目の前のことをどうやって乗り切っていくのかに知恵を絞ることになるのではないかと思う。

 冥王星はいわゆる変容をもたらす星であり、死と再生の象徴でもある。土星が規律と努力によって長年維持してきたものは冥王星によってすでに変わってしまった、後はどう作りかえていくかだけだと言う予想もある。昨年からの流れで言うと、土星に関わる事柄でとっくに終わってしまったものや立ちゆかなくなってしまっているにも関わらず、今まで隠されていたものが今年は次々と表に出てくる可能性はあって、そうなれば現実の社会制度や組織そのものは今まで通りではいられなくなるかもしれないが、それはむしろ力の一極集中から分散へという流れを長期的に生むきっかけになる可能性はあるように思う。(実際その兆しはすでにあちこちに出てきている)これについては”長期的視野に立った自治と分離の始まり”というキーワードを挙げておきたいと思う。


 またこの2つの天体が水星とも調和の関係にあるのが今年の春分図だが、水星を報道全般と捉えるなら過度の規制がかかっているのが今の状態と読むのは可能である。ところが水星は海王星の合もあり木星と長期で緩いスクエアを組んでいることもあって、フェイクの介入や過剰に拡散した情報が途中で(伝言ゲーム効果によって)元情報とは著しくかけ離れたものとなるリスクのほうが問題としては深刻で、圧力が極まりある一線を越えたところで逆に秘密として保持されてきたものが漏れ出したり、衝撃的なスキャンダルという形で現れる可能性にも注目してよいかと思う。


②地のグランドトラインの行方


 鍵は乙女座の月が握っている、地の三角形である。天秤座満月は牡羊座ー天秤座0度でその時間帯の天体図では満月は4-10ハウスに位置する。その満月直前の春分図では月は6ハウスにあり、1,6,10ハウスにまたがる三角形なのである。天体の組み合わせだけをみると”安定維持のための最大の粘り強さと底力”を表すのだが、度数からサビアンを含めると”誰がなんと言おうと決して気持ちは変わらない極めて強固な決意”と読むこともできる。手に入れるべきものについて絶対に妥協しない姿勢でもあり、それが労働に関わる領域での交渉事や環境改善に向けられる可能性はあると思う。ぎりぎりでこれ以上失うものがないからこそ、本音で臨めることもあるかもしれない。また個人が社会やコミュニティーに対してできる貢献が限度を超えることで、何らかの見切りをつけるタイミングであるとも言えるかもしれない。満月はそれがまず転職や移動という環境の変化から始まる可能性を示しているとも受け取れる。


 また地のエレメントの三角形は金融に関わる区切りを表す可能性もあると思う。興味のある方向けだが、理論的には7月と12月前後1ヶ月が今年の山場であろうと思う。天王星牡牛座入りで7年間かけて取り組むべきテーマが今年明らかになるだろうし、とにかくお金に関する話題の絶えない一年になるような気がする。また乙女座月は個人のお金の管理に関する一年の動向を示すとも考えられる。


③12ハウスの太陽と同日の天秤座満月が示すこと


 今年の春分については「宇宙元旦」という表現をする流れもあって、時代の移り変わりの特別な始まりの年という見方をする方々もおられる。今年の春分図の評価は肯定的か厳しいかで極端であり、特に後者についてはただ事でない事態もあり得ると予想する向きもある。実は結果やイベント重視で予想しようとすると、山羊座に土星冥王星というラスボス的存在があるのでどうしてもそうなってしまうのは十分理解できるのである。そんな春分図ではあるが、やはりメインは太陽である。12ハウスだからといってひっそり輝いて終わり、な訳はない。宇宙元旦という言葉は私は使わないが、確かにはじまりの始まりであるのは確かで、2021年のグレートコンジャンクション(木星土星の合、山羊座29度〜水瓶座0度で起きる)に向けた改革は今年の春から本格化するのである。


 太陽のアスペクトが少ない(というよりメジャーなアスペクトがほとんどない)のは、ある意味しがらみの少なさとも言えるだろう。ただそれは与えられた自由ではなく自分で勝ち取ったものというのが私の読みである。


 山羊座の土星冥王星は強権発動という意味もあり、とりわけ昨年末からはいわゆる同調圧力や言われたとおりに従うべきという強制力に対する不満や怒りが形を変えながら噴出し続けている状況が度々起きていて、それが社会悪に対する過度の懲罰的姿勢を維持し続ける原動力になっているという見方もあるのだが、今年1月の山羊座日食→獅子座月食を境に状況は大きく変わりつつあるようで、春分図を見て真っ先に感じたのが”盲目的に従う時代はもう過ぎてしまったのでは”という事であった。


 要はピラミッド型の、あるいはトップダウン式の明確な指令系統を持つ組織の最重要ラインが機能しなくなるとどうなるのか、という事なのである。権力が一人歩きし無理が通り、それに個人が仕方なく合わせる形で成り立ってきた構図があるとするなら、個人が合わせるのをやめてしまえば自然と距離が開き離れてしまうのはやむを得ないだろう。乙女座の月は、自分自身の決めた通りに生きるしかなくなったことの象徴でもある。そのようなことを誰に告げる事もなく個人の心の中で静かに決意(表明)してこそ物事は大きく動き始めるのである。世の中がどんなに荒れた状態であっても、個人が個人である事をやめない限りはいつでも立て直すことは可能である。それを象徴するような春分図であり、直後の満月は決めたのなら前に進むしかないよ、という事なのであろうと思う。




では続きは後編で。



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