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ちいさなジャム工房ができるまで(1)ジャム嫌いだった私が

ジャム作りを仕事にするまでの話を、何回かに分けて書いてみようと思います。

私がジャムを作り始めたきっかけは、ちいさな銅鍋を手に入れたことでした。

料理やお菓子作りは好きなので、果物が余った時などに琺瑯の鍋で炊くことはありましたが、自家用にすぐ食べ切れる分だけ。
そもそも、私はジャムが苦手で、子どもの頃は食べられなかったのです。給食のパンについてくるジャムは毎回残していたし、いちごアイスクリームに入っているジャムみたいな部分もきらい。その頃はレーズンとかオレンジピールとかのドライフルーツも苦手だったので、皮がザクザク入っているマーマレードも、やっぱり苦手でした。

なにが苦手だったのか考えてみると、生の果物にはある香りや酸味がないのと、ベタっとした食感ではないかと思います。あと、加熱された果物の香りが、あまり好きではなかったんですね。ドライフルーツが苦手だったのも同じ理由です。

果物は、大好きだったんです。とくに、桃とかメロンとか水分たっぷりのもの(これらは、ドライフルーツにすることはまずないですよね)
だから、生の果物そのものみたいなジャムがあったらきっと好きなのに…って、思っていました。だってなんだか、ジャムって瓶も素敵だったりして、女子っぽくて可愛いくて、買いたいなぁ食べたいなぁとは思っていたんですよ。

それなら、自分で好きなように作ればいいんじゃない?ってことになって。私、食いしん坊なので、おいしいものを食べるためなら、たいていのことは労を厭わない、のです。

ジャムとはなにか、調べたり教えてもらったり、作ったり食べたり、その結果わかったことは「私は、短時間でサッと煮たジャムが好き」ということ。世の中には、いろんなタイプのジャムがあるんだということも知りました。ジャム作りを学ぶ機会も、ありました。

そのために、どうしても必要だったのが銅鍋でした。

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上が広がった洗面器みたいな形の、ジャムを煮るための銅鍋です。銅は、ステンレスやホウロウに比べて熱伝導率が高いので、果物にすばやく火を通すことができるのです。そして上が広がっているので、水分の蒸発が早く、短時間の加熱でジャムを仕上げることができます。

この銅鍋を手に入れて以来、どんどん果物をジャムにしたくなりました。農協直売所でもスーパーマーケットでも道の駅でも、気になる果物を見かけると、すぐ買ってきてジャムにします。冷蔵庫にジャムの瓶がどんどん増えていきました。

我が家の朝食献立は、毎朝おなじ。パンと紅茶と卵料理とヨーグルトとフルーツです。ヨーグルトにはジャムか蜂蜜をかけます。パンにバターとジャムをつけることもあります。おかげで、私の煮たジャムはどんどん消費されていきましたが、それでもおいつかないくらい増えます。

そこで、空き瓶の再利用はやめ、専用のジャム瓶を買って常温で保存できるように詰め方を替えました。ちゃんとラベルも貼って(その頃は手書きでした)友人にプレゼントするようになりました。もともとお菓子やパンを作るのが好きで、よくプレゼントもしていたので、それがジャムに替わっただけです。

少し前に配偶者が転勤になり、私も月の半分以上を秋田で過ごすようになっていました。その頃は、私たち、秋田と横浜を自由に行ったり来たりできたのです。月に何度か、友人とごはんを食べる機会もありました。それが、2020年の春以降どうなったか、皆さんご承知のことと思います。

(2)に続く。

https://note.com/schneehoppli/n/n3bbd0cd907be

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