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誰かの夢にならなくちゃ、な話

(インスタの親しい友達向けのストーリーズと、すでに削除済みのXに載せた画像内の文章に加筆修正版です)

2024年6月4日火曜日の話。

美味しい曖昧の1年ぶり2回目のZepp Shinjukuワンマンライブ「曖昧なワンマン7」を観てきた。

同じ会場で観るライブは、如実にこの1年のメンバーがライブや活動を通して積み重ねてきたものが形として、パフォーマンスとして見えるものになるだろうな、という気持ちで、随分前から期待を膨らませ続けて楽しみにしてきたライブだった。

ライブ開催3日前にはファンを巻き込んで昨年のZepp ShinjukuワンマンライブのYouTubeの同時視聴会という企画もあり(Xでトレンド入りしてたようで、だいぶ盛り上がってたみたい)、それもあり否応なしに期待値は上がる一方。
去年のライブのラストに披露した『Curtain call』は個人的にとても歌詞が好きな曲なので、同時視聴会で見ても胸に込み上げてくるものがあった。

というわけで、そんな期待いっぱい詰め込みまくった状態で迎えた当日。
開演18:30。
客電が落ち、メンバーが袖から出てきて始まったM1は『Curtain call』。
バックのLEDには昨年のワンマンの映像を流すという演出。

ど頭から完全にやられた。
ねむりさんがMCで言っていた。

「去年の続きではなく、去年を超えるために来ました!」

そのMCの通り、去年のあの日を超えてやるんだというメンバー・スタッフの気概をとても強く感じて、初っ端から目頭が熱くなった。

M2.サプリメ
M3.あまあま
M4.ユーグレナはわかんない
M5.メがンでドがクで
M6.幽体 whisper
M7.さめないワナビー

基本的に曖昧の曲はどの曲もそれぞれ強さがあって甘め〜激カラまで楽曲の幅の多さこそ大きな魅力。
2回目のZeppワンマンでは、普段のライブでも特に盛り上がる曲を序盤から畳み掛けてくる。

個人的には初ライブで曖昧の音楽性にハマった初期のキラーチューンとも言えるであろう『サプリメ』をM2に持って来れるあたり、曖昧がこのメンバーになってからここまで、いかにライブで鍛えられてきたか、『サプリメ』以外でも戦える今の自分たちを見ろ!と言わんばかりの強気の姿勢を感じた。
『あまあま』では早速ファンに声出し煽りコールをして、会場のボルテージをどんどんあげていく。
と思いきや、『ユーグレナ〜』ではスクリーンにMVを映し出すことで曖昧の「可愛い」の側面を全面に押し出していく。
こういう変幻自在さは活動やライブを重ねるごとに深まっていってるように感じる。


M5『メがンでドがクで』は曲中でいろんなジャンルのアレンジを織り込み各メンバーの声の魅力の見せ所を、M6『幽体 whisper 』ではイントロやサビの印象的な振り付けをファンも一緒に踊り、会場の一体感はさらに上がっていく。
個人的にはうずめさんの間奏前の雄叫びがライブを重ねる度に激しくなっていく感じが否応なしにテンションが上がる。
M7『さめないワナビー』では、ステージから降りた彼女たちの素顔が少し垣間見えるような世界観を可愛らしいメロディーとアレンジで見せてくれる。

そして、M8。
今までもライブでも披露されてきて、今回のアルバムで待望の音源化を果たした『「詰」と「昧」』。

歌詞を背面LEDにシンプルに出す演出がより5人の歌声を引き立てる。
曖昧の楽曲の歌詞の良さも同時に引き立てる演出となっているのも印象的だった。

曖昧の歌詞の物語に出てくるメインキャスト(という言い方が正しいのかな)は、どの曲でもどこか自分に自信がなかったり、自分自身の存在価値を探していて、何者かになりたかったり、なれていない今の自分を憂いている描写が少なくない。普段隠しているような心の中を誰かにわかって欲しいような、誰にもわかってもらえなくても構わないようなまさに曖昧な感情を表現しているように思う。

『「詰」と「昧」』では、救いを求めてるのは、何者かになれなかった今の自分。楽曲の中で歌われているのは恋愛におけるある一夜の分岐点への憂いのようだけど、それは救いを得たい自分の感情のほんの一欠片を象徴的にしただけで、そこに至った自分自身への憂いを歌っているように感じた。

そして、間奏のねむりさんのセリフがとても印象的な曲であることは間違いない。

M8まで終わり、ここでスクリーンには巻き戻る時計とこれまでの美味しい曖昧のライブやMV、ここまでの曖昧のヒストリーが映し出される。
そして始まった、「美味しい曖昧が出会えなかったら…」というifの世界線を表現するブロック。

M9.『N.A.

歌詞やアレンジ、振り付けにどこか退廃的・諦観を感じるこの曲は今の曖昧の楽曲の中でも1,2を争うダークサイドな印象の楽曲。

「命短し この身が燃え尽きるまであとどれくらい」
「私たちはいつまでここにいられるんだろう」

自分たちの存在意義や価値を問い続ける歌を崩れ落ちるように歌い続ける姿はもがきながら生き延びようとする彼女たちそのものに他ならない。
そして曲が終わり、ステージから去るねむりさんとなのはさん

M10.『sugar beat』は2人が欠け、本来2人が歌うはずの歌割りも欠けた状態で曲は進む。
スクリーンに映し出されるMVはモノクロに加工され、ステージから去っていった2人が映像内では存在していることが世界線の崩壊と喪失感を際立たせる。

そしてはるかさん、うずめさんがステージから去り、やよいさん1人がステージに残り、スポットライトで照らされる。
1人で祈るように願うように歌い上げるのはM11『サイカイノユメ』。
華美なステージ演出もなく、ただやよさんの歌声の持つ力強さや繊細さが全て詰まったパフォーマンスを見せてくれた。
また5人で再会できる世界線を夢に見て曲は終わり、やよさんもステージを去っていった。


ここから幕間の映像。
それぞれのメンバーにここまでの活動のことなどインタビューしていく内容で、メンバーそれぞれの魅力が表れる回答だった。
ただ、やはりここまでの自分たちを振り返り、涙なしには語れないメンバーの姿は胸を打たれた。

「努力しても無駄なことはないけどそれでも報われないこともある」
はるかさんが言っていた言葉には、厳しい現実に向き合いながら今を燃やし続けている彼女たちの覚悟の強さを感じた。

うずさんの後半を煽るコメントを挟み、幕間の映像も終わりいよいよ、後半ブロックが始まる。

ここまで出し惜しんでいたとも言える新アルバム『曖昧なアルバム2』からの楽曲を畳み掛けてくるんだろうと身構えていると、ここで新衣装・新ビジュアルのお披露目。
うずめさんのセンス大爆発の新衣装は今回も素晴らしい出来。
衣装の話はうずめさんインスタで詳細が語られていてそれも必読。


ここからまた始まる美味しい曖昧の新章。

勢い全開で「曖昧なアルバム2」を1曲目から引っ張るM12『マジカルリズム』で後半スタート。
イントロから煽りに煽る、後半スタートに相応しいこの曲はこれからのライブでは新たな起爆剤になりそうな予感。

続いて、Clapを促し、M13『いけるナイトパレード』でさらに会場を煽りフロアの熱を高めていく。
M14ではニューアルバムから『ユングちゃん』を初披露。
心理学・精神医学者であるユングのことであろうタイトルの通り、人間の心を意識と無意識に分けて考えたユングの心理学をもじった歌詞もあり、今までと違うアプローチで、自分自身を見つめ直すような内容が印象的な楽曲となっていた。

そして続く、M14,15。
これぞスーパーかすかタイムともいえる『毒針』『生意気ねチェリー』の悪女感強めの2曲。
幽花はるかの中域の魅力が詰まった歌声・歌唱力・表現力が大爆発。
私はこれらの曲が初披露の時から完全に毒針にかかってしまっているのだが…、それはまた別の話。


悪女からのワルオ。

多くの女性ファンを惑わす、うずめさんのイケメンぶりがギラギラに眩しいM16『ナブルナブルナブル』で、まるで歌舞伎町タワーをCLUB「AIMAI」といったナイトスポットにでもしてしまうようなセットリスト。

そして新アルバムから
M17.『Qton』M18.『氷に鏤め水に描く』を披露。『Qton』もまたはるちゃんのボーカルがフィーチャーされており、かつアレンジには最近のK-POPにインスパイアされたようなダンストラック的なアプローチもありカッコいい曖昧の方にもますます磨きがかかる。
『氷に鏤め〜』も今までにないアレンジの方向性の楽曲で、2曲ともこれまで見せて来なかった新しい曖昧の一面が垣間見えた。

M20では先日の自主イベントで初披露して会場を1発で最高潮にした『LATER ALLIGATOR』。

初めてライブで聴いた時に直感的に、「この曲はZeppで絶対盛り上がる!」という絵が浮かんだが、やはりそれは現実のものになっていて内心にやりとした。あの規模の会場で観るとこの曲の真価がわかるなと改めて感じた。
楽曲は本格的なラップ曲で、オケのホーンアレンジがパーティー感満載で、メンバーのリリックに対するフロウなどスキルの面でも現時点でもレベルの高さを見せてくれる。
この曲はきっとやればやりこむほどメンバーらしさがフロウに滲み出てきて育っていって、この夏のライブでは欠かせない1曲になりそう。


M21.『好きだよ。
M22.『さまさま
M23.『アマダリガ!!
M24.『ナチュラルアレルギー

会場のテンションが最高潮を迎えたところで既存のライブ定番のアッパーナンバーをさらに畳み掛け。
この辺りはもう日々のライブで磨きに磨きがかかりまくってるので、フロアもタオル回したり、左右に動き回ったり各々楽しんでたのが最高の光景だった。
後方エリアから見ていて、ライブハウスがコロナ禍前に戻ってきたことや、曖昧のライブにもこういうシーンが増えてきたことがとても嬉しく思う。

M25はニューアルバムから『Life is Short』を披露。
いい意味で曖昧らしくない、捻りのないストレートなロックナンバー。
2010年代以降の新世代のロックバンドたちの熱さと青さを感じさせてくれるサウンドに、サビのポエトリーリーディング風な語りが曖昧メンバーとのハマり具合が良くてこれもまた新たなライブアンセムが生まれた気がした。


歌詞の内容は1番曖昧らしくて、誰かと比較してみたり、アイデンティティーに迷い悩み、弱音を吐いたり現実の厳しさに憂いても、それでもひたすら前に進み続ける気持ちは失わずに生きていくんだ、という内容の中で

「今の私に誰かを救ったりできるかもしれない」
「誰かの夢にならなくちゃ」

という少しだけ自分自身への鼓舞をするような一つ先を目指す姿がまさに美味しい曖昧の新章を切り開くようだった。
個人的にはこの曲をO-Crestで聴くのがなんか非常にしっくり来るような気がしていて楽しみだ。

そしてラストはこのライブとアルバムリリースを発表した2月のCrestでのライブからここまで、ライブやMVでファンの気持ちを昂らせ続け、期待を膨らませ続けてきた『ステフリ!』。

「羽がないから飛べないよ だから今日も歩くんだよ」
「私が生きているのは今なんだ」

と歌う姿は、「美味しい曖昧」として生きている5人が今を輝こうとする強い決意を表しているが、その逆に

「私たちはいつかいなくなるんだ」

と刹那さと儚さを内包しながらも、それでも
「STAY FREE(自由であり続けよう)」と歌う姿こそが美味しい曖昧の魅力そのものであるのだとこのZepp Shinjukuのワンマンライブで、徹頭徹尾魅せ続けてくれた。

カーテンコールでは、歌唱披露されなかったアルバム曲『チアノゼ』。
アルバム収録楽曲のそれぞれの歌詞が鏤められた楽曲で最後に相応しい演出になっていた。

無事大きなライブを終えることが出来た安堵感なのか、ここまでの活動の過酷さや楽しさやいろいろか感情がないまぜになってなのか、涙を流すねむりさん。
それをきっかけにみんな涙涙のカーテンコール。笑顔で涙のメンバーをハグしたりいじったりするうずめさんの姿もらしいなと思って印象的だった。


とにかく、最後まで最高を更新し続けての大団円を迎えた2時間強のワンマンライブが終演した。

終演後はワンマンライブでは恒例の映像での情報解禁。
東名阪ツアーの発表と「マジカルリズム」のMV初解禁で、ここで終わりじゃない、ここからまた始めていくんだ、という明るい未来も提示してくれた。


はっきり覚えている、今年の3月の新代田FEVERでのライブ。
これまでもいいライブはしてきていたが、明らかにその日のライブは1個上のフェーズに入った感覚をパフォーマンスする5人から感じた。

そこからこの2ヶ月半、観に行ける限りライブは観に行ったと思う。
どのライブもメンバー全員やる気も漲ってたし、全てがここに繋がっていて、またここからさらに上に進むためにこれからも輝き続けていくんだろうなぁ、と思うと嬉しくなる。
簡単にライブも観に行けないくらいのところまで高く羽ばたいて行って欲しいと切に願うばかりだ。

「誰かの夢にならなくちゃ」(from 『Life is Short』)

と歌っているけど、少なくともここにいる私にとっては、もう5人にたくさんの夢を見せてもらっている。
これからも数多くの「誰かの夢」になっていくことだろうな。

本当に素敵なグループに出会えて良かった。

<締>


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