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社会学とは何だろう

どんな入門書でも、第一章第一節のタイトルはこんな感じ。そして次に来るのは「社会とは何か」だ。でもこれらの問いって実はとても難しい。その証拠にどんな入門書も同じ答えを書いてなんかいない。

本テキストでは、逆から行こうと思う。「SocialなものをOlogyする」のが「Sociology(社会学)」なのだけれども、じゃあOlogy(科学)って何だろう。それが第一章第一節で一番大切なことだと僕は思う。

科学とは、すごくざっくりというと、データを集めて分析し、文章や図表などを用いた資料をつくり、それを使って自分や他人の行動選択に影響を与えようとするテクニックのことだ。

だから、第一の条件として、読み手を敵に回すようなことは絶対にしてはいけない。世界はとても複雑にできているので、読み手がアラ探しに回ったらどんなにていねいな分析も説得力を失ってしまうからだ。

さて科学的な資料とは何だろう。大まかに二つのものがある。「記述」と「因果推定」だ。「記述」は採ったデータがどのような姿をしているかを示すもので、「因果推定」はデータ同士の関連性を考えるものだ。

たとえば空手で言うと、それぞれの段位の人が何割いるかを書き表したものが記述で、段位が高いか低いか(データ1)と、普段の練習内容(データ2)との関連性を示したものが因果推定だ。

空手家は誰だって強くなりたいと思っている。強い人が必ずやっていて、弱い人はやっていない練習方法があったら知りたいと思っている。なぜなら、その練習方法が原因で、強さが結果だと【推定】しているからだ。

社会学だと、以下のようになる。人びとがどんな行動を選択しているか(データ1)と、その人びとが背負っている社会的背景(データ2)について記述し、それらの関連性を因果推定する。

たとえば、自殺は悲しい行動選択だ。それを選んでしまった人と選ばなかった人とで背負っていた社会的背景(たとえば友人の有無とか)を比較して抑止につながる背景を推定することは、とても大切なことだといえる。


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