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子どもと白鳥に見る組織の改善法

2020年冬の猪苗代。普段は分厚い雪に覆われる地域だが、今年は暖冬で、珍しいことに会津地域の多くは未だに積雪がないか、あってもごくわずかだ。
地域の小学校のスキー学校は毎年この季節と聞くので、きっとどの学校も対応にてんやわんやだろう。

有名な話なので知っているひとも多いが、猪苗代は白鳥が越冬のために訪れる。
湖畔には日中ちょっとした人だかりが出来て、子どもたちが白鳥と鴨にパンの切れ端を投げて餌付けしている。
雪国の子どもは元気だ。子どもは寒さなど気にもとめずに砂浜を走っている。わーっと声をあげながら走ると、鴨たちが驚いて飛んでいく。白鳥は鴨に追いやられて遠くから眺めている。
本当に微笑ましく心温まる光景だ。ここには子どもたちが騒いで疎ましく思う大人などいない。

人間社会におけるコミュニティの最小単位を家族とすると、ここには数分前まで見ず知らずだった複数のコミュニティたちが共存共生している。
東京に帰ってくると、見ず知らずの人々同士でコミュニティ形成することも、コミュニティ同士が衝突なく共存することも、俯瞰すれば稀有なほうだ。
地域性、人口密度、競争意識、個人差。要素は様々だが、居心地のよいコミュニティに属することや存続させることは困難だ。

当然だがこれらの要素は否定されるものではない。
地域性に差がなければ観光が成り立たない。個人に目を向ければ、競争がなければ人は成長しない。
居心地のよいコミュニティが組織マネジメントの最適解でないことは、理屈を並べなくても歴史が証明してきた。居心地がよいということと心理的安全ということはイコールではない。
昨今の組織論では度々語られていることだ。

けれど人によっては、居心地がよいことが前提で心理的安全を達成できるという考えを持っている。簡単な言葉をあえて使うなら、ぎくしゃくしているより仲良くしているほうが成果が出る。
信頼関係のもとに協力関係が築かれる。同じゴールを目指して競争することもできる。言葉にしてみれば当たり前のことだし、原点に返れば、組織論もこれを謳っている。
一つのゴールを定義して急速な自己組織化をしたり、ゴール到達のために手段を選ばなかったりするケースは残念ながら多い。そして頭で理解していても結果的にそうなってしまうケースも多い。ゴールに到達してしまうと、ここで起きてしまった組織内の不和は人の意識から薄れてしまう。
大人社会で、結果だけが評価されるすべての基準と言い切るのは、なんだか物悲しくないか。プロセスの中で見落とされた不和はいつ修繕されるのか。

開発界隈ではマネージャーが嫌われて久しい。マイクロマネジメントが疎まれることも常識化した。これを今更否定するつもりはない。私も好きではない。
だからあえてマネジメントという言葉を避けて「チーミング」とか「メンタリング」とかまどろっこしい言い回しをするけれど、健全に成長できる組織を維持するために、あえて個人にフォーカスしてウェットな問題に取り組みコミュニティに貢献する立場って重要視されるのではないか。
この機能をきりだして注目しているのは、最近流行りのエンジニアリング・マネージャーがたまに役割過多に感じるからでもある。

これはべき論ではなく意思表明だ。
2020年はこれをテーマに行動をしてみようと思っている。

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