見出し画像

読了「マンションは学区で選びなさい」

https://www.amazon.co.jp/dp/4098253070

 いつかはマイハウスがほしいんだけど、不動産購入に際してはたくさんの事前知識が必要な気がして、なんか取っ掛かりが欲しかった。
 メルカリで売上金が残っていたので、それを使って掲題の本を買った。読み始めて知ったんだけど、筆者の方は住まいサーフィンの中の人だったのね。道理で。

 この本の対象にしている読者は、いわゆる小学校移民。こどものライフステージの変化に応じてマンションを移り住む人々。まぁ筆者自身はこどもが小学生のころは賃貸の一戸建てを借りていたようだが、移り住むうえでのからくりは特に変わらないので、気にしないこととする。

 こどもの教育、特に小学校時代における道徳教育においては、こどもの置かれた環境に強く依存する。残酷な話だが年収と学歴は比例関係にあるので、こどもが良い大学に行き、そこからベストと言わずともベターな生活を一人で送っていくには、前段で良い高校・良い中学を出ている必要がある。さらに遡れば、クラスの半分が中学受験をするクラスにいたほうが、クラスの1割しか中学受験をしないクラスよりも、格段に良い。これが学区によりこどもの環境が左右される理由なわけだな。

 良い学区の小学校に通わせるとなると、その学区に住まなければならない。当然だがそういった場所には人が集まっており家賃は高騰している。世帯年収が相当なければ住めない。ざっと読んだ限り世帯年収が低くても800万は無いと到底不可能。高いところだと1,100万くらいしてた。

 就活市場においては学歴社会が問題視されがちだが、学歴社会の闇は更に深い。高学歴の親からは高確率で高学歴のこどもが育つ。低学歴の親から高学歴のこどもが育つ確率はかなり低い。このスパイラルは社会構造が急激に変わりでもしない限りは断ち切れなさそうだ。

 面白い記載だったので記憶に残っているのだが、学区のレベルはおおよそ皇居から「の」の字を描くように低下するようだ。千代田区・中央区・文京区・港区のような日本最高峰クラスに続き、目黒区・大田区・品川区・世田谷区のような地区が並ぶ。延長には再開発が進む川崎と横浜がある。私も横浜の進学校に通ったので、なんだかイメージはしやすい。たまに本屋で中学高校の偏差値ランキングを見るのだが、20年以上前に見たランキングとそう大差ないように見えるので、ここ数年はトレンドが変わらないと見てよさそうだ。

 不動産を買うか借りるかの論争、この本ではマンション購入一択と書いてあるのだが(税制が大きな理由)、では一戸建てに住みたい場合はどうすればよいか、という問いについては、本著では明確に記載はないが、賃貸が良さそうである。もちろん一等地に家を建てられるのであれば、仮に転居をするとしても売るなり貸すなり出来るのだが。一戸建てというものには、子育て世代にしかもはやニーズが無い、という発想が私からは抜けていた。ここから少子超高齢化社会がくるので、子育てする世帯は減る一方なので、借りる人が少ないという理屈。

 最近の賃貸戸建て物件を見るとテラスハウス形式(一戸建てが横に2つとか3つとか繋がっているタイプ)が多くて、上下の騒音は気にならないけど、横の音と匂いは気になるよね。1棟ずつ建てるよりコストが安くつくからそうなっているんだろうけど。

 親世代に限って言うと、最近はインターネット上のサービスが充実しているので、遠距離でもコミュニケーションが成立する。例えば同世代の家庭とビデオ通話で会話を楽しんだり、両親と子育て相談したり、そういったことが手軽にできるようになった。こどもはそうはいかない。彼らの人格や知識を形成する大部分の時間は、いくらオンライン教育の普及が始まったとはいえ、いまだオフラインの空間に限られたところで育成される。こどもの成長を考えると、住まいの問題は親にとっては悩ましい一大事だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?