好きを仕事に、だってよ

「好きを仕事にしよう!」

というのはどうにも胡散臭い言葉だ。

自分の好きなことで食べていく、というのはたしかに楽しそうだ。

そうでありたい、と思うのは良い。

しかし、現実ではたいていの人が毎日を生きるために目の前の仕事で食べている。

「好きを仕事に」は、こういう口に糊するために日々の仕事をこなす人へ、あらたな負担を強いてはいないだろうか?

ブログだのアフィリエイトだので食べている人は、たしかに好きを仕事にしているのかもしれない。だが、かれらの言う「好きを仕事に」は「好きを仕事にしている自分カッケー!」なのではないのか?

べつに好きなことを仕事にしなくてもいいではないか。

むしろ、今の仕事が好きになるように労働環境をととのえてあげたほうがいいのではないだろうか。

好きなことは余暇でできるように、拘束時間を短くしてあげたほうが現実的なのではないだろうか。

好きなことがあることは良いことだが、好きなこと=金になるとは限らない。

それなのに「好きを仕事に」といっては、暗い海に身ひとつで飛び込めと背を押すことにほかならないではないか。勇気と才能と運がなければ生き残れないようなことを煽ってはいけない。どうせ責任などとらないではないか。

「あなたがつらいのは某さんのせいですよ」といって煽る人が、結果的にはその人をもっとも苦しめている人なのだ。ダマされてはいけない。金など払ってはいけない。

どこかにあるユートピアを目指すのではなく、今自分がいるところを整えていくこと。

日々を生きて明日につないでいくこと。

それもまた、勇気と根気がいることなのだと思う。

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