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【雑記】未来の勝者となるのは誰か

タリバンの復権までを追ったドキュメンタリー「アフガニスタンの亡霊」が良かった。滅びゆく政権の悲壮感と、めちゃくちゃ美しいアフガニスタンの山々が交互に描かれていたのが印象的だった。

観たのはEテレの放送だったので、映画版(90分)を再編集して半分の時間にしたものかもしれない。

タリバンといえば悪名高い野蛮なテロリストというイメージだったが、それほど単純な見方をするべきではなく、むしろ彼らなりの合理性と世界観のもとで統率された集団とみたほうがよさそうだ。

詳しくは描かれていないが、どうやらタリバンは女子だけでなく男子の教育も制限しているようだ。一般の子供が通うのは基本的に神学校で、コーランを中心に学んだら宗教系の進路か仕事につくのではないか。

一方で、エリート層は海外留学をするなど、知識や技術を習得し指導者の立場になっていくようだ。当たり前だが、タリバンは科学や通信技術、医療といった社会を維持発展させていくインフラをおろそかにしてはいない。

おそらく、タリバンは多数の低学歴の労働者を、少数の高学歴の指導者層が統治している階層社会になっているのだろう。

タリバンの世界観では個人の尊厳や命が必ずしも重要ではなく、すべての国民はイスラム社会全体が維持発展していくための役割を果たすべき、と考えているのかもしれない。もちろん労働者だけでなく指導者も役割を果たすために存在している。

西洋の人権思想や民主主義になじんだ日本から見れば異様な価値観かもしれないが、これはこれで合理性があるように思える。特に、個人の権利を廃した教育の制限や女性の権利の制限といった部分は、人口増加には有効な制度のような気がする。


今、少子化に歯止めがかからない先進国の政策に対して、途上国は疑いの目を向けているのではないだろうか。果たしてこのまま先進国を真似て国際社会の一員となっていくべきだろうか、と。

たとえば、中国やロシアは先進国ではあるが、西洋思想から一定の距離を取ろうとしているように見える。独自路線で社会を維持発展させていこうと考えているのだろう。これは今後の世界のひとつの方向としてあると思う。

もうひとつの方向には、タリバンのような伝統的価値観を中心とした社会がある。西洋社会とはかけ離れた価値観を持ちながら、活力と将来性を維持していく社会である。アフガニスタンだけでなく、おそらくインドやアフリカなどの途上国が続くのではないだろうか。

遠くない未来、タリバンは日本を含めこれらの方向を取れない先進国をしり目に、世界の勝利者となっているかもしれない。

暗黒の王の誕生がまたれる。

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