起業部、活動開始。
世の中には大別して2種類の人間がいるといえるだろう。つまり、既存のレールに乗れる人間と、そうでない人間だ。これを読んでいるあなたは自分をどちらに分類するだろうか?私は自らを圧倒的後者であると公言して憚らない。
一日に10時間近く眠り、それでも日中は強い眠気と慢性的な頭痛に悩まされる。好きなことなら何時間でも(なんなら睡眠時間を削ってでも)やり続けられるが、気の乗らないことはとことんできない。何より、拘束が嫌いで同じ時間に同じことを毎日やる、というのが生理的に受け付けない。こんな人間は9-17時、完全週休二日制ですら1年と持たないであろう。なにせ、もっと条件のゆるい研究室ですら毎日苦痛を感じているのだから。
我らが千葉高校には多種多様な社会の枠から飛び出した人間がいた。すでに卒業してしまった方は記憶の中を、在学中の方はクラスの中を眺めまわしてほしい。
黙々と激務をこなすやつ、該博なのに成績は低いやつ、プレゼンをさせれば爆笑をかっさらうやつ、英語はできない純日本人なのにロシア語が堪能なやつ等々……アメリカが人種のるつぼであるなら千葉高は変人のるつぼであるといえるだろう。私はそのような「変人たち」を愛していた。
悲しいかな、坂の上の楽園で変人としての人生を謳歌していた同輩たちは社会の荒波の中で規格化、画一化され、いまやかつての精彩を欠いている。48時間周期で生活し2日に一度しか登校しなかった友人が目にクマをつくりながら就活をする姿、モンスターを常飲して夜毎ソシャゲに勤しんでいた友人がリクルートスーツに身を包み満員電車に詰め込まれる姿、先生のモノマネがやけに上手い友人がありふれた宴会芸に負ける姿……
そんな「変人たち」の現在を目の当たりにするたび、私は変わり果てた閏土をみた魯迅の気持ちになるのである。自身を変えながらでも社会に適応することが悪いとは思わない。ただ、もったいないと思ってしまうのだ。その型破りなユニークさがあれば、この息詰まる社会に穴をあけられたかもしれないのに、と。
あなたがたは臥龍鳳雛という言葉をご存知だろうか。伏龍鳳雛でもいい。
臥龍とは時期や環境に合わず才能を発揮できていない人物、鳳雛とはこれから優れた人物になることが期待されている人物を指す。つまり、誤解を恐れず簡単にいえば、まだ世に知られていないダイヤモンドの原石のことをいう四字熟語である。
私は千葉高生こそこの言葉にふさわしいと常々思っている。しかし、彼らが龍として、大鳳として活躍するにはこの社会は狭量すぎる。skhole(閑暇,希)が素晴らしい学問や発明を産んだように、彼らにもできる限り束縛をなくし、のびのびと活躍できる場が必要であろう。これはまさに起業部を擁する千葉高アカデメイアの理念にほかならない。私はアカデメイアの理念をより実践的に体現する場として起業部を設立した。気に入った舞台がないのなら自分で作ってしまうほかあるまい。
さあ自分が自分らしく生きるために会社を興そう——とはいえ、独力で起業するのはあまりにも大変である。資金力、知識、技術、アイデア……必要なものは山のようにあるのに身体は一つしかない。これではよしんば起業を成し遂げたとして、その会社で自らの才を揮える時間はそう多くは残らないであろう。そこで、起業を志すもの、起業を応援するもの同士で知識や資源をやりとりする場を設けた。それが起業部である。
起業部としての理念はこうだ。
千葉高生のアイデア、バイタリティを活かす場を作ること
既存の枠に捉われずに自由にビジネスを行える場を作ること
既存の企業(ひいては社会)に馴染めない千葉高生の受け皿を作ること
起業者も稼げる、社会課題も解決できる、かつ後輩やアカデメイア会員に還元できる、そんな「三方よし」の企業を作ること
起業部は今動き始めた。
集え変人たち。世界をひっくり返さないか?
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