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氷と炎の歌読書会 未刊行の新刊サンプル章 アレイン(サンサ)

海外ドラマ『ゲームオブスローンズ』の原作、ジョージ RR マーティン著の『氷と炎の歌』シリーズ読書会に参加しています。

前巻より10年たってもまだ刊行されず、ファンを狂気に追い詰めている新刊『The Winds of Winter』ですが、著者のジョージ・RR・マーティンはいくつかサンプル章を発表しています。

本来5巻の『竜との舞踏』に入れるはずだったのを、ストーリーの関係で6巻に配置替えした章たち。
数え方によりますが、全部で10編あります。

・シオン
・アリアン (1)
・アリアン (2)
・バリスタン(1)
・バリスタン(2)
・ヴィクタリオン
・ティリオン
・マーシー(アリア)
・アレイン(サンサ)
・The Forsaken(エーロン・グレイジョイ)

数え方による、というのはこのうちのいくつかは著者のブログで発表されたものではなく、バリスタン(2)、ティリオンはあらすじしかないから。
コンベンションなどで著者によって朗読されたものを、その場にいた人たちが記憶をたどって書いたものです。

あと『シオン』は、たしかイギリス版?の『竜との舞踏』ペーパーバッグに収録されているとか。

読書会では今回、この中の『アレイン(サンサ)』の後半を読みました。

あらすじ

跡継ぎのハリーがやってくると聞いて不機嫌なスイート・ロビン。
「あいつ、”従兄弟”なんて呼ぶくせに、本当はぼくが死ぬのを待ってるんだ!」
「ぼくが知らないと思ってるみたいだけど、知ってるんだ...」

サンサがなだめると、彼女にすっかり夢中になっているので、お前と結婚する!と言ってきかない。
薬の飲みすぎ?で手が震える。弱ってきているよう。

サンサの発案であるアイリー版王の盾、『翼のある騎士』を選ぶ馬上槍試合の日が迫っていた。谷間中から64人の騎士が集まり、その座を競う。
キングスガードと違って3年交代なので、若者だけが招かれていた。

広間ではネスター・ロイスが客にタペストリーを自慢していた。ロバート王が飾っていたものを、リトルフィンガーが王都から取り寄せたあのタペストリー。

ミランダ・ロイスとばったり会い、噂話が盛り上がる。
リン・コーブレイは兄の新妻が妊娠したので不機嫌。男児なら、後継者の座を明け渡さねばならないからだ。

偶然会ったサー・シャドリックと言葉を交わすサンサ。マッドマウスは馬上槍試合には参加しない。
「ではメレーはどうですか?」
「放浪の騎士にはメレーがお似合いですね、ドラゴン金貨のつまった袋にでも偶然行き当たらない限りは」(槍試合だと負けても馬とか払い戻しするお金がないから、ということ??)

新しい来客の到着にあわて、門まで走って競争するサンサとミランダ。
レディ・ウェインウッドと孫、末っ子という二人の若い騎士と跡継ぎのハリーが着いた。

ハリーはすらりとした手足をしたハンサム、槍のようにまっすぐで筋肉質。ジョン・アリン公の若いころを知る人はみな、面影があると言っていた。ふさふさした砂色がかったブロンドの髪、淡い青の瞳、わし鼻。
一瞬ときめくが、そこでふと思う(でもジョフリーだって美しかった)。(美しい化け物。ティリオン公の方が優しかった。体はねじ曲がっていたけれど)。

ハリーはアレインが気に入らない。
「リトルフィンガーの落とし子に案内してもらいたいなんて、私が思うとでも?」
アレイン泣きそう。

小指はガルタウンの商人に指示して食料を大量に蓄えさせていた。今は売りしぶり冬が来たら高値で諸侯に売りつける計画だった。
ハリーがひどいと泣きつくサンサに、わざと冷たくしながら同時に魅了しろ、と男女の駆け引きのアドバイス。

その日の晩餐会では、谷間の将来有望な若い騎士たちと次々と優雅に踊り、人々を魅了するサンサ。
そしてなんとハリーは一人の子持ち(庶民の女性との間に落とし子の娘あり)で、しかも別の女性サフランとの間に、もうすぐ第二子が生まれようとしていた。
「(母親がサフランなら)娘さんには何とお名づけになるのですか?女の子ならシナモン?男の子ならクローブとでも?」
美しさと気の利いた会話ですっかりハリーを虜にするのであった…。

感想

ちょっ、えっ!?これ本当に氷と炎の歌!?
素敵すぎて激しく騙されてる感がっ!笑

言ってみればドラマで、ロブとタリサが、男の子だったらエダードって名付けようね、と話すシーンとか、シーズン7のハウンドの七神村みたいな...。
絶対続かなそうなこの幸せ感、キラキラ感がこわいー!

しかしよくできています。
当たり前か?マーティン先生なんだもん。

スイートロビンに本を読んであげているシーンから始まり、物理的に移動しながら(ネスターロイスの城、月の門にいる)マイア・ストーン、ミランダ、マイケル・レッドフォート(マイアの元恋人ね。優勝候補らしい)、リン・コーブレイ(わたしのヴェイルの推し笑)、シャドリック、ウェインウッド家、跡継ぎのハリー、ローサー・ブルーン、小指、とブロンズヨーン以外の谷間の主要人物全員を登場させる、流れるようなこの展開!

馬上槍試合、タペストリー、舞踏会、将来有望な騎士たち、恋の駆け引き...中世版ジェーン・オースティンの世界みたいじゃない!?

でも、もちろん氷と炎の歌なので、そこは各所に不安な影が散りばめられていて、それを見つけるのもまた楽しい。

感想その1:サンサとミランダがとにかく可愛い!!
この走って競争シーン、大好き~!
顔真っ赤にして、息きらして、ミランダなんか走ってる間にマント無くしてるの笑
子どもみたい。
友だちっていいね。

感想その2:ハリーのすぐ消えそう感。
悪びれもせず娘の話をしたり、前の恋人は出産したら太っちゃったからやっかい払いしてもらった、とか、しょーもない笑
なまじ顔がいいだけに、ますます小指に利用されるまでもなく、もう消えそうな小物感。
この先の展開が楽しみである。

感想その3:小指に恋愛指南はされたくない
ここでもまたキモチワルイです、ベイリッシュさん。
やめろー!サンサに腕を回してハグするなんて!許さないよ!
安っぽい恋愛テクニックを授けながら両の頬にキスしたり、セクハラ全開。

この人を見てるといつも思うけど、ここにあのキャトリン・タリーの娘がいるんだから触ったりキスしなきゃ損、みたいな。
女性のいるお店に行って、お金払ってるんだから時間フルに使って触ったりセクハラ発言して楽しまなきゃ、というエロ親父的なものを感じる。

感想その4:タペストリー
リトルフィンガーがお手紙で王都にお願いしたタペストリーが届いた。で、結局ネスター・ロイスにプレゼントしたんだけど、なんだったのか?
狩りの様子が描かれている、とあったけど、どういう意味があるの?

不安(1):スイートロビン大丈夫?
小指の圧でメイスターが薬を飲ませているので、弱ってきてるみたい。
エレインがハリーと踊っているとき、ロバートがじーっと見てるのですが、これかわいそうだった~!
今回、僕が死ぬのを待ってるんだ、知ってる、ってのも。
がんばれ、強い子になるんだー!

不安(2):
シャドリック。
この人はブリエン章に出てきて、サンサを探してたけど、後ろにいたのをぶつかりそうになってるから多分つけてきてたと思うんですね。
月の扉からお帰りください。
あ、でももうアイリー降りて来たんでしたね。

不安(3):
悪徳商人ベイリッシュ。
食料を売りしぶりをして、冬が来たら高値で売りつけようといういつもの小指商法。
リヴァーランドも王都も、多分北部も食料がないので、将来的にこれをサンサが相続してみんなに分けてあげる、という展開を希望。

今のところ唯一、五王の戦いから距離を置いている谷間だけど、そろそろそうも言っていられなくなるでしょう。
じゃあどういうポジションで参戦するのか?誰と同盟するのか?

スイートロビンが実はすごく聡明な子で、成人したらみんな厄介払い、ベイリッシュ公あなたの今まで犯した罪はこれこれですよね?罪を償いなさい。諸侯も下がってなさい、自分の政治をしますから、っていうFire and Bloodのエーゴン3世みたいな展開にならないかなー?











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