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視覚が過敏!光と色のストレスフリーテクニック!

はじめに

こんばんは。聴覚障害と発達障害のあるおっさんこと「くらげ」です。

近年、「発達障害」という障害への理解が進んできていますが、「空気が読めない」「集中力がない」「学力が伸びない」などという、どちらかといえば「脳や精神的な機能に問題がある」と理解されていることが多いのではないでしょうか。

しかし、発達障害がある当事者の話を伺ったり、妻のあおの行動を見ていたり、私自身の経験から、どうも発達障害者の「生きにくさ」「QOL(quality of life=生活の質)の低さ」は五感からくるエラーも大きな原因なのではないか、と考えるようになりました。

普通の人(定型発達者)にとってはなんでもない音や刺激でも痛みを感じるほどに辛さを感じるということは、「普段の環境」そのものがストレスとなっている可能性があります。

今回は感覚過敏の一つである「視覚過敏」について、どのように対処をすればいいかをシーン別に考えていきましょう。

視覚過敏とはなにか

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視覚過敏とは、感覚過敏の一種で「視覚」に関して敏感な性質を持っていることです。

日光が当たると常にフラッシュライトを当てられているようなまぶしさを感じて、頭痛やめまいがすることがあったり、普通の人にはなんでもないまぶしさでも目の痛みを感じることがあるなど、日常生活に制限があることも珍しくありません。

また、自室などの慣れた場所では刺激に耐えることができても違う場所に行くと目が痛むなどの症状が出るため、慣れた場所から移動することに困難を覚えることもあります。とくに子どもの場合は、無意識に光などの刺激に対して逃げるように席を立ったり、暗い場所に逃げ込んでしまうこともあるようです。

これは我慢ができないというより、眼から入ってくる刺激が普通の人と何倍も大きくて、身体のキャパシティー的に耐えられない、という問題と考えられます。

ある視覚過敏のある方は、視覚からの刺激に敏感すぎて色や風景が普通の人と違って見えているため、話がかみ合わないことがあると語っていましたが、これほど見えている世界が違うこともあるのです。

視覚過敏と勉強

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アメリカの調査によると高機能自閉症のある子どものうち9割近くが何らかの感覚過敏があり、そのうち半数が視覚過敏を持っているそうです。

先日、視覚過敏のある方の「グリーンノートが販売中止になりそうで困ってるから力を貸してほしい」というツイートが話題になり、それをきっかけに大手文具メーカーが販売体制を確保した、という出来事がありました。

これは、視覚過敏があると教科書やプリント、ノートなどで使われる普通の白紙では光の反射が眩しすぎて文章や図を読み取るのが難しくなることを示しており、このような状況では成績が上がりにくいことは容易に想像できます。

もし、視覚過敏のある子どもが本や教科書を読むことを嫌がる場合は、薄いグリーンの紙に本などをコピーして読み比べたり、電子書籍で白黒反転したものを読んでもらうなど、光の反射が原因で読みにくいかどうかを確認する必要があります。

また、窓側の席を避ける、照明が強いところから席を移動する、などの工夫が必要です。

オフィスでの対処

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このような問題は仕事の場でも起きやすく、外で仕事をする機会が多い方はもちろん、デスクワークでも視覚過敏でオフィスが眩しすぎるなどで悩んでいる方もいます。

もし、照明が眩しすぎるなら、あまり照明が強くない場所に席を移動したり、スポットで照度を落としてもらえないかを相談してもいいでしょう。

また、眼から入る情報量が多いため、周りが散らかっていたり、移動するものが多いとそちらに気を取られてしまい集中しにくいこともあります。あまり周囲にものを置かない、パーテーションで囲んで視界を制限することも有効です。

また、PCの光の反射で知らず知らずに普通の人以上に疲れることもあります。ノングレアのディスプレイを使う、光の反射を抑えるフィルターなどを使う、という方法があります。PC用のブルーライトカット眼鏡をつけるだけで仕事での負担が少なくなる場合もあります。

外出先での刺激軽減

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視覚過敏があると「外が眩しすぎて出かけにくい」という方も少なくなく、日中は外に出ることが難しいため、夜間にだけ外出する方もいます。

そこまで自覚的でなくても、なぜか眩しい日が続くと異常に疲れてしまう、めまいや立ち眩みがしやすい、という方は、一度、日傘や、つばが広めの帽子、サングラス・PC用のカラーが入っている眼鏡を使って外出してみるなど試してみてはいかがでしょうか。

また、サングラスを使う程度ではなかったり、サングラスでは日常生活では使いにくいことも多いのですが、この場合は、眼鏡屋さんで色付きのレンズを使った眼鏡を作ってみてもいいでしょう。

もし、視覚過敏の方を遊びなどに誘う場合は、直射日光が強いところや、眩しい場所を極力避けるなどの工夫も必要です。

自宅での対処

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視覚過敏であると、外や学校・オフィスは刺激が強すぎて疲れやすくいので、せめて自宅だけでも刺激を少なくしておきたいところです。

そのためには、遮光カーテンやレースカーテンを利用して直接日光が差し込まないようにする、間接照明や細かく段階調整のできるLEDシーリングライトを設置するなどが考えられます。

また、スマートフォンの画面にノングレアの保護シートを貼るなどして少しでも刺激が入りにくいようにすることで痛みや刺激を軽減できます。

社会に望むこと

街中を歩くと、広告のイルミネーションなどの視覚的な刺激にあふれているため、とても辛く感じる方もいます。

また、店内もBGMが大きい、照明が眩しい、床が反射して物が見えにくくなる、ディスプレイで動画が流れている、など感覚過敏を持っている人にとってゆっくりと買い物をすることが難しいこともあります。

海外では、ショッピングモールで朝の1時間を感覚過敏者向けに店内を暗くしたり、音を流さなかったする時間帯にして感覚過敏があっても買い物をしやすい環境を整備しているところもあり、そのお店では売り上げが逆に伸びたそうです。

このように、感覚過敏があっても過ごしやすい工夫を社会全体で進めていくことを期待したいです。

まとめ

視覚過敏は「普通に見えているもの」がほかの人とは違ったり、情報量が多すぎて処理ができない問題です。

ですから、本人も意外と気づかずに「何となく疲れる・痛い」で育ってきた場合もあります。しかし、この「なんとなく」が積み重なることで心身的な負担が増えたり、QOLが下がったりします。

もし、慢性的に目が痛い、眩しさを感じる、などの症状があれば、眼の病気の可能性もありますので眼科の受診をしたほうがいいですが、それでも原因がわからない場合は、視覚過敏を疑って、様々な工夫をしてみると生きやすさが上がるかもしれません。ぜひ、いろいろ試してみてください。



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