『人気UpscalerのCC BY-NC-SA 4.0 License問題と他モデルの検証と紹介』
1.概要
以前、Twitterにて私が取り上げたこともあるRedditで評価の高い『4x-ultrasharp』のLicenseがCC BY-NC-SA 4.0であることを5/16確認致しました。CC BY-NC-SA 4.0は商用不可、帰属表記要のLicenseとなっています。
Stable Diffusion WEB UIの拡張機能『Tiled Diffusion』に関しては同様のLicense表記があるも、製作者様との直接のやり取りにて、生成物までは及ばないことの確認が取れている一方、こちらのUpscalerに関しては判断の致しかねるところです。
なおCC BY-NC-SA 4.0が適用されているのは『4x-ultrasharp』『4x_foolhardy_Remacri』『4x-AnimeSharp』などであり、Redditで極めて評判の高いUpscalerは概ねCC BY-NC-SA 4.0で注意が必要です。
私自身は数か月前、Reddit→huggingface経由でダウンロードし、大変お恥ずかしながらライセンス確認を怠って紹介しており、各ブログ等でもLicenseに関して一切触れず紹介されているケースが非常に多いです。
CC BY-NC-SA 4.0の場合、生成物まで及ぶ可能性がある為、当記事を記述させていただきます。
Licenseに関しては、今回気づかせていただいた下記Note記事にも丁寧な記載がありますので是非、ご参照ください。
2.CC BY-NC-SA 4.0の適用に関して
一般的にソフトウェア系のLicenseは生成物まで影響しないのが通常です。しかしながらCC BY-NC-SA 4.0はその手の目的に設定されているLicenseではない為、生成物まで及ぶ可能性が考えられます。
GPT-4で何回かパターンを変えて質問したものの正直何とも言えないというのが答えでした。
常識的に考えれば、無料で画像拡大サイトを作ってそれにCC BY-NC-SA 4.0のモデルが使用されていたとし、利用者全員の拡大画像が商用不可・ブログ公開時等にupscalerのクレジット表記も要。改変等してもCC BY-NC-SA 4.0は変更不可で継承するとなると、誰が使用するの?という話になります。しかしながらCC BY-NC-SA 4.0はソフトウェア向けのLicenseではないので、生成物まで及ばないと断言ができないのです。
各種upscalerをご利用の方は下記サイトにて今一度、License確認を行い、自身での利用判断を推奨いたします。
3.4x-ultrasharpの代替upscalerに関して
以前、私は外部ツールを利用しなくとも簡単に拡大できる手段として下記のTweetを行いました。この際、4x-ultrasharpを紹介したのが、今回記事を書いている要因です。
このTweetはLicenseに関して記載がなく、リスク拡大の恐れがある為、恐れ入りますが削除させていただきます。
伴い、Licenseを確認の上、Redditで評価されていたモデル数種を同じ画像にて比較致しました。
この中で比較的柄が潰さず、くっきり感が増したモデルは下記となります。
これを上記Tweetと同様に1:Lanczos+2:別モデルで組み合わせた際に比較的近い表現となったのは下記で4x_Valar以外は標準搭載のR-ESRGAN4x plusを体感で下回っていました。なお、絵柄によっても異なりますのでご了承ください。また標準搭載のSwinIR x4は処理時間こそ掛かるも、能力は桁違いと言われるだけの性能は確認できました。
以上のことから、4-ultrasharpを使用しない場合の標準搭載外upscalerは4x_Valarが一番オススメで、スペックがあるならSwinIR 4xが至上、標準搭載で無難なのはR-ESRGAN 4x plusという評価です。
なお今回利用させていただいたモデルのLicenseは下記となります。
4x-UltraSharp:(©Kim2091氏) CC BY-NC-SA 4.0
4x-Valar:(©musl氏) CC0(著作権放棄)
4x_NMKD-Siax_200k/NMKD Siax ("CX"):(©Nmkd氏) WTFPL(権利放棄宣言)
4x_UniversalUpscalerV2-Neutral_115000_swaG及びSharp_101000_G及びSharper_103000_G/UniversalUpscalerV2:(©Mutin_Choler氏) WTFPL(権利放棄宣言)
4x_Nickelback_70000G/Nickelback:(©BlackScout氏) GNU GPLv3
4x_2C2-ESRGAN_Nomos2K_200000_G:(©Joey氏) MIT
4.最後に
全てのライセンスを自己で確認する必要がある現時点でのStable Diffusion WEB UI関連は中々大変だと今更ながら痛感しています。
パッケージ商品的な安心感、安定感がないと普及は困難な面があると感じました。また情報発信を行う者として、ライセンス確認の重要性を改めて実感致しました。
加えて、リスクのあるライセンスであることを確認せず情報を発信してしまったことをお詫びすると共に、今後はライセンス関係を熟慮し、情報を提供できるよう努めさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
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