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いつかきみに分かる日がくるまで、今は奇蹟について黙っておくね

Christmas Story Day5

12月に入って、2回目の日曜日。
映画『34丁目の奇蹟』を息子と一緒に観た。
1994年の映画ということで、しかもさらに昔に遡った1947年の映画のリメイクだと聞いて、最初、息子は気乗りしない様子だった。

自分が生まれるずっと前の時代の話で、iPad もiPhone もGoogle もAmazon も存在していないから。

物語のヒロインはニューヨークの34丁目にある百貨店コールズのイベント部長。12月の重要なクリスマスイベントの責任者で、アルバイトのサンタクロースを手配 したり、パレードやキャンペーンを仕切る、ばりばりのキャリアウーマンで、シングルマザー。

サンタクロースはいるはずないと思っているのに、百貨店にくる子供たちのためにサンタクロースを手配する。そんな彼女の娘は、おませで賢くて、やっぱり母と同じようにサンタクロースを信じていない。



さぁ、そんな2人のもとに、自分はサンタクロースだと名乗る老人が現れる。本物なのか偽物なのか、ニューヨークの街中が大論争となり……



映画が終わっても息子は何も言わない。
良かったとか、面白かったとか。

何か感想くらい言ったらどうなのと思ったけれど、そこはぐっと飲み込んで、わたしはあえて聞かないでおいた。

息子が生まれる前は映画評論をしていて、新聞や雑誌に執筆していたわたしとは、あまり映画の話をしたくないらしい。ママに映画を解説されたり分析されたくないと言う。良いも悪いもなく、そのまま自分の心に残したいからと、いつも言われてしまう。

はい、はい……
と、ママは大人しく引っ込んでおく。

でも、ヒロインの同僚の陽気な口癖、字幕には訳しきれないセリフを真似ていたから、きっと気に入ったんだと思う。

そして物語の大論争となった、サンタクロースはいるのか、いないのか。
これもあえて、息子には聞かないでおこう。

もしもクリスマスに奇蹟が起こるとしたら、それはわたし次第で、きみ次第だと思ったから。

いつの日か、きみはまたこの映画を観ると確信している。父親になったきみと、きみの子供たちと一緒に。

ねぇお父さん、サンタクロースって、本当にいるの?
子どもたちが、きみにそう訊いてくるだろう。

でもきみは答えない。
今のわたしと同じように、きみは子供たちには答えないままにしておくだろう。

答えは、わたしたちが自分で創るものだから。

‘Miracle on 34th street’ アメリカ映画 1997年

製作・脚本家: ジョン・ヒューズ
監督: レス・メイフィールド
出演: リチャード・アッテンボロー
   エリザベス・パーキンス
   ディラン・マクダーモット
   マーラ・ウィルソン





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