「人生、楽しんだ者勝ち」         一日の始まりに今更ながらこの言葉を唱えることにした

今年の三月末で仕事を辞めてから、思っていたほど暇になってはいないものの、自由に使える時間は劇的に増えた。

在職中には、退職したらこんなことをしよう、あんなこともしたいといろいろ考えていた。
それが、いざ自由の身になってみると、あれほど夢想した「ただ懐かしい音楽を何時間も聴きまくる」とか「録りためた映画を何本も見まくる」というパラダイスにいるような楽しい時間を過ごすことができない。
退職して四ヶ月近くになるが、CD一枚、映画一本、まともに聴いたり観たりしていない。

私はこんなことをしていていいんだろうか?
せっかく時間ができたのだから、もっと有意義なことをしなければならないのではないだろうか?

こういう考えが浮かんできて、わけのわからない焦燥感に苛まれるからだ。
こんなことをするのではなくて何か身になることをするべきじゃないか?
じゃあ、身になることって何だ? 考えてみよう。
身になること、身になること、身に・・・・・・ZZZZZZ

で、気がつけば二時間以上。
音楽を聴くよりも、映画を観るよりも、はるかに無意味な時間を過ごしてしまう。
この時間で生まれたものは何もない。潔く音楽を聴いていたら、その曲を聴いていた当時の記憶を甦らせ、懐かしさに浸り、元気になれただろう。映画を観ていたら、新たな世界への興味が湧き、自分の中の引き出しを増やすきっかけができたかもしれない。
結局無意味な時間を過ごすくらいなら、楽しむことに対する罪悪感など捨てて、没頭したほうがいいに決まっている。
だから、一日の始まりにこの言葉を唱えよう。

人生、楽しんだ者勝ち。

笑って過ごしても一生。泣いて過ごしても一生。
死ぬ時に「ああ楽しかった」と、少しでも思えるように。
いろんな人からたくさん恩を受け、たくさん迷惑をかけながら生きてきた私のせめてもの償いは、自ら納得できる何かを成して、笑って死ぬことなのである。
未だ何者にもなれていないけれど。


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