さくら荘のペットな彼女 2話・感想

視聴日時 : 2022年6月10日(金)22:52

 話の始まりは、生活力が皆無な椎名ましろのお世話係をさくら荘の住民で持ち回りにしようと主人公が熱く提案するシーンから始まる。結論から述べると、即落ち二コマで、主人公が引き続き担当することに決まる。
 客観的に見れば、人のお世話を出来そうな甲斐性のある人間なんて主人公しかいないのだから、この会議を開く意味はほぼないのは自明だが、OP前の様式美ということなのだろう。

~OP~

 椎名ましろの変人具合は、介護が必要なレベルで身の回りのことができないことにとどまらず、コンビニエンスストアのシーンで「会計前の商品を食べてはならない」という常識さえ持ってないようである。
 これまで身の回りの介護をしてくれた人物がいたことは推測できるが、このレベルの社会常識のなさは、これまで社会との接点を一度も持ってこなかったのではないか?と推測するくらいである。例えば地下牢にずっと押しとどめられていた、とか。

 そして相変わらず、みさき先輩は何をしゃべっているのか、さっぱりわからない。

 声優志望の同級生女子は通学路途中にあるコンビニバイトをしているらしい。ましろの言葉足らずな「初めての人」発言により、典型的な勘違いをしたようだ。

ましろの食事代が主人公のお財布を逼迫し、主人公が外で水道水でお腹を膨らませているところで、さくら荘に住んでる婚活女教師との意味ありげな会話が始まった。

「あ、そういやアンタ。進路調査票出してないんだって?」
「話逸らそうとしても無駄です!それより椎名が….」
「あんなの適当にパイロットって書いておけばオッケーなのに」
「オレは小学生か」
「少しは上井草(かみいぐさ)(=美咲先輩)を見習いなさいよ。ケツの穴の小さい男ねぇ~」
「あれは宇宙人です」
「うだうだ言ってないで職員室は『進学』の二文字で安心するわよ~」
「それは…」
「…..たかだか進路調査も、アンタを見てると意味があるような気がするわ」
「は?普通は無意味ってこと?」
「とりあえず『進学』って書かない生徒、発掘するためにやってんのねぇきっと。「とりあえず」に続く言葉は、「ビールだけで十分」。それじゃあね」

 第一話で、主人公が何か特別な存在になりたがっていること、そして特別ではないことを自覚しており、特別な存在、例えば美咲先輩のような存在が活躍しているのを目にすると劣等感を感じているのは自明である。それが故に、進路調査で悩んでいると思われる。特別ではないけれど、普通でありたくないがために、普通に「進学」と書くことをためらっているのである。

(しかし、この考えは現実世界では「犬の道」である。成功者への憧れが、自分にとって大切なもの(これを「自分にとっての価値」と呼ぶ)が何なのかを見えづらくさせる。成功者にとっての価値や、社会にとっての価値が自分にとっての価値に侵食し、下手をすれば置き換わる可能性がかなり高い確率で起こるからだ。逆に、この「誘惑」に惑わされない人々を「本物」と呼ぶのである)

 これに対して「とりあえずに続く言葉はビールだけで十分」という女教師の発言は、正確には意図を掴みかねるが、進路なんて未来のことを考えるのは一個人としては本質的ではなく、というよりも現実的ではなく、「ビール」という即物的かつ等身大の欲求に従うことが人間の性質には自然であるということ意味しているのだと考えた。実に大人らしい考えだと思われる。


 教室に戻り、コンビニバイトの声優志望の同級生女子が何やらまだ今朝の「初めての人」発言を引きずっているようだ。こんなに引きずるか.....? よほど好意や関心がないと、ここまでチンパンジー以下の思考回路を継続することはないだろう。

 これは、恋愛脳によってIQが低下するという研究結果にそぐわないものである 。


(ちなみに、三鷹と美咲先輩のコンビの記事は、主人公の劣等感を表現するのにわざとらしすぎるイベントの挟み方で腹が立ったので触れないことにする)


 少し時は流れて放課後の下校時間である。ましろが何故か一人で帰ると言いだし、介護役の主人公とは別行動になる。

 視点がどこ目線か不明だが、ましろと「あやの」と呼ばれる知り合いらしき成人女性と一緒に帰るシーンに変わる。この時点でましろが一人で帰ると言った理由が、あやのさんとの待ち合わせがあったからと考えられる。

 ましろが某、声優志望の同級生女子が勤務するコンビニに立ち寄り、主人公からの伝言「イギリスでは周りが女子ばっかりだったから、仲良くなった女子は空太が初めて」を伝える。それで誤解は解けたようで、ましろの去り際に笑顔を浮かべた。その笑顔にぼくは殺意が湧いた。


 視点は主人公に戻り、猫が玄関でお出迎えする。「ひかり」とかいう名前だ。ペットに人間っぽい名前ってつけるモノなのか。ペットに名前を付けたことが無いから意外だった。

 そして、栄光のキャベツロードである。

 三鷹先輩の誕生日を祝うために、彼の幼馴染である美咲先輩が用意したキャベツインテリア、ないしキャベツアート。

 ここでの三鷹のあからさまな発言「天才の考えることは凡人には謎だってことを」は拾うまでもない。

それよりも、プレゼントは「わたし」状態の美咲先輩に対し、女慣れしているはずの三鷹が「目に毒だ」といって布を被せたのは、関係性がちょっと匂ってきていいですね。

~~ちなみに、今回のクスリポイント~~

「それじゃあ、今度こそ俺は失礼しますんで......」
「ちょっと待て。このキャベツはスタッフが美味しく召し上がるしかないんだ。手伝ってくれるよな?」
「おれ、スタッフじゃないんで!!!」(ダッシュでその場を離れる主人公)


「俺の常識が侵食される前にこのさくら荘からさっさと出ていかないと….」

 この発言がどういうモチベーションから出てくるのかがいまいち脈絡がない。普通の人になりたいのか、特別な人間になりたいのか、思考と発言と行動が矛盾している。この「さくら荘を離れる」発言が夢を追うことをあきらめることの比喩表現とは考えられる。


主人公はましろのヌードモデルになり、セックスの描写をするために二人はセックスをする…………

え?なんでセックスしないんですか?今世紀最大の謎です。

 椎名ましろは漫画を表現媒体としてあえて選んでいることが重要視できる。感情の機微も、人間同士のやり取りもわからなさそうなこの女が、恋愛漫画にこだわるのは何かしら理由がありそうだ。

 そして、その翌朝、たまたまテーブルの上に開かれてあった画集が椎名ましろの描いたものであることに主人公が気づき、劣等感マシマシ、ニンニクかため、ラーメン大盛になるところで第二話が終わる。



【総括】
 主人公は夢中になれるものが見つかっておらず、仮に何かやってみたいことが頭の片隅にはあったとしても、美咲先輩や三鷹先輩、そして今回明らかになった椎名ましろなどの成功者に対する憧れと劣等感によって、自分にとっての価値を見失っている。それが主人公の今の置かれている状況である。と僕は考えました。


みんなも色々過大解釈をしてみると楽しいよ!


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