変わるのは社会、正社員至上主義を変えるのは正社員

正社員であることのメリットを自覚して、働き方を選んできました。独身で女性で、家族構成や必要な所得から逆算した結果です。でも合間に非正規で働いたこともあるので、どちらの立場も分かるつもりです。非正規雇用の立場の弱さ、理不尽さ、正規雇用への流動性の無さは異常です。そしてその人たちの仕事が今現在の社会を支えています。非正規の仕事の経験や蓄えた実力が、正当に評価されて賃金や昇進に、本人の望む待遇につながるべきでしょう。

また、正社員であっても、自身の健康状態や結婚出産介護その他の事情から、非正規的な働き方を希望することだってあり得ると思います。しかし今は正規と非正規の流動性の無さのため、一度正規から降りたら次は無い、というプレッシャーから本来望むキャリアを描けない。

正社員がどう変わるか。通常、人事制度を変える旗を振るのは正社員または経営者ですから、その意味では正社員が特権意識を捨ててまず変わり、旗を振るのでしょう。しかし根本的には新卒から定年後の嘱託雇用まで、正社員至上主義の価値観を持つ社会(採用市場)を変える必要があるのではないでしょうか。

新卒は横並びの採用をする必要があるのでしょうか。中途採用で重視すべきは、職歴に加えてスキルや成長熱意では。学歴、職歴、どこかでこぼれ落ちた経験がある方が、働くことに対して自覚的であるとは考えられないでしょうか。

私が最初に正社員として雇ってもらった会社の最終面接では、挫折した経験を1人ずつ披露させられました。応募者はまあまあの学歴を持った新卒だったので(今の私などから見るとキズも無くぴかぴかの若者たちだったと思いま)すが、出るわ出るわ、大失敗と挫折のオンパレード。内定を勝ち取るために自分のダメなエピソードを暴露し合うというのもレアな経験でしたが、今になってみるとそこにこそ本人の足掻き、生き抜く力強さが見えるのだと納得した選考でした。

選考プロセスひとつでも正社員は変わります。送りたい人生を仕事とともに全うするために、自分の首を絞めないために、正社員が自分から変わる。その結果、正規雇用、非正規雇用、個人事業主、家事従事者など、働く人全員が、その都度、人生と仕事を選びやすくなる。それにより、日本の社会の風景は変わり、個々人がもっと生きやすくなるのではと思います。

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