突然会えなくなった君

あなたと会えなくなってから4年が過ぎた。

あっという間のような長かったような。
正直よくわからない。

飲み屋でいつも通りビールを頼み、仕事の愚痴やのなんやのを話しながら、仲のいい4人でいく来月の旅行先をいい加減決めないとね。なんて話をしていた。

その1週間後、彼は突然いなくなった。

とても親しくしていたけれど、10年前に少し働いていたバイト先で一緒だっただけの私たち。
私の元に彼の訃報が届いたのはだいぶ後だった。

意味がわからなかった私は涙が出るより先に彼に電話をかけた。

電話に出ないのでLINEを送った。

彼から連絡が返ってくることはなかった。

出会ったのはまだ私が10代の頃。
6つ上の彼はお兄ちゃんのようだった。

彼氏とうまくいかずに泣きついたことも、
憂さ晴らしに飲みにいったことも、
2人で遠出をしたことも何度もある。

友達以上恋人未満とよく言うけれど
友達以上で、恋人以上の存在だった。

そんな彼がいなくなったことは、私の中で今も理解できないままだ。

コロナのせいで最後のお別れもできず、
訃報だけを聞かされて会えなくなった。

一人で逝ってしまった。

そんなに急がなくてよかったのに。

それから4年の月日が経ったある日、
当時彼が住んでいた家の最寄駅に降り立つ機会があった。

彼がいなくなってから訪れる機会もなかったその駅は
あの頃と何も変わらず、彼の家への道順を思い出させた。

私は立ち尽くしてしまった。
その場所には大した思い出もないのに、あそこで待ち合わせしただの、あそこのコンビニでアイスを買っただの、そんな些細なことが一気に蘇った。

残された側の私たち。
時間が傷を癒すだとか、時間が経てば受け入れられるだとか、全然そんなことはない。
ただ、生きていかなければならないから、出来る限り考えないように、気にしないようにしているだけだ。

どうせ忘れるなんて、割り切るなんてできないのだから、勝手に寂しがっておこう。

私はあなたが恋しいから。

そっちに行くのはまだ先になりそうだけど、
次会うときには約束してた焼肉に行こうね。

私はあっという間にあなたの年齢を追い越してしまうけど、あなたに会うときは、最後に会った時の妹のような私で会いに行くからね。

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