見出し画像

勝山千鶴

今回頂いた“勝山千鶴”という役

今宮兄妹(うっちーさん、こんちゃん)が運営する障害者支援施設で武ちゃん(翔之介さん)と暮らす発達障害を持つ17歳の女の子。

最初の設定はこれしかありませんでした。

発達障害…
まずその障害を調べるところから始まりました。
でも調べて見てわかった。

めちゃくちゃ枝分かれするんですこの障害って。
「発達障害」と一括りにしても蓋開けてみれば文字が書けないが他は不自由がない、字が読めないが他は不自由がない、感覚過敏、落ち着きがない等特徴が様々で…。

でも調べていくうちに腑に落ちない部分があって。
そもそも鶴ちゃんは“発達障害”じゃなくて“知的障害”なのでは?
そこから知的障害についても調べて…。
本編で「軽度の障害者」という言葉が何度か出てきますが、鶴ちゃんの場合は武ちゃんが常に傍にいるから生活に問題がなかっただけであって1人では生きていけない子なんだろうなと思うようになって。

“発達障害”  “知的障害”を調べていくうちに鶴ちゃんは軽度じゃなくて中等度の知的障害なのでは…?と思うようになって。
特徴は人それぞれ違うそうですがIQの目安を見ていると中等度にあてはまっている部分が多いように感じて。
そこからSayo.の鶴ちゃんは“中等度知的障害”を持つ女の子としてキャラ作りを始めました。

もし障害が軽度で生活に問題なかったらストーブの火を見て綺麗だからって紙近づけたりしないですもんね。

背景にある工場の火事も…
武ちゃんがなんらかで鶴ちゃんを1人ストーブの傍で待たせて離れた隙に、ストーブの火が綺麗で近くにあった紙の先をストーブに入れて火をつけて出したくなったのかな…。
鶴ちゃんは危機管理能力が鈍いからそれが危険な事だとは思ってなかったと思うんです。
でも紙はすぐに燃えて熱くて手を離しちゃって…。
工場だから燃えやすい素材が周りに多くあったんじゃないかな…。
すぐ火は広がって…。
臭いか何かで飛んできた武ちゃんも鶴ちゃんよりはだいぶ軽いけど発達障害があり、多分2人でパニックになってたと思うんです。
鶴ちゃんは鶴ちゃんで火事になるなんて思ってなかっただろうし。
武ちゃんも自分が目を離した隙にこんな事になるとは思ってなかっただろうし。
それでも鶴ちゃんを連れて逃げてくれた武ちゃん。
2人とも怖かっただろうな…。
その背景を考えていたので実は劇中で橋元の「だって火事を起こしたのは施設よね?」のセリフが聞こえた瞬間萎縮していました。
鶴ちゃんからしたら自分がやってしまった事で施設にいたみんなが居なくなり、先生達がバタバタしているのを見るの辛かったんだよね…。

通し稽古より

冒頭のシーン
鶴ちゃんの「あっかー!!赤い、赤いなー!むっちゃ綺麗ー!」というセリフから始まります。

このセリフの後「トマトがいっぱい?ダリ?クリスマス?」と続くのですが…

なんでトマト?
ダリってなんやったっけ??あ、画家か…。
なんでダリが出てきたん?
クリスマスはイルミネーション?

たくさんの「?」がありました。
でも公演前に2度通天閣に行って感じたのは、最初の赤ー!は夕日トマトが…のくだりは通天閣の下に集まるパトカーのランプかなという事。
実際に菜奈先生役のこんちゃんと子供役のしょうちゃんとしょうちゃんのお母様と通天閣から夕日を見た時に凄く赤くて…。
素で「あっか〜めっちゃ綺麗…」と呟いていました。

通天閣から見た夕日

多分鶴ちゃんは武ちゃんから通天閣からの夕日のエピソードを聞くのが好きで何度も何度も聞いてたと思うんです。
(武ちゃんからしたらお母さんとの最後の会話っていうちょっと辛いエピソードではあるけど…)
だから実際に夕日を見た時にそのエピソードの通り赤くて鶴ちゃんとしては大興奮でした。

天真爛漫な鶴ちゃん
元々稽古終盤ギリギリまではあんな動いてなかったんです。
でも田中さんから鶴ちゃんは“無性別”で作って欲しいと言われたんです。

無性別…
無性別って何!?

そこから稽古も残り僅かって言う時に一気に迷路に入ってしまって…
これまでは武ちゃんという実年齢は近いけど鶴ちゃんからしたら年の離れたお兄ちゃんにずっとくっついている妹というイメージで作っていました。
助言を頂いて次の稽古で一発目に試したのは
声のトーンを落として男の子っぽくし、やんちゃ坊主のごとく動き回ること。

でも稽古動画を見返すと声のトーンは変えたつもりになってるわ、動きがぎこちないわ…
1番苦労したのは座り方でした。
Sayo.自身女座り(正座から両足を横に崩したような座り方)する事が多くてそもそもが内股で…
立ち姿も女が抜けなくて悩んでいた時にふと「鶴ちゃんの根本は女の子でいいのでは?」と思うようになりました。
武ちゃんとこれまでずっと一緒に暮らしていく中で、遊ぶ時も勉強する時も仕事の時も武ちゃんにくっついて回って、ずっと武ちゃんを見てきたが故に武ちゃんの真似をしてるのではないか?
そう思って動画を見返す時も武ちゃん役の翔之介さんの座り方などを見るようになって…。
また、動けるシーンでは存分に動いてみようと走り回ってみたり…。
完全に座り方や仕草の真似は結局出来なかったけど稽古序盤に比べると鶴ちゃんの設定の方向転換が上手いこと出来たのではないかなと思います。
観に来て下さった皆様にもそれが少しでも伝わっていたらいいな…。

でも根本の女の子の部分も後半になるにつれて絶対出てくるだろうと思って徐々に甘えん坊で女の子らしい一面も取り入れた結果Sayo.の鶴ちゃんは出来上がりました。
最後のシーンで菜奈先生が乗り込んでくるところからはもう完全女の子でした😂
本当は先生達を喜ばせたくて武ちゃんと企てた計画。(武ちゃんは別の思いもあったけど)
鶴ちゃんは菜奈先生が来た時純粋に「菜奈先生だ!喜んでもらえるかな??」とワクワクしてたと思うんです。
でも菜奈先生は心配のあまり怒っていて…。
鶴ちゃんとしてはなんで怒ってるか分からなくて、でも徐々に何かダメなことをしたと気付いたんだと思います。
でも武ちゃんの「やり始めてしもたことやから最後までやめられへん」の言葉で大好きな武ちゃんから離れたくない、でも菜奈先生のところに行きたいの葛藤が始まります。
そんな中電話越しに聞こえる園長先生の優しくて大きくて元気な声。
涙腺崩壊でした。
そして唯一の肉親である郁ちゃんの声。
鶴ちゃんはパニックだったと思います。
鶴ちゃんは拙い思考回路の中でも自分が火事を起こしたせいで周りに迷惑をかけ、更にはお金もなく大変な状況にあるというのは分かっていたはず。
だから武ちゃんの止める声を聞かずに今回の通天閣立て篭り事件の真相を話してしまいます。
そのシーンで武ちゃんに「鶴!言わんでええ!」「鶴!!」と言われるんですがそのシーンの武ちゃんの…というか翔之介さんの目が…
優しさと寂しさと焦りと…色んな感情が混じった表情をされていて…。
それでさらに涙腺崩壊。
鶴が自分のせいで火事になったことを菜奈先生に告白し謝ったあと武が「俺が悪いねん、俺がちゃんと見てへんかったから…」と訂正を入れるのですが鶴ちゃんはそこでも猛反対。自分でちゃんと分かってたんだよね。
「武ちゃんやないよ!!!」でもう1回武ちゃんを見るんですがものすごい辛い表情をしてて…。
共演者からさよっちの鶴ちゃんと翔之介さんの武ちゃんからは儚さがすごい出てると言われたことがあったのですが、間違いなく儚さを醸し出していたのは翔之介さんだったと思います。(私は翔之介さんの表情だったり声につられただけ😂)
ほんとに最後のシーンは鶴にとって1番しんどいシーンで自分がやったことを告白、知事へのお願い、そして刑事が乗り込んで確保され、大好きなお兄ちゃんの武と離れ離れにされ、目の前で武が撃たれる…
体力と精神力が限界を迎えるほどしんどいシーンでした。
でもSayo.的には一番好きなシーンでもありました。

そもそもなんで鶴ちゃんを演じるにあたってこんなにもキャラ作りを徹底していたかには理由があって。

以前からハンデのある役(言い方は悪いかもしれないですが💦)を演じてみたいという思いがあったんです。
それに加えて初のヒロイン。
更にはA、Bの鶴武4人の中で劇団の方に混じって1人だけヤスミン生という状況。

W鶴武(with  Bキャスト 武役 翔之介さん
Aキャスト 鶴役 さらさん、武役 寝太郎さん)


更にはダブルキャストのもう1人の鶴ちゃんがめちゃくちゃ可愛いさらさんで…。
さらさんの演じる鶴ちゃん、とにかく素直で純粋で可愛くて。
Aチームの武ちゃん役の寝太郎さんとのチームワークもバッチリで。
なにか爪痕を残したいと思った結果、隅から隅まで調べてそのキャラとして生き抜くということに辿り着きました。

W鶴ちゃん(with Aキャスト さらさん)



Aチームは劇団員の2人が演じている分合わせる時間も多いのに対し、Bチームは私が劇団員ではない分稽古の時にしか合わせる事が出来ませんでした。
その分どうやってBチームの鶴武を作り上げるか、Sayo.なりに必死で考えて…
絞り出した答えが私が稽古日にヤスミン生の中で一番乗りに行って稽古終わりも最後まで残って合わせれない分設定を細かく考えちゃえば合わせる時間が少なくても限られた時間で合わせればいけるんじゃないか…という事でした。
恐らくAチームは2人で色々話し合って動きも決めてたとは思うんです。分からないけど。
でもBチームは鶴ちゃんがヤスミン生だししょうがないよね、とは悔しいから言わせたくなくて。
少しでも差を縮めたくて最後の嘆願書のシーンでは稽古時から翔之介さんに実際に使う紙に文を書いてもらったり…。
稽古場から実際の衣装フル装備、鶴ちゃんメイク、鶴ちゃんヘアで動いてみたり…。
鶴ちゃんの障害がある故の特徴的な癖や仕草も1つ1つ考えたりしていました。
あとはもう…役作りのノートを作って思った事、稽古のフィードバック、自分へのダメ出し、調べた事等色んなことを殴り書き…。
結局ノート3冊ほどを使って色んなところにメモをしてました。(ノート全部を埋めた訳では無いです😅埋めたかったけど💦)

…というわけで
Sayo.の鶴ちゃんの役作り秘話と鶴ちゃんへの思い、鶴ちゃんを通して感じた事を長々と書きました。
文章力がないのであっちこっち話が飛んでたり読みにくかったかもです💦
すみません…。、

でもこれを書いてて思った事
時間巻き戻したい

ホントに今回の「通天閣ブルース」のメンバーが大好き過ぎて居心地が良すぎて…。
お世話になりっぱなしではありましたが本当に楽しかったです。

またみんなと共演出来ますように…🙏🙏
ありがとうございましたm(_ _)m

「通天閣ブルース」Bキャスト  勝山千鶴役 Sayo.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?