アマダスの魔女たち

『アマダスの魔女たち』というコミックを五巻まで読んだ。

一般紙で連載されているため成年指定ではないが性的要素の強いコミックをエロコメというらしいということをアマゾンの評価欄で最近知った。

今月はエロコメを結構買っていて、アマダスの魔女たちもそのうちのひとつ。

物語としては、謎の特異体質により、卵巣の中に時価五百万のレッドダイアモンドが生成される通称アマダスと呼ばれるひとたちが突然変異的に出現するのだが、彼らは射精するたびにちんこの先端からダイアを出す。そして、そのダイアを盗もうとする通称魔女と呼ばれる連中がいる。魔女は主人公含むアダマスの人たちを襲ってダイアモンドをゲトろうとしてくる。どうやってゲトるかというと、これはエロコメなので睾丸を切り裂いて中身を奪うなどの猟奇的な手段はとらず、色仕掛けとか逆レイプとかのエロチカな手法を駆使して射精させようとしてくる。その結果、主人公を含むアマダス的な人たちは一種のハーレム状態に陥るわけなのだが、彼らにはダイアを一個出すたびに寿命が約一年縮むという生物学的な制約が課せられているのでそのままハーレム状態に甘んじて射精しまくってたら余命がものすごい勢いで縮んでいってしまい即死する。そうなるのはイヤなので、有識者の女医のもと射精をコントロールするテクニックを身に着けるなどして睾丸のダイアを死守しながら日々をサバイブしていく。みたいな話。

主人公は射精したら寿命が一年縮むのでオナ禁生活を強いられるわけだが、アダマスの人たちにはオナ禁すると謎のフェロモンが発散されるという特殊体質があるので同じ部屋にいるだけでまわりの女の人たちがものすごく発情した感じで寄ってくる。あとを毎回かならず一回はパイオツがまろび出る幼なじみがいたり、魔女の人たちはじつは組織化されており毎回刺客みたいな感じで襲ってくるのだが彼女たちはあまさず性格が歪んでいるため自分の異常な性的妄想を主人公含むアマダス的な人たちに押し付ける形でレイプ行為に及んでくる、みたいな展開が毎話続く。

最初のうち、主人公は自分の顔とかちんこに女の子のパイオツとか股間を押し付けられた結果性的興奮に耐え切れなくなった射精寸前でリリースされ、射精せずにすんで(=寿命が縮まなくて)よかった、みたいな感じでオチがつくんだけど、主人公のサポート役の女医による射精コントロールトレーニングを受けてからは射精せずに性的絶頂に達するドライオーガズムとやらに開眼し、一回までならイってもOKという特殊技能を身に着けることができたため、わりと普通にセックスしてたりする。

主人公をふくむアダマス体質の人の睾丸から射精によりダイアを奪おうと暗躍する魔女の人たちについてだが、彼女たちはそれなりに組織化されており、そして基本的に、ダイアのためならアマダス体質者を無限に射精させてその結果寿命が縮もうが知ったことではない、みたいな拝金思想の持ち主が多いのだが、しかし魔女である以前に人間なので、アマダス体質の人たちとコミュニケーションをとるうちに情が移るなどすることがある、といったラブロマンス的な要素もちらほらと出してくる。

ちなみに魔女の組織の親玉はすでに面が割れている。面が割れているなら、アジトに対して襲撃をかけるなどして組織を壊滅させてしまえば、今後刺客としてやってくる魔女を先制攻撃的にたたくことができるわけだが、しかし主人公は普通の男子高校生なのでそのような襲撃能力は備わっていない。そのため、主人公は、いつどこで魔女に襲われるかわからないという状況の中で毎日を過ごすという、受け身の体勢をとるはめになる。

エロいコミックにおいて、主人公の射精が禁じられるという制約があるのはよい。主人公が射精するという前提であれば、それは物語のオチ的にイコールセックスするということになりやすく、そうなると、セックスというのは基本的にちんこを突っ込んで射精するというワンパターンなものなのであまり面白くない。それに対し、射精しないという前提であれば、内容がイコールセックスである必要性が外されることになるため、たとえば直接射精には結びつかないようなフェチズムみたいな要素をストーリーに導入しやすくなるんだな。と読んでて思った。

とはいっても『アダマスの魔女たち』では、主人公が射精コントロール術を身に着けた結果、ちんこを突っ込んでびくんびくんガクガクふわわわーみたいな射精なしセックスがちょくちょく差し込まれるようになった。しかしそういう普通のセックスぽい部分においても、寝取られみたいな追加要素を差し込んである。だから作者はシチュエーションとかフェチズム要素を意識して入れてるんだろう。

エロい要素と物語性を両立させるのは難しい。というのも、エロというのは過激にしようと思えば際限がないのだが、やりすぎると長期的な部分で設定とか物語のつじつまが合わなくなってくる。また、物語性を凝りすぎると、エロを差し込む要素がなくなってしまう。『アダマスの魔女たち』は、うまいこと設定を用意して、その範囲の中でエロのバリエーションを増やしながら、物語的にもわりと破綻させずに巻数を進める、というバランスがいいことをやっているので、感心しながら読んでる。

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