単語帳より多読 (rolling を例に)
さて、問題です。Rolling この単語の品詞と意味は何でしょう?
動詞rollの名詞/形容詞形かな。 「回転」「回転の」
・・・と思いますよね。間違いじゃないです。でもちょっと待って。
こんな例文もあります。
Thunder was rolling.
The clouds are rolling away.
You could see hills rolling on for miles and miles.
あれ?意味が通らない。
雷と雲はそれでも回転できるけど、丘は、さすがに回転しないよ。
実を言うと、「スラスラ読めない」「長文を読むには語彙が不足しているようなんです」という英語の悩みの原因の一つは、こういう覚えている意味とずれているとしか思えない使い方らしいということに、最近気がついてきました。易しいはずの単語にも驚くほどいろんな意味があるんですわ。ぱっと頭に浮かぶ、「昔、暗記した意味」が邪魔をするのです。
改めて辞書を引いて、下の方までゆっくり読むと、
「雷がとどろく」「波のうねり」「土地の起伏」「巻いていく」などの意味もあることがわかります。
ああ、雷のゴロゴロを回転する車輪が立てる音と表現するんだ。波は確かに回転の一種だ。そして、雲が流れていって消えるのではなくて、じゅうたんを巻くように消えていくことってあるなあと腑に落ちた人は、rollingをマスターして、次回から首をひねることはなくなるはず。
そんな意味もあるんだ!暗記しなくちゃと思った人は「この前辞書引いたのに、もう忘れている!」と、イライラしちゃう可能性が高いです。
言葉と言葉をペアにした暗記より、そこで描写されているイメージを脳内に描いて、rollingとキャプションを付けてやれば、だいぶ記憶の定着が楽になるはず。
想像力は英語力を助けてくれます。
このあたりは個人個人のメソッドを作って行くと良いかな。
私の場合は、翻訳の仕事の場合は時間がないので、ん?と思ったら、すぐに、何度でも辞書を引きますが、趣味と勉強を兼ねて洋書を読むときには
rolling thunder
rolling on river
rolling hills
clouds rolling away
などのフレーズを脳内コレクションしてきます。それぞれのシーンをイメージしつつ「回転する/回転の」をキーに考えると、「あーこれ、日本語でどういうのだっけ、うねりだ。」と閃くときが来るので、それから辞書を引いて、自分の訳語が間違っていないことを確認して、ついでに例文を読んだり、語源を探したり、そしてこう言うnoteを書いたりもします。
ちなみに、rollingをマスターしてから、日本のある歌への違和感がさらに大きくなって、英語のある歌は思い浮かべる情景が100度くらい変わりました。
昔はボキャブラリ大嫌いだったけど、もう最近面白くて。
英文を読むだけで手一杯の人でも、「トヨタ車を買ったらトヨタ車ばっかり目に入る」と言われているように、気になる単語が出てくると、その単語が目に付くようになるので、多読をしているだけでフレーズと用法の脳内コレクションが育っていきますよ。
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