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命はやはり、有限だった。

命はやはり、有限だった。

「地球は青かった」、並みに当たり前のことなのだが、最近このことについてよく考えるのだ。

この記事を本日したためようと思ったのは、まぎれもなく、愛するペットのえみーる君の死があったからだ。

頼まれてはいないが、まず愛するえみーる君を紹介しよう。本名:エミール(享年2歳3か月)。令和3年4月17日没。キンクマハムスター。120g。ディズニーの「レミーのおいしいレストラン」に登場する食いしん坊ねずみ・エミールにちなんで名づけられる。


ああ可愛い。

話を戻そう。そのエミール氏は就活で自分自身に過集中したくない(意識を他に分散させたい)という理由でわたしに迎えられた。生粋の動物好きのわたしがはじめて自分で飼うペット。以来、就活で病める時も、会社員で病める時も、個人事業主として病める時も、、、(いつ健やかなんだ)私のそばで癒しを提供してくれていた。

ハムスターの時間感覚は人間の5倍であると聞いたことがある。寿命も2~3年。3歳に到達する子はほぼいない。そんなことは、飼う前から飼育書を読んで知っていた。

成鼠しても、顔は幼いまま。お別れの時が来ることなんか、微塵も想像できない日々が続いた。はじめは様子が心配で眠れない日々がつづいたのに、いつの間にやら居ることが当たり前になっていた。

しかし。ちょうど二度目の緊急事態宣言が明け、桜が満開の季節くらいからだっただろうか。今まで目を逸らしていた「その時」が刻一刻と近づいているという事実を、嫌でも意識しなければならない兆候が表れてきた。

脱毛、食欲の減少、睡眠時間の伸び、体重減少、筋力の低下。

分かってた。知ってた。だんだん老いてきて、運動量が減っているのとか、薄々知ってた。でも、見ないようにしてた。

でも。さすがに。見た目の変化はごまかせない。

もうそろそろかもしれないけれど。でもまだだよな。まだであってよね。奇跡的にあと半年とかさ、生きちゃったりさ。きっとそうだよ。そんな私の気持ちとは裏腹に、今朝ケージをのぞくと、ぐったりした彼が。見た瞬間に分かった。「今日がお別れなんだ」と。

まだ呼吸はしている。大好物のミルワームを渡したら起きるかもしれない。そう思ってミルワームを近くに置いたが、いよいよそれを食べることも、目を開けることもなく、夕方、息を引き取った。

最近私は家を空けていることが多い。そんな私が1日中家にいるときにお空に行ったエミール。生と死のはざまで戦っている姿をすべて見せてくれた。「見ろ。この事実を。この過程を。」そう言われているような気がした。1人で向き合うにはあまりにも重く、つらい光景だったが、よく分かった。

命は有限なのだ。

自分の命も、大切な人の命も。ハムスターよりは少しスピードは遅いが、人間も老いる。確実に老いる。そして人生80年とは言えど、各々の終わりがいつ来るかなど誰にもわからない。

親や祖父母は自分が見送るものだと思っているが、それさえ分からない。末期ガン患者の方がおっしゃっていた言葉で印象的な言葉がある。

「医者から、明日生きているかも保証できないと言われたとき、はじめは頭が真っ白になった。でも、落ち着いて考えてみれば、それは何も末期ガン患者に限ったことではないと分かった。次の1日を保証されている人間など誰も居ないのだ。」

終わりがいつかは分からない。でも、いつか確実にくる。だから、自分には正直に。そして他人にはできる限り心を尽くしたい。

もう、「その時が今日だと分かっていれば」なんて思いたくない。

だから、直視するよ。もう、人生であと何回祖父母と、親と、友人と会えるかわからないという事実を。あと何回好きなものが食べられるかわからないという事実を。あとどれだけ行きたい場所に行けるかわからないという事実を。あとどれだけの爪痕をこの世に残せるか(はたまた残せないのか)わからないという事実を。

とりあえず。賛否両論あるとは思うけど、私はゴールデンウィーク、帰省することを決意した。愛する両親と兄弟に会うために。会社を退職し、個人事業主になったことも伝える。心配はかけるかもしれない。でも、今もし私が死んだら、「好き放題挑戦して幸せな人生」だった、って伝えられないし。「信頼していないから、愛されないと考えたから、ではなく、大切だから言わなかった。死ぬほど心配することが手に取るようにわかってたから、言えなかった。」なんてことも伝えらえれない。自らの生き方に悔いを残さないことも大事だが、周囲の人に悔いを残させないこともまた大事だと思うのだ。

さて。ここまで書いたところで、お腹がすいてきたので本日はここら辺で終わりとしよう。
悲しくて寂しくて泣き腫らして、とてもじゃないけれど人様にお見せできないような顔になっている現状でも、お腹は減る。それが生きているということ。

それではまた、何か書く日まで。

R.I.P えみちゃん。

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