No.13 「不機嫌と甘えの心理」
加藤諦三「不機嫌と甘えの心理」より
妻をしつこく叱責する不機嫌な夫は寂しいのである。
寂しいから妻に絡んでいるのである。
家庭内暴力の子供が傷ついているように、
妻をしつこく叱責する不機嫌な夫も傷付いている
「叱責する」といっても、自分の不満をストレートに表現するのではない。
それが出来れば不機嫌にはならない。
他の事を持ち出して妻を叱責するのである。
「正義に訴える」
「倫理に訴える」
「世間の常識に訴える」
そうした責め方である。
「お前は世間知らずだ」と言って責めるような責め方である。
相手を責めているというよりも、
自分の怒りを正当化していると言ったほうが好いかもしれない。
「怒りのすり替え」である。
第三者から見ると、何でそんなに責める態度に出るのだと不思議に思える。
しかし、
妻を責めている夫は、自分の不安感を打ち消そうと必死なのである。
心の底で感じている事は
「どうしてそんな恐い態度を取るのだ、俺の事を嫌いなのか?そんなことないよな」と言った弱々しいものである。
要するに「何でそんな態度なのだ」という事である。
だから、責めているといっても その姿勢は「受身」である。
今まで夫は、誰も自分を守ってくれない、と感じて生きて来ているのである。
相手を責めているのは自分を守るエネルギーである。
不機嫌な夫は黙っていても、心の中は家庭内暴力の子供と同じである。
黙っていても、心の中で妻を責めている。
暴力は振るわないが、家庭内暴力の子供が母親をしつこく責めるのと同じように、しつこく妻を責めている。
結果、妻は飽くなき優しさの求めに疲れてしまう。
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