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退路がある人間、退路がない人間。

ドラマの「リバーサルオーケストラ」
「音楽家の世界って生ぬるいんだ~~」と勘違いしてしまうようなストーリーで一ミリも面白くないですが
新しいのがアップされると、なんとなく見ています。

7話に「退路があるってこうなるんだなー」というシーンがあったのでシェアします。

幼少期から「天才バイオリニスト」と呼ばれていたハツネ。
しかし、妹の急病が原因でステージを投げ出した過去があります。
その日を境にハツネはステージに立つことはありませんでした。

大人になったハツネは市役所職員として働いていましたが、出向と言う形で地元のオーケストラに参加することに。

予定されている演奏会に向けて選ばれたのは、自分が逃げ出した時に演奏するはずの曲でした。
ハツネは今だにあの時の記憶に囚われ、その記憶が影響して上手に演奏できません。
それでも、オーケストラの仲間からの励ましの中、練習を重ねていました。

ある日、幼馴染でプロのバイオリニストが同席する場で、近況を聞かれると「オケの皆さんに助けてもらいながら楽しくやってます」
市役所からの出向が終わったら市役所職員に戻るのか?と聞かれると「今後のことはまだ、ちょっとわからない」と答えます。
そして、幼馴染から「オケ、”楽しく”やってるみたいだね」と話しかけると
微笑みながら「うん、なんとか頑張ってる」と返事します。

その後、幼馴染は彼女の甘さを指摘したうえで「覚悟がないならこっちに入ってこないでくれないか?ステージに立つ資格ないよ、お前」と言われてしまいます。

その後、彼の言葉の影響もあり、うまく弾くことが出来ないハツネに仲間たちは
「元気出して」とか「誰でも調子でない時があるよ」と声をかけます。
が、ハツネは「大丈夫じゃないです。自分のことを甘やかすな」と逆ギレを始めます。

そこで仲間の一人が
「天才様のお気持ちは私らには分からないわ。
あのさ、はつねっち、自分一人が大変だなんて思わないでよ。
みんなシンドイ思いしてんだよ。
人と比べて落ち込んだり、自分の限界を思い知らさせたり
それでも必死でしがみ付いてんの。
はつねっちはどうなの?本当にこれしかないって思いでこのオケにいる?
心のどっかで嫌になったら市役所に戻ればいいって思ってない?」

と問いかけられますがハツネは何も答えないまま帰宅してしまいました。

*     *

他の団員は「仕事も収入源もここしかない」けれど
ハツネは「オーケストラがダメでも戻る場所がある」「市役所職員なので収入源は途絶えない」という甘えがある。

そして、その甘えが自分の傷をいつまでも放置させているし
放置された傷、周囲からの助言に対しても「被害者」になっている。
そうやっていれば、その傷に向き合わなくて済むし
生ぬるい世界でぼんやり最高じゃないかもしれないけど、最低じゃないはずの人生を生きられる。

「これしかない。ここにしがみ付くしかない。そのためには何でもする」
そんな思いが覚悟に繋がりますが
仕事も収入源もあるハツネに覚悟を決めろってのは無理とも言えますね。

*     *

戻る場所がある限り、人の成長は無い
天才的な才能を持っていても、自分の安心と安全を確約してくれるものに依存し続ける限り、自らその才能を潰すことになる。

退路を断った人間はどんな場所からも成長するし
自分自身にしがみ付き、なんとか道を切り拓こうとする力を持っている。
退路を断つから覚悟が決まる。

そんな事を改めて感じました。





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