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正義と悪について

今回は、別のテーマに挑戦します。 「正義と悪について」  戦争や紛争や侵略や暴動や差別など、世界のあちこちで対立や分断が起こっている。死傷者や難民が数え切れない。  日本国内においても、闇バイトによる強盗殺人などの凶悪犯罪から特殊詐欺やSNSを使った誹謗中傷などまで、新しいタイプの犯罪が多数発生している。最近では、選挙戦においてSNSを使い、同調圧力を巧みに利用した民意の誘導が行われたように思う。少し前に、選挙ポスター掲示版をジャックした事案があったが、今度は別の立候補者

    • 11回目 税務調査の在り方について 10

      5 税務調査はどうあるべきか  命に次に大事なのが「金」という世の中であるが、命の次が「プライド」の世の中にできないのだろうか。  税務調査の背景にあるものを理解した上で、所得税の税務調査がどうあるべきかを考えてみた。  あなたは、「9・6・4(くろよん)」や「10・5・3(とーごーさん)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これらは税の不公平感を表す俗語であり、数字は所得税の負担(捕捉)割合を表したものである。本来負担すべき所得税の9割とか10割の所得税を負担しているの

      • 10回目 税務調査の在り方について 9

        「税務調査の在り方 4 税務調査の背景にあるもの」の続き (2)租税法律主義の存在 憲法第84条(租税法律主義)「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」  租税法律主義とは、誰も法律の根拠がなければ、税金を賦課されたり、徴収されたりすることがないという考え方である。 (3)調査手続の明確化(平成25年1月から施行)  調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高め、納税者に対する説明責任を強化するものである。 国税

        • 9回目 税務調査の在り方について 8

          4 税務調査の背景にあるもの  所得税の税務調査がどうあるべきか理解する上で、関係法令や判例や組織の運営方針など税務調査の背景にあるものを認識し、理解して置く必要がある。それが税務調査官の立ち位置を決めることになるからである。   (1)法律の構成 憲法第30条(納税の義務)  「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」  憲法は国民の権利と自由を守るためのものであるが、義務についても規定している。  教育の義務、勤労の義務とともに、国民の三大義務

          8回目 税務調査の在り方について 7

          「税務調査の在り方 3 税務調査とは」の続き  所得税の税務調査においても色々な切り口があり、税務調査官それぞれに色々な思いがあると思うが、私はこう思っている。  『調査』を辞書で引くと、「ある事柄を明らかにするために調べること」「ある事象の実態や動向の究明を目的として物事を調べること」などとある。税務調査も調査である限り、これらの事柄が当てはまるはずである。 (1)調査の目的は、真実を追究して、真相を究明することである。  真実は一つしかない。であれば、税務調査は真実が

          8回目 税務調査の在り方について 7

          7回目 税務調査の在り方について 6

          3 税務調査とは  税務には、調査事務と徴収事務がある。徴収事務は、納税相談の対応と滞納者に対する督促や滞納処分(財産調査、捜索・差押等)などである。調査事務には、税務相談の対応などの行政サービスの他、法定資料の監査や資料収集事務や税務調査がある。行政サービスは、納税者に喜ばれる仕事である。だが、税務調査は納税者を疑って納税者から税金を追徴することから、決して納税者に喜ばれるような仕事ではなく、嫌われたり反発されたりすることもある仕事なのだ。でも、誰かがやらなければならない

          7回目 税務調査の在り方について 6

          6回目 税務調査の在り方について 5

          「2 私の経歴(看板に偽りなし)」の続き  料調と査察の両方を経験して感じたことは、どちらも大変な部署であることに間違いないが、料調は精神的にきつく、査察は体力的にきついなということだった。料調では、常に任意調査の限界にチャレンジしているような感覚で、毎日が緊張の連続だったのである。査察では、膨大な差押・領置物件と格闘し、嫌疑者や多数の参考人と対峙して腱鞘炎になるほど質問顛末書を書きまくり、半年から一年かけて証拠を揃え、検察庁に告発して来たのである。 ・・・<経験談⑥> 勲

          6回目 税務調査の在り方について 5

          5回目 税務調査の在り方について 4

          「2 私の経歴(看板に偽りなし)」の続き  普通科研修時代は、今でも忘れられない。真っ先に思い出されるのは、入寮して一週間も経たないうちに運動器具で左腕を骨折し、手術をするなど一ケ月も入院したことである。その時は首になるのではないかと落ち込んだのを覚えている。退院後は遅れを取り戻すため、時間外に教育官と一対一で講義を受けたのである。  普通科研修は全寮制で、一室2~3名で寝食をともにした。朝のラジオ体操から始まり、日中の研修、クラブ活動、夜の自習時間を経て就寝時間まで、缶詰

          5回目 税務調査の在り方について 4

          4回目 税務調査の在り方について 3

          2 私の経歴(看板に偽りなし)  私の記憶は、母子寮という施設の中の生活から始まる。ここで小学5年生まで過ごした。片親などと差別を受けたこともあった。家の場所を聞かれ、母子寮だと言えず、大雑把に「あっちの方」と指さして答えたことを覚えている。年上にいじめられてよく泣いたが、年下にはおもちゃを与えて手なずけ、親分気取りだった。6年生になる時に転校した。母の実家が家を新築したので、隣に残った古い家に引っ越したのである。当時でも珍しくなった藁ぶき屋根の家だった。就職するまでそこで

          4回目 税務調査の在り方について 3

          3回目 税務調査の在り方について 2

          <続き> 1 私の問題提起  初めに、私が税務の世界で問題ではないかと思っていることを、いくつか指摘しておきたい。  税務の組織において、弱点を補って発展させるためのチェック機能(コンプライアンス)とフォロー機能(ガバナンス)が適正に働いているのだろうかということである。 (1)税務の組織力について  まず、税務の組織力が十分と言えるのだろうかということを指摘したい。  組織力は構成員の能力とモチベーションの大きさだと心得ているが、税務職員の能力とモチベーションはあるべき

          3回目 税務調査の在り方について 2

          2回目 税務調査の在り方について 1

           これからが本題です。  私は、窓際太郎の同僚だった者です。つまり、元税務調査官です。税務署のほか、国税局の査察(マルサ)や料調(リョウチョウ)にも従事した経験があります。調査一筋に生きて来たのです。この経験を生かして「税務調査の在り方」について語りたいと思います。不愉快に思う方もいるかと思いますが、寛容な気持ちで聴いてください。よろしくお願いします。 「税務調査の在り方」 はじめに  税務調査の大義は、『課税の公平』である。  税務調査官は、正直者が馬鹿を見ないように『

          2回目 税務調査の在り方について 1

          はじめまして

           はじめまして。  窓際太郎の同僚だった者です。昔は、サッカー小僧でした。  定年退職したので、これからnoteを利用して色々なテーマについて発信したいと思います。  主なテーマは、「税務調査の在り方」についてですが、他のテーマにもチャレンジして行きます。  ターゲットは、税務職員(国、地方公共団体)、税務組織(国税庁、国税局、税務署)、納税者、税理士・会計士、青色申告会等の協力団体の方々ですが、他の多くの方々に対しても発信して行くつもりです。  私の夢は、書籍の出版です。タ

          はじめまして