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谷川・湯檜曽川東黒沢~宝川ウツボギ沢   

2023年9月23日(土)~24日(日)
メンバー:K井(L) S木 A井(車) 

9月22日(金)
 道の駅「みなかみ水紀行館」で前泊。K嬢とSさんは鉄道利用で先に現着予定であったが、急な大雨で電車が止まり高崎駅で立往生。その後、二人は何とか新幹線で上毛高原駅へ向かう。Aは自家用車で上毛高原駅へ向かうが、出発が遅れたため、消耗している二人を発見、回収したのは夜半過ぎであった。買い物を済ませ水紀行館に着いたのは午前1時過ぎ。いつもの寝所は既に先客があり一杯だったので売店の入り口(玄関)で仮眠となった。雨はかなりしっかりと降っており、水量が気になるところだ。 

9月23日(土) 
 雨が上がり回復の兆し。白毛門登山口の駐車場には既に十数台の車が止まっており、先行パーティの中には沢屋も見受けられた。

しゅっぱ~~つ

7時半に出発。橋を渡り、登山道をしばらく進んだところから入渓した(ちょうど堰堤上にでる)。幅の広い明るい東黒沢はやはり水が多い。滑とゴーロの緩やかな沢を快適に登っていく。暑くもなく寒くもなく良い時期になってきた。ハナゲの滝を通過し大岩の下をくぐると白毛門沢との出合に着く。

白毛門沢出合の手前

小休止していると青空が広がり始め天気は安定しそうだ。しかし、それとは逆に今日はいつになくSさんの口数が少なく歩きも不安定だ。それは彼が某社製の新型靴を履いているからだ。沢業界では密かな人気を誇っているらしいが、それを実証実験し我々に報告してくれるのだ。いつものフェルトの感覚との違いを大きく感じており、ここまでの滑もよちよち歩きで慎重だ。足が慎重になると口も慎重になるらしい。「Sさん節」は影を潜め実に静かな落ち着いた沢旅である。いつもの沢が哲学的ですらある。

沈思黙考

白毛門沢を左に分けるとやや沢幅が狭まり、滑の沢床の中に2~4M程度の滝、釜やミニゴルジュが続き実に楽しい。900M過ぎの二俣で大きく左に曲がり丸山沢に入る。少し上の金山沢手前で単独下降してくる初老のおじさんに会う。二言三言言葉を交わし、先行パーティがいることを確認した。この辺りから赤茶けた岩質に変り滑りやすく、更に1000Mを過ぎると倒木が増え、灌木帯に入り渓相も少しずつ変わっていく。陽が木々の間から差し込み水に反射してきらきら光って美しい。尾根歩きには無い魅力だ。1080Mの最後の二俣を右に取り、丸山乗越を目指す。

乗越まであと少し・・

1200M過ぎは枝沢の見極めに注意しながら五月蝿い藪をかき分けかき分け12:00に乗越。ウツボギ沢に向けて下降を始める。取り立てて特徴のあるところではないが予想以上に長く感じた。12:50に宝川との出合い(広河原)に到着、幕場の適地は数か所あったが宝川との出合の東側(左岸)にした。我々の後に単独を含め数パーティが泊まっていた。人気ルートの為か薪が少なく、更に前日の雨の為かなかなか火が付かない。男が二人がかりで小枝を集め格闘したが、焚火が自動運転モードに入るまで1時間半を要しライター一本を費やした。夕食は濃厚みそ鍋。やや水っぽくなったのとご飯は「おこげ」をお茶漬けで食いたかったが焦げなかったのが不満。 

9月24日(日)
 午前7時出発。小ぶりな焚火だったので消火も楽だった。朝から青空が広がり気分が良い。ウツボギ沢に入り昨日下降した沢を左に見たところでリーダーのK嬢が突然“御乱心”あそばされた。

ここでお嬢が御乱心!

まだ歩き始めて5分。「あ、違う。こっちじゃない」「あっちだ」と宝川方面を指さす。しかもK嬢の某社GPSは全く別の場所を示していてさらに混乱に拍車をかけるが、Sさんの解説のもと落ち着きを取り戻しルートミスせず遡行を続けることができた。その興奮状態のまま朝一で20M(逆Y字)滝に突入。右にマキがついており、小尾根を上がりトラバースして落ち口へ出る。

気分爽快

1250Mを過ぎると赤茶色に黒いボツボツのある岩が目立ち、滑、釜、小滝の連続を快適に進む。次第に灌木が迫り、斜度が増してくると正面に稜線が見え始める。休憩をはさみながらのんびりとした遡行が続く。Sさんも今日はいつものフェルト靴に戻し動きと口(しゃべり)にキレがある。1380Mの枝沢を見送った後滑と釜の連続が続いた後3Mほどの滝が出てきた。左から回り込んで水流沿いにあがるのだが、ここでA井が今回唯一やらかしてしまう。抜け出たところで回り込んだ岩に頭突きを食らい、きれいなバックドロップで滝つぼに沈んだ。確かに登りにくく抜けたところでほっとしたところで食らってしまった。まあ、天気は良いし「濡れて参ろう」というところだ。1500Mを越し上流部の渓相に変ると、枝沢が右から2本入り笠ヶ岳を正面に斜度もぐっと上がる。

空がきれい

1600M以降はGPSも駆使して枝沢を選びながら進むと、次第に沢型が消えて笹薮に突入する。登山道が見えてくると笹薮は更に激しく我々の進行を阻むがK嬢は一人喋り捲る。見えない何かに向かってひたすら喋っている。すごい体力だ。稜線へ飛び出した時刻は10時半。登山者が行き交う中、履き替えているとナルミズを上がってきた単独行者としばし歓談。どうやら同じ広河原に泊まっていたようだ。

やっと出た

笠ヶ岳の斜面を見て誰も「登ろう」とは言わず、遠く燧ケ岳を左に見ながら白毛門を目指す。K嬢の某社GPSはまだ宝川を遡行しているようだった。

白毛門山頂

白毛門からは谷川岳の東面(マチガ沢から幽の沢まで)が全部見える。美しい。痺れる。正に岩場のフルヌードといった感じだ。白毛門からの急降下は分かってはいたが体に堪える。所々鎖が新設されていたがキツイことに変わりはない。ヘロヘロになった頃、星野リゾートに買い取られブルジョアの山になってしまった天神平とロープウェイを間近に見ながら無事に白毛門登山口に辿り着いた。K嬢の某社GPSは宝川を遡行し終え、まだどこかを彷徨っているようだった。
・特記事項1  Sさんは、上毛高原駅構内に眼鏡を忘れた。
・特記事項2  みなかみ水紀行館にS部さんはいなかった。
・特記事項3  やはりベーコン焼は旨かった。
・特記事項4  K嬢は白毛門の下りでサングラスを無くした。
・特記事項5  帰りに見た“土合山の家”に張ってたテント集団はA井の知り 
        合いだった。月曜日に白毛門に上がったらしい。

 <記録>
9月23日(土)
 白毛門登山口7:30  白毛門沢出合8:35  Co.910二俣9:35 
 金山沢出合9:50  Co.1080二俣10:40  丸山乗越12:00
 ウツボギ沢出合12:45   宝川出合(広河原)12:50 
9月24日(日)
 宝川出合(広河原)7:00  Co.1250二俣7:40  Co.1330二俣8:20
 Co.1510枝沢9:35  白毛門―笠ヶ岳稜線10:30~10:50
 白毛門山頂11:15~11:25  白毛門登山口13:25


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