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メゾンドサーカス

短いお話をつくって、
じぶんの歌の間に挟む、という試みを
ここ一年ほど、していました。
毎回違うおはなしをつくるので、
一度限りの上演?になってしまうのが
ちょっと、もったいないような気がして。

これまでのおはなしを、
ここに載せてみることにしました。

ちょっと、はたして雰囲気が伝わるのか、
そもそも、そんな需要があるのか、
不安では、ありますが、、

ライブで観てくださったかたにも
ただ文章として読んでくださるかたにも
たのしんでいただけたら、
たいへん、うれしいです。

シリーズ「これまでのおはなし」
一回目は、昨年お呼ばれした
優しい夜のおはなしを。

※実際のライブでは、おはなしの部分を
朗読し、【 】で括ってある曲を
うたっています。

では。
きょうのおはなしは、



「メゾンドサーカス」

招待状を眺めて、
ふたりは途方に暮れています。

メゾンドサーカスへたどり着くには、
この山道をまだまだ
歩かなければいけません。

通りかかった幌馬車が、
ふたりの横に止まりました。

「おふたりさん、乗っていきなよ。
メゾンドサーカスに行くんだろう」

【荷馬車に乗って】

親切な行商のおじさんに乗せられて、
メゾンドサーカスにやって来ました。

花柄のカーテンが翻り、
窓の奥からおいしい匂いが漂っています。

みんなで食べるごちそうを思って、
ふたりは顔を見合わせました。

【七色】

玄関で合い言葉を言うと、
扉が開いてふさふさした毛の
白熊が現れました。

丸く大きな瞳を、
嬉しそうに細めています。

廊下の向こうで亀ととかげが、
何やら忙しなく
準備に歩きまわっています。

こちらに気付いたとかげが、
甲高い声で「乾杯しよう!」と
叫びました。

【まつりのあと】

ごちそうをたらふく食べて、
お酒をたらふく飲んで、
みんなすっかり
おなかいっぱいになりました。

ふたりは動物たちに、
おみやげの木箱を差し出しました。

みんなでそっと箱を開けると、
中には音楽が
たくさん詰まっていました。

みんなは電気を消して、
音楽に合わせて踊りました。

【真夜中】

夜が明けて、ふたりは
メゾンドサーカスから
帰ることにしました。

亀は言いました。

「わたしたちは元々
こういう姿だったわけではないの。
ここで楽しく暮らしているうちに、
こんなふうになったのよ。

ほら、あなたたちみたいに」

ふたりは今や、すっかり、
魚のすがたをしていました。

そしてふたりは、
またメゾンドサーカスを訪れる日を
楽しみに、空をすいすいと
泳いで帰りました。

【夜明けの晩に】

fin.



メゾンドサーカス
at
20190724
下北沢CIRCUS
「MAISON DE CIRCUS」
pf.はらかなこ
bs.横山渉
dr.まぁびぃ

裏話

ベーシスト横山渉くんの組んでくれた
あったかいイベントでのおはなしでした。

北海道からお招きになったユニット
「木箱」のおふたりを
かってに主人公にして、
(おふたり、釣り好きということで、
最後は魚になってしまいます)

木箱をお迎えする他の出演者を
かってに脇役にしました。

とかげはわたし(アランジアロンゾというブランドの、とかげがすきなので)

亀は吉村かおりさん(亀を三匹飼っていらっしゃるので)

熊はオガワマユちゃん(サンエックスの某なんとかっクマを溺愛なさっているので)
です。


ご清聴ありがとうございました。

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