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朱夏


先月台風は来なかった

誰とも勝負したくない

妬みたくない

誇るべきものもない

あなたもわたしも英雄ではないし

お金も余るほどにはいらない

感傷的かもしれないが

感傷に浸る価値もない

ガールズバーのお姉さんがふたり

お互い短いスカートを履いて

道路を挟み

緩やかに笑い合っていた

流れるひとについていけば

駅にたどり着けると思うのは

錯覚だとほんとうは

皆知っていたはずだ

ひとびとはそれぞれの家路に散り

わたしは迷子になる、

食傷ともいえない

なぜならば背中を削がれるような

その気持ちでも歩いていれば

なんらかの駅に着くからだ

わたしのパスワードを

スマートフォンがかってに推測する

青春でも白秋でもない

あなたも今日

そうではなかったか?

聞き流してもらっていい

それはつまり

わたしたちは今 つまり



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