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近畿日本鉄道 フリーゲージトレインとは

フリーゲージトレインは、軌間が異なる路線を直通できるよう、車輪の幅の長さを自動で変えられる車両です。

軌間が会社によって異なることはよく知られています。

狭軌(1,067mm)グループ:JR(在来線)、東武、西武、小田急、東急、相鉄、名鉄、南海 等
標準軌(1,067mm)グループ:JR(新幹線)、京急、京成、阪急、京阪、阪神 等

近鉄は同じ会社の中で、軌間が異なっています。大阪・京都・奈良・名古屋を結ぶ路線網と、大阪阿部野橋・吉野を結ぶ路線網で異なります。

軌間が異なると、路線によって走行できる車両が限定されています。フリーゲージトレインを導入すれば、全路線を直通する列車を設定でき、車両運転効率の向上、乗り継ぎの利便性向上が期待できます。

近鉄における路線ごとの軌間の違いは、近鉄の成り立ちに由来します。奈良線、大阪線系列の標準軌は近鉄の前身である、大阪電気軌道が標準軌を採用したためです。現在、名古屋線系列は標準軌ですが、最初は狭軌で建設されました。前進の伊勢鉄道が狭軌で建設し、後に変更しました。

南大阪線系列は、前進の大阪鉄道が狭軌を採用し、現在に至ります。

近鉄では、南大阪線と吉野線を直通する特急「さくらライナー」と、観光列車の「青の交響曲」が運行しています。フリーゲージトレインが実現すれば、橿原線と吉野線が直通できるため、京都からは乗り換えなしで吉野まで行けることになります。

近鉄のフリーゲージトレイン導入は現実的なのでしょうか。実は、2018年5月15日、近鉄はフリーゲージトレインの開発推進を対外的に発表しました。そう、現実に動き出している話なのです。

本当に実現するかどうかは今後の検討次第ですが、機構が複雑になることで車両の運用維持コストが増大するなどの理由から、JR九州におけるフリーゲージトレインの断念なども伝えられ、簡単な話ではないようです。

海外に目を向けると、スペインでは2006年からフリーゲージトレインは実用化されており、やり方によっては実現する方法ありそうです。

いずれにしても、鉄道利用者にとっての利便性向上に繋がるフリーゲージトレイン構想。特に、観光地が多数存在する近鉄路線地域は、大きな荷物を持ちながら移動される方も多く、乗り継ぎなく移動できることは大きな価値があります。

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