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オートメーション化

10年くらい前だったかなあ。

テレビのバラエティで「食の現場で色んなものが自動化されていっている」みたいな特集を観ていた。

一通りVTRが終わった後、スタジオに高さ2m、幅1.5m、奥行き1.5mくらいの大きな無機質な機械が出てきて、

「さて、これは何をする機械でしょうか」

と。

上の方にベルトコンベアーみたいなものがあって、おそらくこの上を何かが流れていくんだろうという推測はつくんだけど、それ以上の事は全然分からない。

何だろうな、と思ってると、これが

「カリフォルニアロールを自動で巻く機械」

なんですね。


「カルフォルニアロールを自動で巻く機械」。


いやまあ確かに、ご飯が外側になっているあれを手作業で作るのは少々骨が折れるとは思うけど、だからといってこんな仰々しい機械で作るようなもんかね? とは思ったけど、これで随分助かるお店とかもあるのかもしれない、と一応は納得したところで、スタジオにさっきと同じようなサイズの無機質な機械がまた運ばれてきた。

「さて、これは何をする機械でしょうか?」

今度はパネルで覆われている部分が多く、見た目では何の為の機械なのか全然分からない。でも、「カリフォルニアロールを自動で巻く機械」があるんだから、「自動で甘エビをふんわり握る機械」とか「自動で軍艦にいくらをきっちり17粒乗せる機械」とかがあってもおかしくない。なんせ、食の世界では色んなものが自動化されていっているのだ。そんな事を思っていると、機械を運んできたメーカーの人がこう言った。

「これは、カルフォルニアロールを自動で切る機械です」


「カリフォルニアロールを自動で切る機械」


いやまあ確かに、ご飯が外側になっているあれを手作業で切るのは少々骨が折れるとは思うけど、だからといってこんな仰々しい機械で切るようなもんかね??


2020年。

今もどこかの回転寿司屋の隅の方で、「カリフォルニアロールを自動で巻く機械」と「カリフォルニアロールを自動で切る機械」が肩を並べて働いている。そう思うと、色々ある世の中だけど、まあ、捨てたもんじゃないな、と、ちょっとだけ思う。

ほんのちょっとだけ。

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