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#SaveOurVoice - 新代田 えるえふる / Like a Fool Records(飲食店 / レコード店)「厳しい状況の中でも何か見つけてやれたら、また何か違うものが生まれるんじゃないか」

Speaker : 辻友貴(えるえふる / Like a Fool Records)
Interview & Text : Nozomi Nobody

※このインタビューは2020年4月11日に収録したものです。

新型コロナウイルスの影響と現状

ーーまずは自己紹介をお願いします。

新代田のえるえふるという立ち飲み屋とLike a Fool Recordsというレコード屋が一緒になったお店をやってます。5年目になりました。僕は基本レコード屋業務をメインに、core of bellsというバンドをやっている會田さんが飲み屋業務をメインにしています。

ーー今お店はどんな状況ですか?

3月に入ったくらいから(営業を)自粛するお店が出始めて、自分たちとしても徐々にコロナに対する不安が大きくなっていって「このまま続けていたらスタッフやお客さんの安全を守れない」と判断して、3月31日から店舗は休みにしました。最初は人数限定の予約制で店内で飲食できるようにするっていう案もあったんですけど、それすらもちょっと厳しそうだねという話になって。でも何もやらなかったら潰れちゃうんで、今は家でもお酒を楽しめるおつまみをセットにしたデリバリーとテイクアウトの販売をしています。

現在のお店の運営

|自転車での“アナログ”デリバリー|

ーー3月の客足はどうでした?

3月は一般のお客さんっていうより友達とか知り合いがほとんどでしたね。友達も仕事が飛んだりして、飲みに来てくれるみたいな。だから売り上げとしてはそこまで落ち込みはしなかったですけど、この調子だと在宅勤務の方も増えるだろうし、お店としてもすぐに方向転換をしないと営業できなくなってしまうという危機感を持ったので、3月の中旬からUber Eatsをはじめて。ただシステム的にあんまりうちと合わなくて、在庫とか手数料の問題もあったんで、それなら自分たちで届けられる範囲で届けたらいいんじゃないかっていうアイディアを會田さんからもらってデリバリーをはじめました。LINEのアカウントをフォローしてもらって、1時間に1枠限定で予約を取って、その人の家まで自転車で届けるっていう、うちならではのアナログなやり方でやってます。

松1

松2

松3

えるえふるのテイクアウトメニュー「特製セット・松」。メニューは松・竹・梅から選ぶことができ、内容は日替わり。地域限定でデリバリーも可能で、いずれもお店のLINEアカウントより要予約。予約方法は下記ツイートの画像を参照。

|レコードのデリバリー|

ーーじゃぁ当面はその形で。

そうですね。ひとまずそれで回ってはいるので。テイクアウトに関しては、外出を促すきっかけになってしまうことに違いはないので実はすごく迷ったんですけど、自炊疲れの方などの気分転換に少しでもなればと思い、今後も続ける予定ではいます。あとは連絡をもらえたらレコードのデリバリーもやっています。この状況でも新譜は届くし、それを店舗で売れないのはレコ屋としては辛いので、なんとか近くの人には届けられたらなと思って。今日初めて注文が入って、嬉しかったですね。小っちゃいことですけど「店が動いてるよ」っていうのが伝わればいいなと思ってます。

|“新代田セット”のデリバリー|

ーー他にも何か考えてるアイデアとかありますか?

新代田の仲の良いお店にお声がけして“新代田セット”みたいなものを一緒に作って、今やってるデリバリーのメニューにオプションとして付けられるのも面白いんじゃないかって話してます。コーヒーのドリップバッグや自宅で誰でも本格スパイス料理が作れる調味料をお届けして、少しでも家にいる時間を豊かに過ごせてもらえたら嬉しいなって。うちだけじゃなくて「新代田自体が動いてるよ」っていうのも見せられたらという気持ちもありますね。

ーーいいですね。新代田のあの辺のお店ってどうしてますか?やってます?

ほぼやってないですね。最初にRR(新代田駅前のカフェ&ギャラリー)に声をかけて何かやりましょうっていうことになって、それからand CURRYっていうカレー屋とか、向かいのカフェニスタ(cafe2st)っていうカフェとか、一緒にやりましょうっていう話をしてます。

今後の運営について

ーーなかなか先の見通しも立ちにくいと思うんですけど、中長期的にはどんな風に考えてますか?

本当に日々変わるんで、どうなるかわかんないですね。この状況があと1ヶ月、2ヶ月で終わるとも思えないし、正直今やっているデリバリーとかテイクアウトってあくまで付け焼き刃的なことなのでそう長くは続けられないと思っています。どこの飲食店も始めているのですでに飽和状態になりかけているし。なので、長期的な“withコロナ”の生活を考えた上で、今までとは違う業態と考えるくらいのつもりで日常に落とし込めるサービスを考えなくちゃいけないと思っています。

ーーそうですよね。他に今困ってることとかありますか?

レコード屋は結構不安ですね。今はオンラインで頼んでくれる人が結構いて有難いですけど、プレスの工場が動かなくなってたり、海外からの発送もできなくなったりしていて納品が延期になることも増えてるんで「新譜が届かない」「売れない」となると不安だし、自分のやりがいも失われそうで怖いですよね。震災の時と違って、今って人同士が会えない中で新しい仕組みを考えていかなきゃいけないんで、それが本当に難しいなと思います。ライブハウス界隈の人達って現場主義でやってきてるから、それを捨てなきゃいけないのが大変ですよね。

資金繰りについて

ーー国からの補償などで現状活用してるものはありますか?

“感染拡大防止協力金”は、店舗自体は休業しているので活用できるかなと思っています。宅配、テイクアウトを始める店舗への助成金の話も出たりしているので、日々確認しています。ただ実際の申請はまだなので、詳しい条件等ではまだわからない状況ですね。あとは税理士さんとも相談しながら、公庫(日本政策金融公庫)からの融資も考えてます。

ーー売り上げとしては通常と比べてどうですか?

まだ1ヶ月経ってないからわかんないですけど、やっぱりお酒を出せないっていうのと、原価も普段よりかかっちゃうんでかなり下がってしまうのは確かです。今、期限付酒類小売業免許を申請中なので、それが通ったらまた可能性は広がりそうです。

※国税庁は4月9日、飲食店等が自らの店舗で提供している酒類をテイクアウト用に6ヶ月間の期限付きで販売することが出来る「期限付酒類小売業免許」の付与を発表。(参考:国税庁「新型コロナウイルス感染症に関する対応等について:在庫酒類の持ち帰り用販売等をしたい料飲店等の方へ」

ーーいまの状況であとどれくらい頑張れそうですか…。

どうだろう…3ヶ月続いたらやばいかな…いや3ヶ月は無理だね(苦笑)2ヶ月もキツいと思うんで、とりあえずもう1ヶ月かなぁ。でもさっき言ったような新代田のお店だったり、仲の良い店と一緒に何かしたり、うちの店らしいやり方で何かしらの可能性は見い出せる気はしてるんで色々方法はあるかもしれないけど、でもそれはその時になってみないとわからないですよね。

えるえふる店内1

えるえふる / Like a Fool Recordsの店内

今後に向けて

何ヶ月後にどういう形で戻れるかもわからないし、とりあえず生きるためにやらなきゃいけないっていう気持ちで今は動いてますけど、でもうちの場合良かったのは、この状況でもみんなそれなりに楽しんでやりがいも感じながらこの店らしくやれてることなんですよね。みんながそれぞれそういうやり方を見つけて、収束するまでの時間を過ごせたら最高だなと思います。厳しい状況の中でも何か見つけてやれたら、飲食店とかコミュニティからまた何か違うものが生まれるんじゃないかなっていう、そういう希望は持っていたいなと思ってます。ただ「ギリギリ持ちこたえてます」で終わらせたらもったいないから、何か提案していけたらいいですよね。

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▼えるえふるデリバリー&テイクアウト https://twitter.com/eruefuru/status/1245948966723702784?s=20

▼えるえふる / Like a Fool Records

▼Like a Fool Records Official Web Shop


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