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#SaveOurLife 記者会見より ー 會田洋平(飲み屋 えるえふる)

初めまして。世田谷区の新代田で立ち飲み屋兼レコードショップを営んでいます會田と申します。今日はまず一つ目にわたしのお店の現状、そして二つ目に飲食店とは何かということを振り返り、最後にアンケートの結果を元に話したいと思います。

1.5倍の労働で5割の売り上げ

まず私のお店なんですけれども、お酒が一杯300円から、おつまみは小皿を100円代から出している、20代〜30代の方が多いお店です。お店も広くないためにお客さん同士の距離感も近く、立ち飲み屋ということもあって席の隔たりもなく、その自由な雰囲気を楽しんで頂いているお店です。よって、今言葉としてはマイナスに聞こえてしまうと思うんですけれども、まさに「三密」の状態を楽しんでいただくお店です。そういうこともあり、当店では緊急事態宣言の出る1週間前、3月31日から店舗での営業を完全に休業いたしました。そのあと4月1日からはテイクアウトと、独自のデリバリーという方法で営業しております。

工夫点としましては、テイクアウトの際もできる限り人と人との接触を少なくするために完全予約制にして受け取り時間を指定していただき、すぐに渡せるように配慮しております。デリバリーでは、お店からの距離が最長約10kmのところまで当店のスタッフが自転車で配達するというサービスをしております。そういったサービスをした上で、4月の当店の現状としましては大体通常時の1.5倍くらいの労働をしてなんとか通常時の5割くらいの売り上げをキープしているという感じです。ただ恐らく5割というのは、飲食店の中でもかなりマシな方だと思っています。

テイクアウトやデリバリーでは利益が出ない

次に、飲食店とは何かということを考えてみたいと思います。自粛で休業を余儀なくされているあらゆる業種の中でも、飲食店はまだマシと思われている方もいるかもしれません。なぜなら時間短縮で一応営業は出来ますし、テイクアウトなどで販売も出来るではないかと。つまり努力次第ではなんとかなると思っている方もいるかもしれません。そこで実際私が4月一杯、デリバリーとテイクアウトで販売した体験談をお話します。

率直にテイクアウトやデリバリーでは利益が本当に出ません。理由として、私たち飲食店は単に食べ物を提供するだけではなく、接客やお店の雰囲気、食器や盛り付けなど、総合的なサービスを提供しています。つまり、お店で食べていただく値段というのは食べ物だけに付けられているものではないということです。よってお店で出しているものをただ単に弁当容器に入れて売ればいいということにはならないということなんです。

食べ物だけでなくその場所にお金を払っている

例えば居酒屋で豚の角煮を600円で販売していたとして、普段はちゃんとした小皿に薬味などを乗せて綺麗に提供するところを例えばお弁当のパッケージに入れて販売したところで正直ショボいと言いますか、すごく寂しい感じの見た目になってしまいます。そこに600円の価値を見出すことはすごく難しいことなんです。なので、もし通常通りの値段設定で販売しようとするならば、いつもより量を増やしたりより質の良い食材を使ったり、そういった工夫をしないとお客様の満足を得ることが難しいんです。さらに容器代などいつもと違う出費がかかります。

その結果、当店は4月は通常の半分くらいの売り上げになりました。これはあくまで私がやっている、大体2千円くらいの客単価のお店の状況であって、客単価が5千円、さらには1万円など、上がるにつれてテイクアウトで利益を出すことは非常に難しくなってくると思います。つまりお客様というのは食べ物だけでなく飲食店のあるその場所にお金を払っている、そういう風にわたしは考えております。

約40%のお店は「3ヶ月は持たない」

ここでアンケート結果をご覧ください。SNSのえるえふるのアカウントでアンケートを取らせていただき、54人の方に回答をいただきました。回答者は飲食店の経営者、ないしは店長の方です。

「売り上げが通常時に比べると何%くらいですか」という質問に対して、50%以下の店舗が87%、完全休業していて売り上げがゼロというお店が37%ありました。「仮に自粛要請がこの先も長期に渡っていった場合、あとどのくらいお店を維持できそうですか」という大変答えづらい質問にもお答えいただいた結果、約40%のお店は3ヶ月は持たないという回答でした。

アンケート1

アンケート2

早急なお金の支給が重要

さらに回答者を絞らせていただいて、東京都で飲食店を営んでいる方は、協力金の支給が2回に渡ってあります。「これ(協力金)を希望額いただいた場合どうなりますか」という質問に対し、3ヶ月は持たないというお店が18%まで減ります。さらに、厳しい状況だけどなんとか続けられそうというお店が50%程度になります。つまり、早急なお金の支給が非常に重要という結果だと思います。

アンケート3

その場所が残っていれば何とか頑張れる

最後に「今現在国に要請したいことはなんですか」「お店を維持していくために最低限何が必要ですか」という質問をさせていただきました。その中で家賃補助が約83%、従業員の給与保障が48%、国が定める明確な飲食店営業の基準約30%という結果でした。やはりこの結果から、固定費として必ずかかる家賃の補助が最優先の補助として願いたいと思います。家賃というのは平等にどの店舗にも毎月かかります。店舗の広さ、多さ、場所とか様々な違いがありますけれども、今最も必要とされている支援、かつ限りなく平等な支援としてどうか家賃補助を早急に願いたいと思います。一律給付というのも大変有難いんですけれども、あらゆる飲食店の継続を支えるには家賃補助が一番わかりやすく、効率的なのではないかと思います。

戻りますが、家賃というのはその場所ということです。飲食店を経営している者というのは、言い方が難しいですけれどもその場所を本当に愛しています。自分が食べるものが多少ひもじくなってお米だけになったとしても、その場所が残っていれば何とか頑張れるという気持ちがあります。なので早急にまずその場所を守っていただくという支援をお願いしたいと思います。

アンケート4

飲食店は日本が誇れる文化

その地域の人々の生活や交流の場として飲食店というのはあると思います。恐らく政治家の皆さんにも行きつけの飲食店があると思います。庶民にも同じようにそういう場所があります。それは日本が誇れる文化です。壊れてしまったものは修復が難しいです。でも、この結果のように支援によっては救える飲食店が沢山あります。まだ気が早いかも知れませんが、コロナが終息したあと、日本が立ち直るために日本の食文化というのはかなり活躍すると僕は思っています。政治家の皆さん、どうか早急に対応をお願いいたします。以上です。

【新型コロナウイルス感染拡大防止に努めるあらゆる人の仕事と生活を守る継続的な支援を求める署名】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfmg6jhOPO2P6uHGb2RcH4GWzCb7b3_cr1WLulJVUoCHv4E7g/viewform

Photo: Yosuke Torii