スト6トレモの楽しみ方

 こんぶさんのツイートを見て、トレモ大好きマンとして色々と思うところがあったのですが、それを書くにはXはあまりにも余白が狭すぎたので、noteを使って日頃トレモについて考えていることを書いてみます。
(ちなみにAct4になってからは今のところ一度もランクマを回しておらず、毎日欠かさずトレモばかりやっています)。

まずは前提の話

 さて、まず大前提として、人それぞれプレイスタイルが異なり、Punkのようにトレモ嫌いで対戦ばかりするプレイヤーもいれば、MenaRDのようにほとんどオンライン対戦をせずにトレモとリプレイで上達するプレイヤーもいて、いろいろなスタイルでトップレベルになれるのが格ゲーの面白さだと思っています(そもそもゲームなので、楽しいことが一番ですしね)。
 とはいえ、各々自分なりの目標を達成するうえで「嫌いだけど必要なこと」に取り組むことが必要な場面もあり、その先にこそ喜びを感じられるということもあるでしょう。

 そもそも自分がトレモが好きになった理由を改めて考えてみると、おそらく格ゲーを始める以前の経験、具体的には受験勉強だったり楽器の練習だったり、あるいはゲーム以外の競技での経験などが活きているような気がします。
 ということは裏を返せば、後天的に身につけることができるマインドセットでもあると思うので、どれくらい参考になるかはわかりませんが、とりあえず普段トレモに取り組むうえで考えていることをぱっと思いつく範囲でつらつら書いていこうと思います。

1.課題を限定する

 自分なりの取り組みとして、いつもランクマで星が一つ上がるたびに「次にもう1ランク上がるために今の自分に必要な課題は何か」を考えて設定するようにしていました。この時設定する課題はなるべくシンプルで少ない方がいいと思います。
 たとえばジュリで「生ラッシュ中Pを実戦で使えるようにする」という課題を設定したとします。ここで設定する課題はあくまでも仮説なので、後々変更することもあります。
 課題を設定したらまずはトレモにこもって練習します。できれば2~3日くらいが目標で、もし一週間経っても身につかなければ課題が難しすぎるので別の課題に変えます(逆に習得に一週間以上かかるコンボなどを身につける方法については後述)。自分がやろうという気になれるくらいに、取り組む範囲を限定するのがトレモをやる上で一つのコツかなと思います。

 あと課題の難易度については「フロー理論」で有名なミハイ・チクセントミハイが言う「退屈に感じるなら課題が簡単すぎる、不安になったり圧倒されるなら課題が難しすぎる」みたいな考え方も参考になるかなと思います(だいぶ意訳してるので、正確な内容はチクセントミハイの本とか読んでください)。
 ちょうどいい難易度設定をするのはなかなか難しいですが、自分に厳しすぎず甘すぎずのチャレンジングな目標を立てるのはトレモを続ける上で大事かなと思います。

 課題を何日か練習して手癖になってきたら、次はCPU戦(トレモのCPUでも対戦でも可)やカジュアルマッチで実戦投入します。ここでの目標は勝ち負けよりも、どれだけ課題にしてる行動が出せたかということを目標においています。
 その結果として「カジュアルマッチで生ラッシュをしまくって勝手にバーンアウトするジュリ」みたいになったりもしますが、数をこなしていくうちに使いどころとか、逆にリスクのある場面とかも体で覚えていく感じですね。
 だんだん手癖になるにつれて意識的に使う量を減らしていき、自然に戦えるタイミングでランクマに戻るようにしていました。これくらいの時期だとトレモはウォーミングアップに使う程度で、カジュアルマッチやランクマに割く時間の方が多くなります。

 ランクマのランクだけを自分の強さの基準にしてしまうとどうしても数字だけで一喜一憂しがちなので、それよりも「前のランクの時と比べて、今は◯◯ができるようになった」という上達の実感を心の拠り所にしている感じです。
 もし課題を身につけてもランクマの成績が大きく変わらなければ、最初に建てた仮説では足りなかったということになるので、また新しく課題を設定してトレモに潜る期間を作っています。このときも最初と同様、なるべくシンプルで難しすぎない課題を設定するようにしています。

 上達すればするほど一つ一つの習得にかかる時間は長くなるので、なかなかそう簡単には進まなくなると思うのですが、ひとまず自分の場合はダイヤ1までこんな感じで上がりました。

2.自分なりに創意工夫をする

 トレモに対するイメージはひとそれぞれだと思うのですが、もしたとえば「腕立て伏せ1000回!腹筋1000回!」みたいな昭和的努力のイメージを持ってしまったとしたら、自分を含め大半の人にとってトレモはつまらないと感じるだろうと思います。

 トレモをやっていて何が面白いんだろうと改めて考えてみると、「ただ決まったメニューをひたすら繰り返す」ということではなく、「トレモでどういう練習をすればもっと上達できるだろう?」と自分なりに試行錯誤するときに面白さを感じているように思います。

 幸い、スト6のトレーニングモードは設定が豊富なので、ガードやカウンターのランダム設定から、レコーディング関連、ダウンリバーサルやガードリバーサルの設定などを駆使することで様々な練習をすることができます(確反、対空やインパクト返し、起き攻めやラッシュ時の択などなど)。
 最初は他の人がやっているトレモのメニューだったり、もけさんがXで書いているメニューなども参考にしつつ、「自分の実力だったらこの練習はこういうレコーディング設定の方が効果的かもしれない」というようなことを自分で考えるようになってくるとトレモがより楽しくなってくるように思います。
(とはいえ、こういうのを「楽しい」と感じる人と「めんどくさい」と感じる人はどちらもいるので、個人差はあると思いますが……)

 いずれにせよ、他の人がトレモをどういう風に使っているか、というのをいろいろな人に質問してみると、トレモの楽しみ方が見えてくることもあるかもしれません。上手な人は、自分なりのトレモのルーティンや独自の使い方を持っていることが多いように思います。
(あとは細かいですが、トレモ用のショートカットキーをちゃんと設定して、なるべくめんどくさい要素を排除するというのも大事かもしれません)

3.反復練習を避ける

 ここは上の項目とも少し重なるのですが、個人的には同じコンボを「100回ずつ練習する」とか「1時間練習する」みたいな反復練習はおすすめしないです。
 スポーツにおいて、イップスジストニアといった、自分が意図するように手などを動かせなくなる障害があります。これらについて研究する文献を読んでみると、未だに原因が色々とよくわかっていない面はあるものの、(特に手など神経が密集している部位で)「速い動きを反復すること」「正確な運動を反復しておこなうこと」が危険因子だとされていることが多いように思います。
 イップスまでは行かなくとも、いわゆるゲシュタルト崩壊と呼ばれる現象、つまり「同じ動作を繰り返しているうちに、だんだん指の動かし方がわからなくなって、できていたことができなくなっていく」というような経験をコンボ練習でしたことがある人は一定数いるんじゃないかと思います。

 反復動作でゲシュタルト崩壊が起こりやすいかどうかというのは結構個人差が見受けられるので十把一絡げには言えないのですが、少なくとも自分はそうなりやすいタイプなので、なるべく脳に「反復動作」と認識されないように工夫をしています

 まず回数に関して言えば自分の場合、特に成功率が低いうちは連続して5~10回くらいまでしか反復しないようにしていて、こまめに1P側と2P側を入れ替えたりしています。
 また特に量より質という点でいえば、特に失敗したときのキーディスフレームメーターをよく見て、自分がどこでミスをしているかをきちんと確認するようにしています。たとえば「成功率70%でなんとなく100回練習した」よりも、「20回くらいしか練習しなかったがキーディスを見て自分が失敗しやすい原因が理解できた」という方が練習としての価値は高い、という考え方です。

 あとはこれもコンボ練習でよく言われていることですが、パーツを細かく分解して練習するということも大事ですね。
 例えば自分の例で言うと最近は「大P > OD暗剣殺 > 前中P > 歳破衝 > 暗剣殺 > 前中P > 中風波」というコンボを練習しているのですが、キーディスを見ると「前中P > 歳破衝」の移行部分の入力でミスしていることが多いので、特にこの部分だけを取り出して練習するようにしています。そこができるようになったら、前中P以降の後半部分(前中P > 歳破衝 > 暗剣殺 > 前中P > 中風波)だけ練習したり、逆に前半部分(大P > OD暗剣殺 > 前中P > 歳破衝)を練習したりと、切り取り方を色々と工夫して、単なる反復練習にならないように気をつけています。
 これは言い換えると、コンボの中でもちゃんと課題を明確にして練習するということでもありますね。

 日によっては調子が悪かったりして、全然コンボが繋がらなかったりする日もあったりしますが、そういう日こそ徹底して「前中P > 歳破衝」のような細かいパーツだけを練習したりして、「今日はこの部分だけはちゃんとできるようになった」という上達の実感を持ってトレモを終えるようにしています。

 ウメハラさんの著書に『1日ひとつだけ、強くなる。』というタイトルの本がありますが、まさにその日一つでも強くなった実感を得てトレモを終ええたほうが次の日もまたトレモをやろうという気になりますし、逆にコンボがうまく繋がらないままトレモを終えたりすると次の日も「またどうせ今日もできないかも……」というメンタリティになりやすいのではないかという気はしますね。
 そういう積み重ねも、案外トレモの好き嫌いに影響してくるのかもしれません。

4.人よりも不器用だと自覚する

 最後に改めて、自分がトレモに時間を割いている理由を考えてみると、結局のところ「自分は人より不器用なんだ」という自覚があるから、というのが一番大きいような気もしています。

 これまでの人生を振り返ってみても、他人より何事も成長は遅い方でした。特にゲームという側面でみれば、これまで大人になってからスマブラを含め格闘ゲームに類する作品をやってきたわけでもないですし、ピアノなどの経験はあるので指先の器用さにはアドバンテージがあるにせよ、「画面の視覚情報に合わせてリズムよくボタンを押す」というような動作はあまり経験がないのでコンボがうまいわけでもなく、FPSもちらっと勧められて始めたものの同じ初心者同士でもまったくついていけないままやめたので、その種のゲーマーが持っている視野の広さみたいなものもありません。
 自分の器用さから考えても、ゲーム経験から考えても、一般的なゲーマーから比べて上達が遅いのはそりゃ当たり前だよな、という認識を持っています(Xとか見ていると複数のゲームとスト6を両立している人たちもたくさんいて、非ゲーマーとしては器用さに感心します。多分ゲーマーからすればむしろ一般的なゲームとの向き合い方だとは思うのですが)。

 自分の成長速度が遅いならば、せめてトレモにかける時間くらいは人並み以上にしないと、他の人と同じような成長はなかなか望めないよなと思うので、なるべく毎日意識的にトレモの時間は確保するように努めています(時間をかければいいというわけではないですが、いわば必要条件として、せめて時間はかけないと上達しないよなという認識)。

 コンボも上手い人だとその日のうちとか、そこまで行かなくても数日や一週間もあれば身につけてる印象がありますが、自分の場合は1つのコンボを毎日練習しても1ヶ月くらいかかることは珍しくありません
 その場合、まず最初の1週間は「レシピを見ずにコンボを完走できるようになること」を目標にトレモで練習しています。ある程度慣れてきたら、次の1週間は、とにかく手癖にするようにして、トレモをつけたら手が勝手にそのコンボをするようになる、くらいのところまで練習します(ここまでは実戦で使うことはまったく考えません)。
 トレモで5回連続成功するくらいまで精度が上がってきたら、あとは1で書いたようにCPU戦やカジュアルマッチから慣らしていって、少しずつ実戦でもできるようにする、という感じの流れになることが多いです。
 器用な人ならもっと速いでしょうし、逆に苦手な人はもっとかかるという人もいると思うので人それぞれのペースでやればよいと思いますが、いずれにせよ人と比べず、自分の場合はおおよそどれくらいコンボの習得に時間がかかるのかをなるべく客観的に把握しておくとよいと思います。


 あとは上にもウメハラさんの著書を挙げましたが、格ゲー界隈ではウメハラさんのようにご自分を「不器用でウサギとカメでいえばカメタイプ」と評するような方がトップ層にいるのも、結構励まされるところはあります。

 もちろん自分ではプロゲーマーにはなれませんし、なろうとも思いませんが、とりあえず現状はできていないこともたくさんあって、伸びしろも今のところはたくさんあって楽しいので、この感覚が続く限りは格ゲーを続けていくんだろうなーと思います。

 とりとめもない自分語りで、あまり人の参考になるのかはわかりませんが、とりあえず自分のトレモとの向き合い方といえばこんな感じです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?