1部完結型・"板読み技術超超基礎"総集編
こんにちは、R.です。
前回の"寄り付き前板読み_総集編C"ツイートの需要判定"RT50件"突破を受けて、事前のアナウンスさせて頂いていた通り「1部完結型・"板読み技術超超基礎"総集編」をまとめさせて頂きました。
本記事は、普段自分がnoteやtwitterなどで発信している「板読み技術」の土台、基礎の基礎になっている知識です。
普段は正直、
基礎や基本的な内容はすっ飛ばして、かなり実践的というか、難易度問わず自分の目の前にある板に対して自分なりの評価軸で板分析を言語化しているのですが、フォロワーの方の中には言っていることがまだ難解すぎる。であったり、基本を理解していないので応用が身につかない。などという方もいらっしゃることは把握しておりました。
なので今回は、デイトレードを始めた初日の頃の右も左も買い板も売り板も分からなかった自分に向けるように「板読み技術の超基礎」を全てまとめようかなと思います。
その後、徐々に実際に戦う上での必須事項もまとめていきます。
初心者の方向けのコンテンツはこちらが最初で最後になると思いますが、
もしコンテンツの内容が良いな。と思ったらtwitterで反応貰えると励みになります。(書き終えるのに凄い労力がかかった(笑)ので、最後まで読み終わっていなくても全然良いので、感想やtwitterで反応貰えると嬉しいです!)
では早速。
1章:板の各種ポジションについて
まずこちらが、"板"です。
株式投資には大きく「成行(なりゆき)」と「指値(さしね)」という注文方法があり、かつそれらの価格と売り・買い両サイドを全て一括で表示した「注文票」が"板"です。
①買い指値と売り指値
赤のエリアで囲まれたもの、上から1,727円〜下はUNDERというものまでが「買い板」で反対の青のエリアで囲まれたものは「売り板」となります。
買い板は「買いの指値注文」を値段ごとに示しており、売りは「売りの指値注文」を表します。指値(さしね)注文というのは「売買する際に"この値段"しか取引しませんよ!」という値段を指定(指している)ので指値注文。
一方、「いくらでもいいから早く取引したいよ!」というのは成行(なりゆき)注文と言います。
その「いくらでもいいから早く取引したいよ!」という成行注文は白のエリアで囲われた部分で、その上に買数量・売数量とそれぞれ記載のある通り、
右サイドが買いの成行、左サイドが売りの成行となります。
現在用いている板は実際の過去の板データです。
寄り付き前板で、相場が開く9:00までの1時間(8:00~8:59:59)までの時間は板寄せ方式と言って、成行の枚数も上記のスクショの様に表示されています。
一方基本的に相場が開いている9:00~15:00(場中)の間は上記の図の様に、
成り行きは表示されずそのまま売り板と売買が成立して約定(やくじょう)します。
そろそろ少し、「?????」となってしまっているかも知れませんが、
基本最初はみなさんそうなりますから、本noteを3周も読んでもらえれば必ず理解出来る様になっているので安心して下さい。笑
②ティック数とOVER/UNDER
次にティック数とOVER/UNDERの説明をします。
まず、通常の証券ツールの板(こちらは楽天証券のマーケットスピードfor Macのスクショ)では売り板、買い板共に表示される値段が"10列"と決まっておりそれよりも上(売り板の場合)、下(買い板)の場合は"全て"それぞれOVER,UNDERに合計されて行きます。
具体的には、買い板は高い方から1,727、1,725、1,724……1,717円までの10列でそれより下は"全て"UNDER!ということです。売りも同じです。
ここまではなんとなく分かって来ましたでしょうか??
>【ここから少し応用なので一旦パスして次の項目へスキップしてOK】
では、理解度チェックです。
Q:上記に示しているカバー_5253の銘柄で"その日に"一番高く買える理論上の値段(一番高い売り指値)は何円でしょうか???
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A:答えは2,128円です。
前日終値が白枠で1,728円と記載されていますから、2,000円の値幅制限=上限+400円に該当し、1,728円+400円=2,128円となります
そしてこの当日一番高い値段に達してそれ以上買えないことをストップ高。
逆に一番安い値段verのことをストップ安。と言います。これは聞いたことがあるのではないでしょうか。
段々既存知識と紐づいてきて楽しくなっていれば幸いです。笑
すでに頭がパンクしてきたという方は無理せず、理解出来るまでじっくり読んでみて下さい。
③成り行き、指値と気配値(けはいね)
第一章はこの項目で最後です。本当にまるっきりの初心者さんであればここまで読むのもなかなかすごいと思います。笑
ピンクで囲っている部分は売りと買いが"現時点で最も均衡している"気配値(けはいね)と言います。
買いの気配は1,727円で32,800株。売りは1,728円で33,000株あり上記板寄せで均衡している状況となります。
買いの1,727円の32,800株は買いの成り行き19,800株に加えて、1,727円より"上"に入れられてある「通常の板」では見えないピンクのエリアに入れられている"買い指値"の株数が合計されている訳です。(大抵は1,727円の指値の株数にはなりますが、それよりも上に入っている指値も実際たくさんあります。)
話を戻して、白のエリアも同様に通常の板では見えない売りの指値が入っているエリアになっています。成り売りの数量が26,100株で気配株数が33,000株ですので1,728円含むそれよりも下の値段に指値が合計6,900株存在する形になります。
寄り付き前の板では、8:00:00~8:59:59まで成り行きでも指値でも自由に入れられますので、これらの数値が時間と共に目まぐるしく変化していく訳です。
【発展】④板寄せ方式とザラ場方式
まだ本noteで言えば全体の13%程度ですので、
1周目ではここはスキップしてまずは全体像を理解してからここのトピックを読む形でも全然問題ありませんが、いずれ理解しなければならないものなのでここでまとめておきます。
板は大きく2つの方式に区別されています。
2023年5月現在では日本株式相場は9時に寄り付き、15時に引け(ひけ)ます。
前場引けが11:30。1時間のお昼休憩を挟んで後場寄りが12:30となります。
まとめると
前場:9:00~11:30
後場:12:30~15:00
が基本的に相場が開いている時間帯です。
相場が開いているこの時間帯での板は「ザラ場方式」となっていて、
ザラ場方式以外の全てを「板寄せ方式」とJPXのルールで定められています。
まず馴染みのあるこっちのタイプの画像↓
これは後者の板寄せ方式です。区別のポイントは「成行」の株数が記載されているから。と理解してもらえればわかりやすいです。
ザラ場方式以外のものは全て「板寄せ方式」になります。
③のトピックでもまとめたように「板寄せ方式」は買いと売りの注文数(株数)が合致する<均衡価格>を求めてその価格が単一での"約定価格"となる方式で、これまでの説明通りのルールです。(もっと詳細に知りたいという方はリンク先のページを読んでみても良いと思います。)
一方「ザラ場」方式は「価格優先、時間優先」という原則ルールがあります。
価格優先はその名の通り、買いだと価格の高いものが安いものに優先し、売りだと価格の安いものが高いものに優先します。(価格的に不利な方が優先と理解してもらえればOKです)
時間優先もシンプルで、注文が早い方を優先します。これだけです。
ただし後に後述するストップ配分ではここがやや複雑に絡んでくるので
まず、価格優先と時間優先の原則ルールだけは理解しておいて下さい。
2章:株取引の流れについて
1章ではまず板の構成、ポジションと少しルールについて解説しました。
2章では板を中心に、約定・歩み値・出来高・チャートへと取引の流れ全体を網羅的に理解出来るようにまとめてみます。
①約定(やくじょう)と歩み値(あゆみね)
注文が通って、売買が成立することを約定(やくじょう)と言います。
少し復習も兼ねて最初に問題です。
Q:今この瞬間に、成り行き売りで利確をしたいとします。
もしあなたが700株保有していた場合、全て同時に成り行きで売ると"(平均)何円"で約定するでしょうか。小数第二位は四捨五入
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その時に約定されたデータを時系列に表示してくれるのが「歩ね値(あゆみね)」↓という機能です。
証券ツールであれば基本100%こちらの機能はあると思います。
左から順に時間・株数・約定値で表示されています。
私が使用している楽天証券の場合は1秒毎に更新され、上記のスクショのような形になっています。証券ツールによって色の意味するところは違うのかもしれませんが私が使用している楽天証券のマケスピfor Macでは、直前の約定よりも約定株価が下がったら緑。上がったら赤、同じなら白となっています。
②出来高(できだか)
段々と株取引の全体像が見えてきたでしょうか。
やはり店舗経営のようなイメージを持ってもらえれば、理解しやすいですね。"板"=「注文票」,"歩み値"=「レシート」
そして"出来高"=「売上」と考えてみましょう。
白色の枠で囲ったものが"出来高"です。出来高というのは、先ほどの「約定」した株数を単純に合計した数値概念で、店舗経営で言えばまさに"売上"といったところです。
出来高は寄り付き(9時)スタートから引け(15時)までタイムリーに証券ツールで更新されて行きます。
例えば、
9:00:00寄り付きに28,000株約定したらその時点で出来高が28,000株、9:00:01に800株約定したら合計で28,800株という形で合計されて行きます。
上記のスクショは1分足と言って"1分毎"の株価変動をチャートで表示させているものです。1分足には1分毎の合計の出来高が「棒グラフ」で表示されて行きますので凡その数値とその増減、推移が一目で理解出来るようになっています。
出来高は私が最も重要としている指標の一つです。どんな時間軸であれ勝ち続けているトレーダーで出来高を見ていない方はそうそういないと言っても問題ないほど重要な概念ですので必ず抑えておきましょう。
③チャート
こちらはご存知の方も多いと思いますので簡単に。
白で囲っている出来高の上のスペースにある赤と青のローソク足で作られているグラフがチャートです。大抵の証券ツールでは1分足や5分足、日足、週足、月足などと言って時間軸によって色々見方を変えることが出来ます。
これらは簡単に言えば、板で約定した株を示した歩み値データを"設定した分単位"でより見やすいように可視化したグラフです。
なので、板読みを突き詰めていくと短い時間軸でのデイトレではチャートはほぼ見なくてもよくなります。(ただ、私の場合は補填的に歩み値とチャートもモニターで表示はさせています。)
【暗記】④4本値(よんほんね)
2章の最後に今後頻出で出てくる&板読みで重要な概念になってくる4本値(よんほんね)について触れておきます。
こちらも大抵の証券ツールで「市況」データとして更新され、いつでも確認することが出来ます。
始値(はじめね)、高値(たかね)、安値(やすね)、終値(おわりね)の4本で4本値と呼ばれています。
多くの関係者に意識される定量指標なだけあって人間のトレーダーだけでなく、3章に出てくるアルゴのベースプログラムにも組み込みやすい点もあり基本中の基本でありながらも、今もそしてこれから先にも非常に重要な指標であり続けます。
日々の銘柄分析にも必ず使用しますし後半の章に出てくる「増し担保規制」や「移動平均線」のトピックでも使用します。必ず抑えておくようにしましょう。
2章は以上です。お疲れ様でした。
この章のトピックは結構知っている内容も多かったのではないでしょうか。
3章:板読み基礎概論_(1)
やっと3章まできましたね。笑
1週目で全て完璧に理解できなくて当然ですし、当時の私も最初は全然理解できなかったので焦らず咀嚼しつつ、コーヒーでも啜りながら読んで行って下さい。
ここからは基礎の中でも段々実践寄りになってきますがご自身のペースで読んで行ってもらえればと思います。
①支持線(しじせん)・抵抗線(ていこうせん)
まずは、支持線に関して。
株式トレードで言う、支持線(=サポートライン)は、これまでの因果的な側面やテクニカル的側面、目標値計算的な側面、4本値、出来高など様々な要因から構成・意識される強いラインのことです。
※因果やテクニカル、目標値計算などは発展的な内容になりますので今回は割愛。
上記の板で言うと白枠内の1,850円 25,100株のような部分です。
この板を一発で割ろうと思うと信用でも4,700万円ほど必要になるので、中口(そこそこの資金を運用出来るトレーダー)以上でなければ売り割ることが出来ない強い板になります。
このようなラインは買いサイドの心理では心強く見えたり、逆にこの厚い板を割られるようなことになったら即損切り(撤退)。といった形でトレードの判断軸になりやすい傾向があります。とだけ一旦抑えておきましょう。
続いて抵抗線。
抵抗線は上記の板の白枠のような形が典型的。特に節目になってくる株価での抵抗線は「心理抵抗線」と呼ばれており指値が多く集まりやすい傾向にあるため過去の因果などなくても厚みを帯びることがあります。
ここに先ほども記載した因果玉やテクニカル、目標値、前回高値など様々な要因が絡み合い、その強度が増減するものです。
少し急に難しかったですかね。ただ、焦らなくて大丈夫です。毎日練習していればすぐに出来るようになります。
今、頭にスッと入ってこなかった場合は、
"指値"と"成り行き"の部分から再度復習しておきましょう。基礎が固まっていないと応用が効きませんから、やはり何事も基礎固めが重要です。
では、支持線、抵抗線はこのような形です。
支持線ライン、抵抗線ラインは、株価変動の分岐点になりますので板読みにおいて重要な局面にどうしてもなって行きます。
そこに多くの人間の心理や感情も影響しますので、基礎概論の1つ目として解説しました。
②逆指値(ぎゃくさしね)注文
いよいよ本格的に混乱するトピックになってきました。
1章の復習も織り交ぜつつ解説します。
まず、注文には大きく、「成り行き」と「指値」がありましたね。
そしてそれぞれ"買い"と"売り"の注文がありました。
2✖︎2の4通りがベースで、これが基本です。
例えば、上記の状態の板があったとします。
もし100株既に持っていた時に、
「いくらでもいいから早く取引し(売り)たいよ!」と考えている場合は「成り行きの売り」を注文しますから、「成り行きの売り」を100株入れた約定値は1,725円(最も高い買い指値との売買)となりますね。
ここまでは大丈夫でしょうか。
或いは、成り行きではなく、これからも株価がまだ上がりそうだな。と考えた場合は、
例えば1,732円の6,600株の上に100株の"売り指値"を入れるという注文を出します。こちらが"売り指値"注文。うまくいけば成り行きで売った場合の1,725円よりも7円(約0.4%)もお得に売ることが出来ます。
ただし、自分が売りたい価格でしっかり売れる代わりに、注文=約定ではありませんので株価がその価格まで上がってこない場合は約定(売買が確定)出来ませんでした。
これが「成り行き」注文と「指値」注文の違いでしたね。
さて、ようやく本題です。
上記のスクショ画面上部に「通常注文」「逆指値付通常注文」「逆指値注文」と有ります。(証券ツールによってUIは異なります)
逆指値注文に関して、
具体的に解説していきます。
上のカバーの板で1,728円の抵抗線ライン35,300株が意識されています。
ここを抜けるとその上は比較的厚い板がない「青空圏」と考えると
この抵抗線を抜いた後は順当に上昇する可能性が高いと"一般的"には考えることが出来ます。
そういった仮説、背景を持っている上で、主にですが、
場中"板"に「張り付いて見られない人」の為に用意されているのが「逆指値注文」と理解してもらえればOKです。
「逆指値注文」:if状況に"成り行き""指値"を設定出来る注文
今回の2枚目スクショでいえば、もし、1,728円をブレイクして1,729円に株価が到達した場合に限り、"成り行き買い"で1,200株注文を自動で入れてください。という注文内容になります。これを「買いの逆指値」と呼びます。
もちろん、価格も好きな場所を選べますし、成り行き、指値も自由に選べます。
また、同様に「売り」も同じく可能です。多くの場合は支持戦を破られたら"損切り"とする場合に設定することが多く「売りの逆指値」と呼ばれています。
休憩がてら
ここまで結構重かったですね。本当の初心者の方であれば、もう相当パニック状態だと思います笑
ちょっと休憩がてら、この記事で私のnoteを初めて読まれた方も多いかなと思いますので、自己紹介。
noteやtwitterを始めたのは3月の上旬からで、今で丁度70日位になります。
トレードは去年の11月から始めたので全然新米の初心者です。
元々は東京で自然言語処理系のツールを作るAIスタートアップで役員をしてまして、それを退職して田舎で株ライフに全力投球中です。
株を始めてから数ヶ月は運動不足解消、人間関係不足の解消、ストレスの解消の為にサウナ屋で趣味バイトをしてましたが、今は完全に専業1本です。
snsは危ない人多いのでスタンス的に収益はあまりひけらかさないようにしていますが、1ヶ月の生活にかかる総コストの5.5倍くらいは4月で稼げました。5月も着地は多分同じくらいか、ちょっと落ちるくらいですね。
本当に私も最初は、不安だし、勝てないし、の感じが続きましたが、毎日死ぬほど頭を使って板読み研究や需給読み(銘柄分析)をしていく中で、徐々にですが"負けなくなりました"
厳密にいうと、"期待値"の低い銘柄には入らないようになっていきました。
期待値に関してはこちらのツイート↓
https://twitter.com/sauna_and_trade/status/1649922969664385027
この"期待値"を推測する技術こそが、「板読み技術」だと私は考えています。勝率100%にすることも出来ませんし、損切りは常にやるものですが、トータルで勝てるかどうかは"期待値"を「板読み」で読めるかどうか。なんですよね。ここに気づいて、実践するのに相当な時間とエネルギーを使ってきましたし、これからも継続して使っていくつもりです。
ほぼ毎回、板読みの振り返り検証note(技術ダダ漏れになってしまうので無料公開は一部だけですが。)と事前準備の銘柄分析をやっているのでこちらのnote参考になった方はそれも参考にしてもらえればより実践的な内容を学べると思います。
さて、休憩はこんな感じで、続きいきましょう。
③スプレッド
続いては"スプレッド"です。
スプレッドというのは板における「価格差」全般を表す言葉で
スプレッドが大きい、スプレッドが小さいなどと表現します。
板読み時において特に着目しなければならないのは表示されている10ティックにおける"スプレッド"度合いです。(10ティック以上見ることが出来る「フル板」という機能がありますが、こちらは6章で説明します。)
買いサイドの最高値と最安値の"スプレッド"と売りサイドの最安値と最高値の"スプレッド"から相対的な板の強度や厚さを把握することが出来ます。
図解を例に挙げると、売りサイドでは最安値1,455円で最高値1,474円なので19円(1.3%ほど)差(=スプレッド)しかありませんが、買いサイドの最高値は1,454円で最安値は1,180円なので10ティック内でも274円(23.2%)も差が開いています。
スプレッド。
これは板の強度に直結する形になりますので、まともに板が読めないと悲惨な目に遭ったりします。
例えば自分が寄り付きまでに成り行きで3,000株注文を入れていたとして、そのまま寄り付き1,454円で約定したとします。その直後売り玉(利確でも空売りでも)がたった2,600株入っただけでこの板の場合、一番高く売れるのは1,180円になってしまいます。
つまり"含み損"が一瞬で82万2千円(274円✖︎3,000株)になってしまうんですね。
仮に最小の単元100株で入ったとしても、一瞬で2.7万円の"含み損"になってしまいますから、板のスプレッドがこのようにスカスカの場合の板は非常に難易度が高く初心者の方はまず入らない方が良いと言えます。
一方で、"売り"のスプレッドが大きい場合は買いサイドの「モチベーション」に繋がる可能性があります。
上記のTBグループの板のように売りの最安値が264円で10ティック以内での最高値が295円で31円も差があるような場合、11.7%もギャップがすでに見えていますからそれだけ効率良く"含み益"になりやすく買いサイドの「新たな買い玉」を呼び込む可能性があってチャンスな板と言えますね。
【補足】>呼び値(よびね)について
「呼び値」とは、最小単元に対し注文できる最小の値幅(刻み値)であり、売買が「何円単位で行えるのか」を意味します。その銘柄の株価によって「呼値の単位」が以下の表で決まっています。
基本的に相場で話題になる個別銘柄はその他の銘柄に該当しますので
呼び値変更ラインと変更価格だけは抑えておきましょう。
上記表にある通り3,000円突破、5,000円突破は呼び値変更の重要ラインになります。ですので、「心理抵抗線」としても強く機能する傾向にありますので意識してみましょう。
④アルゴ,HFT基礎①
それでは3章4つ目のトピックは「アルゴ,HFT基礎①」です。
段々と難しくなってきますが、"板読み"を習得していく上で絶対に無視出来ない存在なので早い段階から紹介します。
内容が奥深く、プログラミング技術的な話にも発展していくのでこのトピックでは基礎・概略的な話にだけ触れ、興味がある方は6章でも発展的にまとめていますのでそちらも確認してみて下さい。
アルゴは今や個人投資家にまで広く普及してきますが、基本的には機関投資家が「より大量に、より効率的に」売買を行うために構築されたシステムで1980年代から実際の相場で使用されていたようです。
そこから、証券取引ネット化の普及、株式取引システムの進化(具体的にはアローヘッドの導入)などと共にアップデートされていき「より速く、より応用的に、より合理的に」と言う形も追加されていったと考えていけば良いと思います。
その結果、人間が手動で行う売買よりも"期待値"が高くなることで導入費や、研究費、管理費などを鑑みても人間よりパフォーマンスが高いと考えられて現在の普及度合いに至ります。
ここまでで、少し難しく感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、開発者側の視点と運用者側の視点に立って考えていけば結構単純だったりします。(運用者側視点は別途6章で。)
まず、開発者側の視点で言えば、「なんとなくこの板強そうだから買ってみよう」をプログラムを落とし込むことは出来ないですよね??
なぜ出来ないかというとプログラムというのは具体的かつ定量的な指示書なので抽象的・感覚的な言葉では設計できないからですね。
一方で、例えば「みんなが買っているから買ってみよう」と言うのは頑張ればプログラムに落とし込むことが出来ます。
みんなが買っていると言うことはその店(銘柄)の売上が上がっていると言うことなので、売上="出来高"でしたよね?(覚えていますか。忘れてしまっていた方は2章の②で復習を!)
つまり、"出来高"という具体的かつ定量的なデータを扱って指示書を設計するんですね。
もっと言えば、"出来高"が伸びてきた"瞬間"に、価格が変動しているベクトル(方向)に"同様の売買"を"〇〇予算内"で注文する。というプログラムを組むことは自体は1~2ヶ月も勉強すれば出来るようになります。
これがアルゴ種別の1つとして実際に存在する「出来高連動型アルゴ」です。
(呼び方は私が勝手に名付けているので、アルゴツール販売業界で正式名称は他にあるのかもしれませんがそこはより深く知りたい方だけご自身で調べて貰えればと思います。)
そういった形でアルゴリズム取引も結局は普段私たちがトレード中にみている指標をベースに組まれているもの(一部例外はありますが、)なのでそう考えていけば、トレード技術・"板読み技術"の基礎、基盤を徹底的に抑えていくことでアルゴの解読、理解も随分と簡単になってきます。
少し長くなってしまいましたので、「アルゴ,HFT基礎」の続き、発展は6章で解説します。
⑤強い板と弱い板
3章の最後のトピックは「強い板と弱い板」です。
段々と板読みの奥深さに触れていきますので、脳を"暗記モード"から"理解モード"に切り替えてもらった方が良いかなと思います。1回でわからなくても当然なので何度も読み返してみて下さい。
まず上記のこの寄り付き前板、強い板ですか?弱い板ですか?買いサイド前提でご自身で考えてみて下さい。もちろん絶対的な答えと理由があるわけではないのですが、仮説を構築してみて下さい。
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あくまでR.私個人的な考え方ですが、強そうに見えて弱い板だと思います。
あるいは中級者以上でしたら、弱い板・期待値の低い板と考えることが出来そうですね。(もちろん絶対的な答えがあるわけではないですし、この板のスクショ1枚だけではわからない部分も沢山ありますので、なんとも言えないですが、今回は基礎編ですのでなるべく単純化して理解しやすさを追求しようかなと思います。)
なので中級者以上は、「弱い板・期待値の低い板」と判断したんですね。
多分、相当難しかったとは思いますが、1周目はなんとなくで大丈夫ですのでこの"読解の流れ"、"シナリオ"という感覚を養ってもらえれば良いかなと思います。
【発展】
ここからは先ほどの話をさらに発展させた内容になりますので、
1周目ではパスして頂いて問題ありません。
先ほどの板展開からさらにシナリオ分岐、需給の変化を読み取る発展的な話に少しだけ触れたいと思います。
先ほどの、中級者が「弱い板・期待値の低い板」と判断した"にも関わらず"
例えば、寄り付きから大して株価を下げずに、利確売りと同じ程度のバランスで成り行き買いの勢いが持続しチャートがヨコヨコ(買いと売りのパワーバランスが均衡)していたらどうでしょうか。
これは随分また状況、話が変わってきそうですね。
本来弱いはずなのに、落ちない。このような板の歪みこそが需給の分岐点となりトレンド転換点になります。
少し難しい話をし過ぎてしまいました。すみません。
もっともっと発展的な話をしていきたいのですが、今回は超基礎をテーマとしているので3章ではこのあたりにしておきましょうか。
3章終
4章:需給と板の科学
1ヶ月も板読みを継続すれば、板読みってスポーツに近いな。ってわかると思います。つまりお勉強系ではなく、経験則的な側面が強く感覚的に徐々に理解出来るようになってくる部類の系統なんです。
なのでやはり言語化が非常に難しい領域だなと常々思います。
そもそも学校の問題と違って、相場では「答え合わせ」のしようがなかったりするので自分の仮説があっていたのかどうかを検証出来るレベルまで上がらないと「仮説検証」すらまともに出来なかったりします・・・
4章はそんな中でも板、そして需給を科学(再現性を担保出来るように言語化すること)しようと試みる章になっています。
「なぜそうなのか」というwhyの部分から紐解くことで本質が見えてきたり、見えて来なかったり・・・・
ではやっていきましょう。
①「買いが買いを呼ぶ」
1つ目のトピックは「買いが買いを呼ぶ」です。聞いたことある方も多いと思います。
3章の最後のトピックで似たようなのが出てきましたね。
そう、「損切り売りが損切り売りを呼ぶ」ですね。これの買いパターンです。
例えば、このような寄り付き前板があります。均衡価格・成り行きのバランスが取れていますので、そのまま9時に約定してもおかしくないです。
注目すべきは"買い指値の厚み"ですね、360円に4万株、356円には5万株と支持線が連星化してかなり堅硬な様相を呈していますね。
これは一旦このラインであれば「買いたい」という意思として素直に読み取ってみましょう。
またこれだけの指値が入っているので、指値をしているトレーダーの多くはしっかりと板を「視聴(監視)」していますので「視聴率」も高そうですね。
例えば、今回は仮に363円で寄り付いたとしましょう。
仮にですが、支持線が底堅いと判断した上手いトレーダーが363円寄り付きから成り行き買いがガンガン入ってきて、370円ラインを突破したとします。すると2%ほどの株価上昇になりますね。
"旬"のハイボラデイトレ銘柄は一瞬で株価が上昇しますから、あまり「乗り遅れてしまった」ら逆に"高値づかみ"になって損することになります。
そういう心理を背景に、その際、360円(合計4万株)に指値入れていたトレーダーや356円(合計5万株)に指値を入れていたトレーダーは「どう感じるでしょうか」また「どのような行動を取るでしょうか」
考えてみましょう。
「買いが買いを呼ぶ」というのは簡単に言えば、上記の①の現象のことと解釈してもらって良いと思います。
指値を指しているなどで"板を視聴していた"トレーダーが、買い上昇の初動を読み取って、「乗り遅れまい」と追随買い参戦してくる。この一連のパターンが
「買いが買いを呼ぶ」の形成パターンの1つと理解してもらってokです。
また、その続きの展開として、
上記の①が発生すると成り行きの玉が増えますから、「出来高」が急増しますね。多くの証券ツールでは「日中出来高急増」ランキングがタイムリーに閲覧出来るようになっているので、元々板を視聴(監視)していなかったトレーダーもランキングに反応してイナゴのようにワラワラと後から買い参戦してきます。これもまた「買いが買いを呼んでいる」状況の1つだと言えます。
6章でも説明しますが、これを手動確認するのではなく、自動的に反応して"買い"を行うアルゴも存在しますので「買いが買いを呼ぶ」の構成要因として機能しています。
また、
なぜ出来高が増加したら後から買い参戦してくるか、というと「出来高は株価に先行する」と言われており、実際デイトレ銘柄であっても大抵その通りです。
逆にいうと「出来高急増なしで急騰」する方がレアケースだと思います。
出来高が急増しているかどうかは、常時出来高との対比で考えます。
その辺の期待値、相場の原理原則を抑えているからこそ、証券ツールにも「日中出来高急増」ランキングがあり、それを見るトレーダーが沢山いる。アルゴが組まれる。という構造な訳ですね。
この一連の流れが(随分単純化しましたが)「買いが買いを呼ぶ」ということです。
ついでに急騰には出来高が必須。これも合わせて抑えておきましょう。
②「下手な玉と上手い玉」
2つ目のトピックは下手な玉(ぎょく)と上手い玉(ぎょく)です。
文章Onlyのトピックですが、休憩がてら読んでみて下さい。
ちょっと聞こえは悪いかも知れませんが、相場なんて完全に弱肉強食の勝負の世界なので相対的に上手い、下手が生まれるものです。上手い玉(ぎょく)というのは、簡単に言えば、プロの資金のことです。
デイトレやスイングで利鞘を取っているプロは100%板読みを使っていますし、アルゴも使っています。
アルゴに関しては話が複雑になってしまうので、今回は割愛しますが、
「板読みで需給を読み取ってから」注文判断出来ている玉を上手い玉と脳内変換してもらって良いと思います。
逆に「板で需給の変動、変化を読み取れない玉」を下手な玉と私は読んでいます。明らかに期待値がない盤面での注文やそもそも板を見ていない注文などのことですね。
スイングトレーダーが出勤前に指値や成り行きで入れておく。なんてことも実質的に"板を見れていません"から私に取っては"下手な玉"そのものだったりします。(大変失礼な表現ですが、勝負の世界に甘さは不要です)
株式相場は中長期的に見ればインフレ率と企業の事業成長の観点から「プラスサムゲーム」と呼ばれておりますが、短期のデイトレに関してはほとんどその恩恵を得ることはなく、「ゼロサムゲーム」になっていると思います。
ゼロサムとは、読んで字の如く合計したら0になるゲームなので、
参戦者全員の資金を相場に集めて、再度勝敗に応じて分配しても合計が±0ということですね(厳密には手数料やらがあるのでマイナスサムに近いはずですが)
板読みは極めていっても負ける時は負けますし、デイトレに損切りは必要不可欠ですが、一方で理論を組み立てるだけで「あまりにもひどい負け方」というのは論理的に、統計的に回避できるものです。
この内容の具体的な話は、基礎編の内容からはかなり乖離して実践的、発展的な内容になってきますので状況やニーズに応じて興味がある方は以下の板読み理論シリーズの「寄り付き前板読み総集編_ABC」を読んで研究してみて下さい。
(手法優位性保護の観点から、現在は有料クローズド中&メンバーシップ限定公開です。次回はnoteフォロワー数1,000名突破で上記の「寄り付き前板読み総集編_ABC」シリーズと以下の「大陽線シリーズ」を数日の期間限定で無料公開予定です)
③「板は厚い方へ動く」
3つ目のトピックは「板は厚い方へ動く」です。
「板は厚い方へ動く」というのは板読みにおける格言的なものの1つです。
基本的にはプライム銘柄(東証1部)で時価総額が重い銘柄でのシーンを前提に使われるものだと私は解釈しておりますが、
いわゆる"旬銘柄"(好材料、テクニカル、好需給などで一時的に注目度とボラティリティと出来高が大きい状態になっている状態のグロース系の銘柄を指す)でもその内容は適用可能です。
この格言と本質的な意味合い、メカニズムを理解できれば"板読み"スキルは一段階上がると思いますのでこのトピックは必須で抑えておきましょう。
現在値1,421~1,424円の"旬銘柄"があります。こちらを題材に展開していきましょう。
売り指値、買い指値を比較すると、売り指値の方が1,430円に3.5万株、1,432円に1.8万株と"厚い板"がありますね。買い指値の方はほぼ全て4桁前半板となっており"相対的"に考えればやはり売り板の方が厚い印象はありそうです。
どういうことか、具体的に解説します。
もちろんいろんな考え方があると思うので上記が絶対的な解とは思っていませんが、私が考えている「板は厚い方へ動く」と言うのはこのような流れ。
薄いは弱い、厚いは強いの"否定"。"否定"と言うのは時間の経過によって確認される。こんな具合です。一発で理解するのは難しいと思います笑
当然、板読みも確率論の話なので毎回毎回そうなるわけではないですが、
具体例で検証結果をまとめてみます。
上記の板からおよそ13秒の"時間の経過"による"否定"が完了
後、「板は厚い方へ動き」約3秒程度で1,430円 1,432円の厚い板は買い壊され上昇トレンドの起点を作りました。
ちなみにその後も、上昇トレンドは継続し、どんどんどんどん「板は厚い方へ進み続け」1,450円も突破していきました。
最初の板(9:05:58)の売り最安値は1,424円だったのでこのタイミングから13秒間の"否定"の時間の間に「買い」を入れていれば1,424円で約定できたと仮定すると、
最後の板(9:07:10)までの1分12秒後には買いの最高値1,451円で売れそうなので+27円の値幅が取れましたね。大体+2%です。
「時間経過」による"否定"、と確からしさ。これが重要ですので抑えておきましょう。
では、ここから少し【発展】です。
板読み思考力を養うために、課題を出しますのでまずはご自身で考えてみてください。
先ほどの読解解説、読解④で、
「需給」の方向性は指値の厚さでの評価軸を"否定"をサインしていると考えられる。
とまとめていましたが、
Q:そもそもなぜ指値の厚さでの評価軸は"否定"された
のでしょうか。考えてみてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(もちろん絶対的な答えはないと思いますので、私なりの考えです。)
"否定"の確からしさ、証明は一定の「時間経過」でしたね。
一方"否定"された理由は、
A:「厚い売り指値」を形成(指値注文)しているトレーダーたちが「ここなら売れる」と思って指しているから。と考えています。
つまり、もっと言えば「買わせないため」の指値ではなく、「売る(利確する)ため」に指している指値だからですね。
ちょっとややこしくなってきましたかね笑
あくまで【発展】ですから焦らなくても大丈夫です。じっくり解説します。
①「売る目的」の指値はその名の通り、「利確」の指値玉です。
もうすでに下で買い終えているトレーダー達が利確するために指している玉なのでその人たちはむしろ買い上がってきてもらって約定してほしくて指しているんですね。なので、売り指値を指していますが需給感覚で言えば買いサイド。「現在値より上がって欲しい、上がるだろう」と言う感情を持っています。
一方、②「買い上がらせない(=下げさせる)目的」の指値
も当然ありますよね。わかりやすいのは"空売り・ハイカラ"を仕掛けているトレーダーならこの発想になります。
空売りは株価が下がっていかないと利益にならず、株価が上がってしまうと含み損になってしまいますから、「買い上がらせたくない」訳ですね。もっと言うと株価を下げさせたい。と言う心理状態な訳です。
発展的な内容なので惜しみなく書きますが、板読みで最も重要なのはこの指値の種類(①か②か)を板組成(いつ、どのような形で、どのような流れで、どの程度の枚数が指されたのか)から読み取ることだと思っています。
この板組成の読み取りこそが「板読み」であり、①か②かの種別判定に仮説を持つことですね。そしてその仮説を持った上で、「時間経過」による証明によってその仮説の確からしさを上げる訳です。
もっと深ぼっていくと①パターンの板組成と②パターンの板組成は異なる特徴量がありますので統計的に確率論的に板読みで読解することが可能です。
なぜ特徴量が発生するかというと、
ベースにある心理と主体が異なるからですね。
また、①が結果的に②になってしまう。みたいなこともたくさんあります。
おっと・・すみません。
書きながら初心者の方にはあまりにも難しい内容になってきていることに気がつきました、申し訳ないです。今回の趣旨は「超基礎」なのでこの辺にしておきます。
結構勢いで書いているのでよくこんな感じになっちゃいますが、実際はもっともっともっと考察を伸ばせますし、板読みを出来るようになって自分の仮説通りにハマったらかなり気持ち良いです。
道は険しいですが、デイトレで稼いでいきたいのであれば板読み技術を極めていきましょう。では③「板は厚い方へ動く」はこんな感じで。
決して単純ではないのでわかりにくいかもしれないですが、何回か読み返してもらったら良いかなと思います!
まとめ
あくまでも私が普段メインで触っているグロース系の"旬"銘柄を前提とした説明になりました。
普段プライム系を触られている方の読み取っている感覚・ニュアンスとは多少ずれているかなとは思いますが、その点はご理解ください。
④「上がるなら買う人、上がるから買う人」
4章は3つ目のトピックがメイントピックでしたので、理解にかかるエネルギー量がかなり必要だったかな。と思います。基礎編基礎編とは言いつつも私自身が自分で色々試行錯誤して今まとめている情報を本質的に理解し、自分の言葉で言語化出来るようになったのは株を初めて1~3ヶ月ぐらい経ってからのことなので、1回ではなかなか理解できないよ。と言う方も特に不安になったり自信を失ったりする必要はないと思います。
さて、4つ目のトピックは④「上がるなら買う人、上がるから買う人」です。
この章は文章メインでまとめますから、リラックスして読んでみて下さい。
あくまで私個人の考え方ですが、小口の個人トレーダーが目指さないといけないのは「②上がるから買う」これです。
「①上がるなら買う」と似ていますが、自信の確度と先手、後手と言う"速さ"が別物と言うニュアンスを含んでいます。
(「③上げるために買う」「④下げないために買う」は主に、中口や大口の手法なので今回は割愛しておきますが、普段のnoteでは結構がっつり当たり前のようにまとめています。)
あまり勝てていない方や高値づかみをしがちな方は大抵、「①上がるなら買う」になってしまっているはずです。このようなパターンでは"板"自体はみれていますが、「板読み」は出来ていません。本来"板"から読み取らなければならない情報は「未来の方向性」ですが、「①上がるなら買う」になってしまっている方は「現在の株価」しか実際は追えていないことが多いです。
「ヒートマップで上昇率が高い!」「あ、やっぱり上がった!」「抵抗線を抜いた!」と言う感じで、上昇初動に都度都度反応して後追いで買っているので常に2番手以下です。買いが遅れれば遅れるほど上昇値幅は下がり、むしろ下落確率と下落値幅は上がりますからトレード内容として"期待値"が上がりません。
なので、文頭に戻って「あまり勝てていない」と言う状況になるはず。
一方、「②上がるから買う」は「次の未来の方向性」を読み取った上での
"買い"判断です。場合によっては1番手の買い手になれますので上昇値幅期待が最大で、高値づかみリスクは0です。基本的にこの「買い」を目指す、と言うより板読みの主な目的はこの「買い」をするためのものです。
先ほどの「板は厚い方へ動く」トピックで実際に紹介したような展開で、未来への方向性に自分で仮説を持った上で、上がり始める前に買うのが、
「②上がるから買う」と言うことです。
この「②上がるから買う」を行う方法論は時間軸、手法、考え方などさまざまな形で色々あるかと思いますが私の場合は主に、
A;寄り付き前板読み手法
B;場中売り枯れ板読み手法
が「②上がるから買う」の判断軸になっている手法です。
A;寄り付き前板読み手法
は寄り付き前8時~寄り付き9時までの1時間での板組成の変化から当日の需給を読み取り判断する手法です。良い板であれば「寄り凸」と言って寄りつき前に成り行きの玉を入れておいてそのまま寄り付きで約定させる形で攻めます。まずその日で一番最初に買う形になりますから、そもそも「①上がるなら買う」にはなりようがありません。基本的に1番手です。
この手法は非常に奥が深く、判断軸も多岐に渡り、多くのケースで数日にわたっての需給の変化を読み取る努力と板データを収集、管理する最低限の熱量が必要にはなりますが、実際デイトレの中でも相当期待値は高く、上級デイトレプレイヤーは基本的に全員「寄り付き前板読み」はしているはずです。
また以下twitterのように毎日事前に銘柄分析をしてスクリーニングをかけておくことで本来のパフォーマンスを引き出せます。事前に重要ラインの把握や需給状況の読み取り、前日までの出来高の推移などを読み取っておくことで当日の板読みの精度を上げることが出来ます。
https://twitter.com/sauna_and_trade/status/1661295832594022401
この手法に関しては、
寄り付き前板読み手法に特化して纏めている
「寄り付き前板読み総集編シリーズ」がありますのでより実践的な内容に興味がある方はそちらもチェックしてみて下さい。
B;場中売り枯れ板読み手法
私の「②上がるから買う」の方法論の主軸の2つ目が場中売り枯れ板読み手法となります。こちらも寄り付き前から板読みをした上で、場中に「売り枯れ」が発生したと見るや否や自分の板読み理論を信じて、上がる前に買いを入れる手法です。
「売り枯れ」と言うのは、その名の通り「成り行きで売りを入れてくる人間」がいなくなっている状態のことで、この状態を"板読み"で読み取ります。
手法優位性の観点と、基礎的ではないレベルなので具体的な内容は書けませんが、「板は厚い方へ動く」のトピックでやったように、「どうなったら、どういうシチュエーションならば売り枯れ」が発生するのかを一度ご自身で考えてもらったら良いかなと思います。
⑤上値しこり玉
いよいよ4章の最終トピックになりました。この段階ですでに2.4万文字も書いていたみたいです笑
このnote記事のレベル的には、手法優位性を保護する必要性はない
と思っているのでSNSなどで炎上したりして"殻に篭りたくなる"(笑)ような状況にならない限りは永久に無料で公開しておこうかなと思っているので、土日などの相場が空いていない日などにじっくり少しずつ読んでもらえれば良いのかな。と思います。
また、私自身特に明確な師匠的な人がいるわけでもなく、他のインフルエンサーのtwitterやyoutube、google検索、株本などで読み取った基本情報をもとに自分なりに再言語化していますので解釈や知識が間違っている可能性も全然あると思います。そのような場合は気軽にこちらのnoteにコメントしてもらえれば適宜確認して修正させて頂きますので、よろしくお願いいたします
最終トピックは「上値しこり玉(ぎょく)」です
しこり、しこりってよく聞く方も多いかなと思いますが、これはどう言うロジックなのでしょうか。解説していきます。
上値のしこりと言うのは、私の解釈で簡単に言えば「高値づかみをして損切り出来ていない玉群(出来高)」のことです。
「上値しこり」と言うのは需給に大きく影響し、数日~数ヶ月の間株価に影響を及ぼします。私自身が最も勉強になった事例をもとに解説していきます。
anycolorは上場後好業績に乗って凄まじい株価上昇を見せていた銘柄の1つでしたが、株主VCによるロックアップ解除&立会外分売をきっかけに12月初旬の12/5 12/6の2日間で26.8%も暴落するという事件があり、その後高決算や通期予想の上方修正などを出すも株価は回復せずダラダラを下げていきました。
なぜ好業績でも下がってしまうのか。という問いに対する答えの1つとして「上値しこり玉(ぎょく)」があります。株価10,000円以上の価格帯であるオレンジの○のエリアで買ったトレーダーの中にはスイング目線で持っている人も多く存在します。つまりその日のうちに売買を完了させるデイトレーダーとは異なり数日間にわたって保有する形ですので26.8%の暴落のタイミングでも「損切り」が出来ていない人も多く存在します。
そういう速やかに損切り出来なかったスイングトレーダーの心理は、どうなるでしょうか。
1,000万円投資していた場合すでに268万円程度損失抱えてしまっている形で、この後も日足ベースで「損切り売りが損切り売りを呼び」みるみる下落する可能性が高そうです。
もし読者の方が同じ状況であれば、どのように感じ、どう判断するでしょうか。即損切り出来る方は概ね正解だと思いますが、何かしらの好材料が出て「同値周辺にまで戻ったら同値撤退しよう」と考えてしまう方も多いのではないでしょうか。
実際その急落後にanycolorは決算を控えており、その決算では上方修正の期待感も高い業績進捗でしたのでそのように考えている方が相当多かったんですね。なのでサプライズ性もなく、"織り込み済み"だったこともあり株価は上がることはなく、むしろ10,000円以上の株価だった頃から50%の5,000円目前までダラダラと下げていきました。
また、上がらなかった理由の1つとしては「上値しこり玉」があった為、上手いトレーダーや大口が"買い"で参戦しなかったと言うのも大きいはずです。
先ほどにも触れましたが、「上値しこり玉」と言うのは、「同値周辺にまで戻ったら同値撤退しよう」と考えている含み損の玉のことですから、"買い"サイドの目線に立てば株価を上げていくプロセスの中で「同値撤退売り」と言う「売り圧力」が(利確売りや空売りなどに加えて)追加されてしまうので急に売りが降ってくるリスクも大きい上に、株価上昇に必要なパワー、勢い、出来高が普段よりも必要になってしまいます。
そういう"需給"をプロや上手いトレーダーは当たり前に把握している為、
"期待値"がないと判断して入ってこないんですね。プロの大口や上手い短期資金が入らなければ出来高も増えませんから、株価は上がることはありません。よくてヨコヨコ。基本は下目線です。
段々と「上値しこり玉」について理解が深まってきたでしょうか。
もちろんこれはanycolorだけの話ではなく、分量の大小はあれどいろんな銘柄でほぼ毎日発生している現象なんですね。
単純化すれば「高値づかみをして同値撤退するまで高値で握っている玉」と言うことですから、これが出来高の大半として生まれてしまうと、一気に上昇しづらくなります。②トピックの「下手な玉と上手い玉」で書いた文章を今一度転載しておきます。
まさに、これです。表現は良くないかも知れませんが、勝負の世界なので上手い下手はあります。高値づかみした「しこり玉」が溶けて相場に資金が落ちるまでプロ、機関は入ってきませんから「株価が上がる理由」を失いますね。これが「上値しこり玉」です。これを知っていなければそもそも「需給」を理解するのがほとんど出来ないと思いますから、基礎の基礎として必ず抑えておきましょう。デイトレ(場中)の話でも全く同じロジックで適用出来ます。
4章終。
5章:需給に多大な影響を与えるもの
5章は「需給に多大な影響を与えるもの」という形でおまけ的に用意したテーマです。デイトレをやるのであれば、基礎的な内容です。
かつ、事前に分析可能ないずれも指標なので、"銘柄分析"の際に今後必ず確認する内容になってくるかなと思います。「板読み」とは"間接的"な関連性になってきますがこれを知らずにトレードをしている人はほぼあまりいないと考えられますので初心者の方は特に読んでもらった方がいいのかな。と、思います。では早速
①移動平均線
移動平均線は、以下のように一定期間の"終値"(4本値の1つ、忘れていた方は2章の最後へ復習!)の平均を取った折れ線グラフです。
上記の場合、緑が5日・オレンジが25日・紫が75日です。
Moving Average Lineを略称して〇〇MAと呼ばれたり記載されたりしますね。
他のオシレーターとは異なって、移動平均線と出来高はほぼ100%のトレーダーが見ていますから、相場への影響度・関連度が大きいですし②トピックの増し担保規制のルールに採用されているので移動平均線の計算式は理解しておく必要があります。
②増し担保規制
ご存知の方が大半だと思いますが、「信用取引」という、預入れ担保(現金、株式、債券等の評価額)の3.3倍をかけられるレバレッジ機能と1日に何度も回転させられる機能、貸借銘柄において空売りが出来ると言う機能を持った取引制度があります。
増し担保規制の適用・解除ルールは全てこのpdfに詳細に記載されているので、真面目にデイトレで資産を作って行きたいと考えられている方は全て理解してから実際のトレードに挑んだ方が良いかと思います。
増し担保規制への流れとしては、日々公表基準を満たした銘柄が日々公表銘柄入りされ、その後増し担保規制基準を満たしたら増し担保規制銘柄入りされ、状況によって増し担保の段階が上昇したり解除されたりするという流れ。
増し担保規制入りしてしまった場合、信用取引において同じ保証金額でも取引出来る金額が大きく目減りするので「需給」が悪化しますし、「出来高」も減少する"傾向"にあります。
私が半年間相場を見てきただけでも"旬の銘柄"や"仕手化"した銘柄の中で「増し担保規制入り」を悪材料として上昇トレンドを終了させ、急激に出来高と株価を落としていった銘柄は非常に多かったですし、今後も多いと思います。
さて、ここで①の移動平均線との関連ですが、先ほどURLを記載した増し担保規制のルールに強く関連しているんですね。
簡単に言えば、
つまり、移動平均線との乖離率を拡大させた急騰が続くと、早い将来「増し担保規制」にかかるということが"誰でも"ある程度分かっているんですね。(移動平均線以外の基準項目もあるので100%ではないですが。)
「増し担保規制」にかかると、、そうです。「需給」が悪化して「出来高」が落ちる傾向がありますから、そのポイントが"天井"になりやすいんですね。まずはこれを基礎・基本として抑えておきましょう。(もちろん例外的なケースもたくさんあります。)
私も参考にしている、増し担保規制に関して、非常にわかりやすくまとめられているサイトもあるのでこちらかjpxの公式サイトで毎日確認するようにしましょう。
③注意喚起・売り禁
続いては"売り禁"についてです。
こちらもデイトレードをするなら必須事項として抑えておかなければいけない基礎知識ですのでまとめておきますね。
内容としてはちょっとややこしかったり聞き馴染みのないキーワードが出てくるかも知れませんがじっくり考えればそこまで難しい内容では無いので焦らずキャッチアップしてみてください。
簡単に言えば、先ほども出てきた「信用取引」での空売りをしているトレーダー(の資金)が多くなってくると、"空売り"というのは無い株を借りて売っている取引なので貸し出せる株の在庫が足らなくなってくるんですね。
足らなくなってきたことを公に喚起する「注意喚起」。もう貸せない状態を「売り禁」と呼び、売り禁は取引自体に規制がかかります。
管理している日本証券金融が公式サイトで毎日更新しているのでこちらも基本的に毎日確認するものです。
こちらも当然ながら、今まで出来ていた空売り(及び信用買いの原引き)が出来なくなってしまうので「需給」に多大な影響を与えます。よくtwitterなどで「踏み上げ」という言葉を聞くと思います。これは空売りを仕掛けているトレーダーが多い(信用売り残が溜まっている)中で「売り禁」状態になって、新規の空売りができなくなり"潜在的売り圧力"が減少した一方で、信用売り残分はいずれ「反対売買の買い戻し」をしなければいけないという"将来的な買い圧力"が残っていることを見越して「買いサイドの勢い」が増してどんどんどんどん高値を伸ばしていくことを言います。
簡単にまとめましたが、「注意喚起・売り禁」も需給への影響が大きいですので日々の銘柄検討の際にはチェックするようにしましょう。
事前の銘柄分析に関しては以下のツイートを過去にまとめていますので興味ある方はこちらもご覧下さい。
https://twitter.com/sauna_and_trade/status/1655916093536616449
5章終わり
6章:板読み基礎概論_(2)
さて、6章になりました。残りは6章と最終章のみです。
初心者の方でここまで読み生き残ってらっしゃる方は相当タフだと思います笑 素晴らしいですね。
・・・ですが、ここからさらに1段階「難しく」感じてしまうかなと、思います。特にアルゴの所。
では、楽しみながら読み進めてもらえればなと!
①大口には逆らうな
1つ目のトピックは「大口には逆らうな」です。もっと正しくいうと「大口には"絶対に"逆らうな」です
デイトレではどの玉がどの発注者なのかなどは絶対にわからないですが、"板"と"歩み値"を見ればその「ロット」と「買い方」、「買うタイミング」などで"大口"かどうかの検討がつく場面が多くあります。
単純な方法ですが、歩み値の約定ベースで大口かどうか推定することはできますね。上記の歩み値で9:16:21に比較的大きめに「売り」を出したトレーダーがいることは分かりそうですね。実際の場面では瞬間的に上から下に流れていくので細かい数値まで把握する余裕はないケースがほとんどですが、
今回はスクショなので綺麗に確認出来ます。白枠で囲んだ部分だけでも7,000株ほどはありそうですから、レーザーの平均売却単価21,820円で掛け合わせると、
約1.5億円の約定ですね。これはおおよそ中口~大口と言える。ということです(もちろんもっと大きい注文もザラにあります)
どう抗っても大口と逆のベクトルに進もうとすると影響を与える大きさと生み出せる出来高の量が圧倒的に違いますので"期待値"があいませんから「大口には逆らわない」のが相場の鉄則。特にデイトレでは必須だと押さえておきましょう。
>①大口が参戦(売買)可能な板タイミング
代表的なものとしては、
・厚い抵抗線突破タイミング(買い)
・支持線ラインでの買い集めアイスバーグ(買い)
・急騰後の押し目で買い板が十分に厚くなってきた時(売り)
このあたりが代表的なものとして挙げられます。
特に、厚い抵抗線突破タイミングは板読みレベル1の方でも比較的読み取れる内容になるので、大口の抵抗線突破をサポートする「お膳立て的な成り買い」を中口や小口が勢いよく行っていれば、大口の参戦可能性が高まります。大口が入ってくる、抜けるタイミングを"板読み"で見抜けるようになってくると"現状の環境"では、勝率、利幅が格段に上がりますので基本月次トータルでまず負けることはなくなってくると思います。
>②大口が参戦可能な銘柄
板読み読解においては、大口はエントリー出来る限られています。
まずそもそも"板が薄い"銘柄には入れません。(自分の購入出来高で株価を急騰させてしまって利益を出せない為)
同様に、大口になればなるほど自身の売り注文で急落を作ってしまいますので「売る」のが難しくなりますから、"出来高"が集まる「旬の銘柄」でないと入ってこれません。
株価によって話は変わってきますので設定が難しいのですが、株価1,000円以上の銘柄であれば、一つの基準としては出来高/日=100万株以上を目安に考えましょう。
ただ、最近だとIPOなど1,000万株以上の短期資金銘柄も少なくないのでそちらにしか積極的に入ってこない印象ですが、100万株以下の銘柄ではほとんど大口が入ってきませんので銘柄選定の段階から私の場合は外すことが多いです。
という形で、1つ目のトピック「大口には逆らうな」は以上です
②古い玉と新しい玉
2つ目のトピックは「古い玉(ぎょく)と新しい玉(ぎょく)」です。デイトレの板読みレベルで言うと、正直これは<中級以上>クラスになってくるかと思いますが、ここまでまとめたそのままの勢いで書いてみます。笑
理解はしやすい内容だと思いますが、実践でやるとなるとなかなか難しいレベルになってきますので、とりあえず頭の片隅に入れておく。くらいのテンションで読んでもらえればな。と思います。
「古い玉」というのは板・需給の変化に対応せず"指値注文"を差しっぱなしの未更新の玉(ぎょく)のことをそう呼んでいます。
寄り付き前であれば~8:10までに注文された指値の玉で「時間経過」してもそのまま"放置"されている玉などですね。
最悪の場合のそのまま寄り付いても"放置"されているようなことすらあります。結論、このような玉は「下手な玉」とも言えますね。
4章でも解説しましたが、板変化や需給の変動を確認・状況対応することなしに言わば"適当に"挿しっぱなしにしている玉ですので最新の状況に対応できていません。常に相場でお金の奪い合いが行われている最中、お金を放置しているようなものですよね。
一方「新しい玉」に関しては、1秒単位での板の更新への対応や他の"旬"銘柄の状況、地合い、場合によってはptsなどの「他の変数・環境」から状況を読み取ってより高い期待値を追求しようと「常に板に張り付いている」トレーダーの玉に当たりますから、「上手い玉」と言っても良いですね。
1日のボラ5%程度など気にしないよ。という完全に中長期目線での資金の場合は全然問題ないと思いますが、5%,7%でも収支に大きく影響するようなスイング目線での玉で放置しているようであれば完全に狙われていることを認識しておきましょう。「古い玉」に関してはちょっとツールを開発している組織からすればモロバレですのでアルゴや大口に狙われてしまうのは当然ですよね。お金を残して相場から目を離しているようなものですので。
デイトレであれば"必ず"板を監視できない時間帯は指値を放置しないことです。スイング目線の玉であっても私たちよりはるかに知能が高く、経験も知識も豊富なプロ連中(機関や大口)が毎日場中板に張り付いていることを再認識した上で適切な対応をするべきかなと思います。これ以上の注意喚起はくどいと思いますのでこの辺で。
私の主軸手法である寄り付き前の板読みでは「古い玉」「新しい玉」は結構重要な板読み要素だったりしますので、おまけで書いてみました。
より具体的なものは、ほぼ毎日やっている板読み振り返り検証シリーズで板のスクショデータと共に分析振り返りで取り上げたりしていますので興味がある方は覗いてみて下さい。(手法優位性のある内容も含まれているので全て読めるのはメンバーさんだけです)
③アルゴ,HFT基礎②
6章の3つ目のトピックは「アルゴ,HFT基礎②」です。
3章で紹介したアルゴの①の続編になります。忘れてしまった方はそちらから読んでみて下さい。
早速ですが、まず初心者の方も抑えておかなければいけない種別のアルゴを"運用者視点"で一部解説しておきます(アルゴはプログラムで自由に個人でも開発出来る時代ですので、今回紹介するもの以外に大量に存在しますし、その内容も日々アップデートされていっていますので、その点はご留意下さい。)
①"バレない"ように売買する注文
機関(大口)の運用者の立場では、資産運用で求められたパフォーマンスを出さないといけないですから、「限られた時間・期間」で最大の利益を出すために
「安く買って、高く売る」のではモノ足らず、「大量に、かつ株価が上がらないように安く買って、高く売る」のがベストだと言えますね。
例えば、この銘柄で5億分買いたいと思ったとして、
一旦成り行きで1億分(14万株ほど)だけでも買ってしまうと、即株価が爆騰してしまい、そもそもの"値幅"が取れませんし、すぐに「買いが買いを呼んで」しまうので5億円分仕込む前に上がってしまいます。
では、運用者であれば、どうするでしょうか。
そう、「バレない」ように、「板に見せない(あるいは一部しか見せない)形で、指値で」5億円分じっくり買い集めるわけですね。
バレないようにするのは、「板に見せない(見える形での指値にしない)」&「証券ツールの板の点滅速度より早く或いは人間の目では反応しにくい速度で反対売買」をする。という"ステルス"と"スピード"という2軸の方法論があって日々アップデートされています。
確かに一見板読みでは気づかないこともあるのですが、ある程度慣れてくると"板に"違和感を覚えるようになりますから、その時に「歩み値」を確認すれば板ではわからなかった数の注文が入っていることを確認出来ます。
より具体的にはアイスバーグ、ステルスといった細かい種別があるのですが、そこまで踏み込んでしまうと本筋を逸脱してしまうのでここでは詳しくはまとめませんが、まず1つ目の代表的なアルゴとしてこのような集め切る前に「買いが買いを呼ばない」ように工夫して「バレない」ように、買い集めるアルゴが実際にいて、日々板読みをしていると普通に見かけるので最初に紹介しておきました。
②強い指値に乗っかるアルゴ
2つ目は強い指値に乗っかるアルゴです。正式な名称などもあるのかもしれませんが私は存じません。
毎日板読みをしていて、かつ出来高がそんなに無いような銘柄に入って自分が指値を指したり、他のトレーダーが大きめな"買い指値"(ややこしくなるので「買い注文」での話にします)をすると、
その"上"に瞬時に指値を入れてくるアルゴが居て、これは本当に頻出します。
このタイプのアルゴは大口や機関だけでなく、おそらく一般の小口投資家が使用しているツールでもあるストラテジーだと思うのですが、「大きめの買い指値」を入れてくるということは買い板が一気に強くなる。ということなので、
瞬間的には上への株価変動に期待感があります。ですので、その指値の上に瞬間的に指値を入れて瞬間的な上昇の値幅を取るアルゴリズムを組んでいる。ということですね。
ただ、これはかなりいろんな銘柄に入れられているので、中級以上のトレーダーはみんなそれを知っています。だから実際に買い指値を大きめで入れているトレーダー自身も注文自体「買うつもり」ではなく、下で「買い集め」が完了してから"株価"を押し上げる為だけに大きめの買い指値を入れる。なんてこともよくある話です。このアルゴがあることがわかっている"にもかかわらず"大きめの指値を入れてくる大口や中口がいるということは・・・・・と考えていくと期待値を乗せた判断が出来る可能性がありますよね。
ちょっと深いですが、基本といえば基本なので頭の片隅にでも入れておいて下さい。
③出来高連動型アルゴ
3つ目は出来高連動型アルゴに関してです。これまでの章で何度か出てきましたが、これも超頻出アルゴなのでご紹介しておきます。
順張りトレーダーは基本このアルゴを味方に付けるイメージでいると思いますが、名前の通り「出来高が増加したら反応する」タイプのアルゴですね
4章の①「買いが買いを呼ぶ」の方で解説しましたが、「出来高」は株価に先行する指標ですので、出来高の増加の初動に反応して順方向に売買を発注するのは"非常に期待値が高い"訳です。(あくまで現相場環境では、ですが)
運用者視点、これを裁量(手動)で出来高急増に反応して手動で処理していくと反応できない銘柄も出てきますし、そもそも乗り遅れてしまいますから、やはりプログラムで自動化するというニーズはあるんですね。
もちろん、このアルゴも勝率100%という訳では無いでしょうが、相当期待値がある内容で、付加的な条件設定や予算設定組みがうまければ上手いほどさらに期待値が乗ってくるはずです。(私も友人に依頼して開発をお願いしている最中です。精度を上げるための付加条件を設定する仕様にしているので結構時間かかりそうですが。)
特に23年5月末~6月の段階では、場中(特に後場)に急に出来高が増加して急騰する銘柄も普段より多い印象です。そういう"シーズン"の可能性もありますが、相場全体の中期トレンドとしてそのような形に移行する可能性もありえます。
なので、興味がある方はこのアルゴの攻略方法を研究するなり、自分で開発するなりを試してみると良いと思います。
④フル板
6章の最後は「フル板」です。これまでの章でちょこちょこ名前は出てきていたと思いますが、こちらで簡単に紹介しておきます。
上記のように通常の板は売り買い10ティックずつしか表示されておらず、それぞれの表示できない分はoverとunderに合算されるんでしたね。
ただ、この通常の板の場合、意識されてそうな支持線22,000円の指値の厚さなどがわかりません。
そういう時に使われているのがフル板なんですね。
フル板であれば、10ティックという制限なく、当日の値幅制限(S高~S安)全ての価格と指値数量を確認することが出来ます。ですので先ほどの22,000円の支持線の状況も確認することが可能です。上記のスクショを見てみると22,000円には意外に3,300株しかなく、前後に厚い板があるような形になっていましたね。こんな形で通常の板では確認できない価格の部分まで確認出来るのが"フル板"の機能の一つです。↓S高ラインまでのスクショ。
さらにフル板では、下のスクショの赤枠部分ように、「買件数」が表示されています。買件数というのはその価格帯に入れている注文しているトレーダーの数と考えれば良いです。つまり、22,000円には3,300株を合計24名のトレーダーが入れているのでここに入っているのは全員小口の個人投資家だな。と推測出来る訳ですね。(売件数も同様です)
ここまでフル板のご紹介をしてきましたが、
参考までに私自身はメインで使うのは通常の板のみです。色々理由はありますが、フル板だと詳細まで確認出来るが、"全体像"が見えなくなるという側面と、複数の銘柄を瞬間的に同時で監視することが出来ないという理由が主な部分です。もちろん両方慣れてくれば使いこなせるようになるとは思いますが、正直通常の板で今のところ十分なので通常の板でトレードをしています。
とりあえず、最初はこういうのもあるんだなあ。というくらいの認識で良いかなと思います。デイトレをやっていってご自身の手法や板読み理論にあったツールを探して使われるのが一番かなと思います。
6章終
最終章:株で資産を作る為に。
いよいよ最終章です。ここまで本当にお疲れ様でした!!
基礎的な内容に限定したとはいえ、随分なボリュームになってしまいましたね。汗
4トピックだけですが、最終章も結構濃い重要コンテンツになっているので最後までじっくりと読んでみて下さい。序盤は技術的な話で後半は少しだけ考え方やメンタル的な話をしています。
①over/underで利確判断
最終章の1つ目は利確判断に使うover/underに関してです。over/underの存在は覚えていらっしゃるでしょうか。笑
遠く昔の1章の②に出てきたものですね。
この指標(の時間経過、株価変化と共起こる"推移")を活用して、場中に「天井」の判断をしていくという基本的な板読みです。
なぜそんなことになるのかというと最終章の②株主回転でも話しますが、主にすでに買った人が上で利確の指値を差し始めるからですね。
買いで入ったトレーダーは少しでも"高く"売りたいという心理があるので合理的に考えると"指値"で1円でも高く売ろうと考えます。結果見えている10ティックよりも上に指すこともあるのでoverに売り指値が貯まっていきますね。
そうなると、株価が上昇している"にも関わらず"、overがぶくぶくと膨れ上がっていく。という現象が起きます。
またそうなると、増加した売り指値分「売り圧力」が強くなっていますから、株価をさらに上昇させる際に必要な「出来高」「買いのパワー」がさらに必要になってきますね。
上昇局面では「売り圧力」<「買いのパワー」だったのですが、
一旦「天井」に近づくにつれて、「売り圧力」>「買いのパワー」へと変動していきます。
それを判断するのにoverの増減の推移を使って確認しています。
基本的に需給の転換点は"歪み"・"矛盾"です。
株価が上昇している"にも関わらず"overが一向に減らない、あるいはちょっと押し戻しただけで一気にoverが増強する。ような形になってきたら利確のこなし(次のトピックで説明。)が必要に成りますから「天井」の可能性が高いと考えることが出来ます。
あくまで「基本」「ベース」としての話です。
時価総額の重さや出来高の分量、浮動株周りでの追加条件など銘柄とそのシーンによって実際は色々話は変わってきますので、基本として押さえておいてもらえれば良いかなと思います。
②株主回転
さて、2つ目のトピックは"株主回転"です。その名の通り、株主が回転(交代)していくメカニズムに関してです。
以下のツイートは私がtwitterを開始して3日目にまとめたもので、えらく格好をつけていますが、言っていることは本質的です。
株主回転のことはよく、株主の新陳代謝とも表現しますね。
人間の体と同じで、株においても新陳代謝は必要なものなんですね。
実際に、利確をして株主を交代させる時間帯である「押し目」を順当にこなさずの急騰はvwap(売買高加重平均価格)と現在値の乖離率がどんどん大きくなっていき、いずれ必ず急落が起きます。
場中レベルでは日本には「値幅制限」があるのでそのままストップ高に到達出来ますが、日足の数週間ベースで急騰が起き続けることはまずありません。なので株相場の原理原則を理解して、しっかりと「利確」をこなせているかどうかの確認をするようにしましょう。
私の場合は先ほどにも載せたvwapという指標を使って判断しています。
vwapはどの証券ツールでも基本は表示可能だと思います。私が使用している楽天証券のマーケットスピードのスクショでは緑のラインがvwapラインで白枠で囲んでいる部分で現在のvwap価格を表示しています。
この株主回転に状況を見極める「vwap」を板読みと一緒に使用することで私の場合は押し目ポイントや"天井"ポイントの判断に使用しているわけですね。
ここはかなり実践的で一定難しかったと思いますので、もしわからなかったという方は6月に1度だけ実施予定のtwitter質問会で質問して下さい(その時に追加で説明しますので!)↓5月ver
③実際にトレードをするまでの基準
ここまでの基礎編の内容をしっかりと咀嚼して理解してもらった上で、
実際にトレードを開始するまでに、"さらに"このレベルは押さえておいた方が良いよ。という内容もまとめておきます。中級以上のトレーダーの方には釈迦に説法にはなってしまうと思いますが、これを読んでいる想定読者が初心者の方だからですね。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、「デイトレ」で実際にトレードをするまでにこれらは絶対に抑えておいた方が良い。というのを過去にもツイートしていますので、こちらを参考にしてみて下さい。
今回のnoteは基礎編という名目なので上記内容でまとめられなかったものの方が多いとは思いますが、普段のnote更新やtwitterにて発信しているものも結構あります。
ただ、あくまで「デイトレ」それも「寄り付き前板読み」をベースとした手法をやる場合は。という話になりますが、上記のラインを超えるまではトレードをしても資金が溶けていくだけだと思いますのでここでまとめておきます。
まあ、これをまとめていても基準を満たさずにトレードをしてしまう人が8~9割なのはよくわかっているのですが(笑)
せっかくここまで読んでもらったので貴重な種銭がなくなり退場するリスクを少しでも減らせるよう、ここでは具体的な部分をまとめておきました。参考にしてもらえれば幸いです
④板読み技術を向上させる具体的な方法論
最後は「板読み技術を向上させる具体的な方法論」です。
ここまで読んでもらった内容を軸にこの方法論でひたすら訓練しまくれば嫌でも板読み技術は向上します。
もちろんその対価として、時間とエネルギーの先行投資は必須ですが。
初心者の方であれば1~2週間も続けられればかなり"板の見え方"が変わってくるはずです。
こちらも過去に非常に反響のあったツイートを引用をします。
多分この方法論は、この先もそうそう変わることはない本質的なものになっているのではないかなと。
以上で、「1部完結型・"板読み技術超超基礎"総集編」は終了です。
内容良かったよ、という方はツイッターの方でいいねなど反応頂けると励みになります。
私のデイトレ軸手法は「寄り付き前板読み」⇨~10時までの短期デイトレです。相場にいた日は毎回以下の板読み振り返り検証noteで内容をまとめて振り返りをしていますので、ご興味がある方は合わせてチェックしてみて下さい。
また、以下の"寄り付き前板読み"に関する理論に関しての総まとめコンテンツである、「寄り付き前板読み総集編_ABC」をまとめた"板読み理論シリーズ"では1~2段階レベルは上がりますが、より実践的・応用的な内容をまとめています。
こちらは手法優位性保護の観点から有料クローズド処理をしておりますが、(前回はtwitterフォロワー1,000名突破時に期間限定で無料公開しましたので)
次回はnoteフォロワー1,000名突破のタイミングで期間限定で無料公開しようと思っています。
ご興味ある方は、noteの方のフォローも頂けると幸いです
こちらも。
最後に
私の手法や考え方は、"継続的な努力"を大前提とした泥臭く、地味な内容しかないです。簡単に勝てる方法とか、儲かる銘柄を教える。とかは一切していませんし、今後もやるつもりは一切ありません。
ただ、実際「板読み」技術は簡単には身につけられない分、身につけていくとやっぱり優位性がありますし、今後時間軸・ロットを伸ばしていっても一生使える技術だと確信しています。
SNSは誘惑が多いというか、射倖心を煽る装置のようなものです。
釣られてしまいそうになる気持ちはわかりますが、
「株で資産を作りたい。」と考えているならば目の前の人参に踊らされずに愚直な努力を積み上げていくのが結局近道だと思います。
初心者のうちは特に、「成果(収支)」より「成長」のマインドが重要です。
このような駄文、長文を最後まで読んで頂きありがとうございました。
では。
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