南の歌 - ジョルジョ・デ・キリコ
なぜか無性に惹かれてしまうものについて考えてみると、3つの共通点に整理することができた。
愛を感じてしまうもの(愛着)
良くも悪くも始まりを予感できるもの(興味関心)
自分に重なってしまうもの(自尊心)
おそらくこれが自分のあらゆる物事においての価値基準になっている。
ジョルジュ・デ・キリコの南の歌は、1番に従って惹かれてしまった作品。
顔を持たずとも互いを認識できる。
ギターを愛するもののために奏でる。
パートナーの前でキザであり続けながらも、縮尺の歪んだ足は、まるで子どものようでおぼつかない。
そこまでを見透かしてそばに寄り添う女性。
見透かしてくれるとわかって体を委ねる男性。
その心は太陽に照らされた南の国のように、明るく朗らかで穏やかな気持ちに満たされている。
沢山の面白い作品の中で一貫して描かれる作者独特の歪み。
愛とは歪んでいるほど生々しくて美しいと私は思ってしまう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?