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人口動態統計の統計的異常 その2(追記)

いしい先生の多大なる影響力で,人口動態統計を多くの方にご参照いただきありがとうございます。
その統計処理について,説明不足のため理解が難しい点もありましたので説明を追加いたします。

厚労省の人口動態統計速報(~2021年5月)から過去10年間の平均(Av)と標準偏差(σ)を出し,2020年及び2021年と比較しました。

厚労省の人口動態統計速報
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2021/05.html

その結果わかった事実(図表をご参照ください。)
③-2020年は,年間でAvより1万人弱(σの21%)死者数が減少=正常な変動の範囲
④-2021年は,1~5月すべてでAvより死者数が増加。
⑤-増加は1月1.6σ,2月0.8σ,3月2σ,4月3.2σ,5月3.9σ
(統計学的には2σが95%,3σが99.7%の信頼性を示す。)

以上から,2021年3月から2σを超え異常なほど死者数が増えていることになります。特に,5月は3.9σです。4σで信頼性99.97%ですので,発生率は,ほぼ1万年に3回となり,平時ではまず起こり得ない現象と言えます。

また,「未曾有のこびど19が影響しているためだ!」というありがたいご指摘もありますので,こびど19の死者数⑥を差し引いてみると
⑧-2021年の死者の増加は,3月1.7σ,4月2.8σ,5月3.1σ
となり,こびど19の影響を除いても4月は2σ超(100年に5回),5月は3σ超(1000年に3回)の異常事態です。

超過死者数が増えているというだけでは,実感しにくいかもしれませんが,統計的に比較するとその異常さがご理解いただけるのではないでしょうか。
当然,厚労省内部では,このような分析がされているはずですが,原因や対策は聞こえてきませんね。

今月末に6月の人口動態統計速報が公表されます。
なお,ここで紹介したデータには,私見は一切含んでいません。事実(公式発表データ)を一般的統計手法で処理したものであり,誰がやっても同じ結果になります。

2021.08.27追記
上記データ⑧では,こびど19が危険な感染症であると主張する方々が納得できるようこびど19の死者数を差し引いた計算結果も示していますが,人口動態の意味からいえば,こびど19死者数を含めた⑤が重要です。
そもそも,本当にこびど19が原因で亡くなった方はごく一部ですし。

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