医薬品等行政評価・監視委員会

先日,「良識ある有識者は居ないのか」というコメントを書いた後で,厚労省の委員会で重要な提言をされていた方のことを思い出しました。すっかり忘れていて情けない😢

厚労省が実施する審議会・研究会の中に「医薬品等行政評価・監視委員会」というものがあります。
①個別医薬品等の安全性の確認状況、②全般(薬事制度等)について、確認、評価を行う。
①個別医薬品の安全性及び②全般(制度)の確認・評価の結果を踏まえ、必要に応じて厚生労働大臣への意見・勧告を行う。
という趣旨の委員会で,そこで委員長代理を務めておられる東京理科大学薬学部准教授の佐藤嗣道氏は,この委員会において度々重要な発言,いわゆる鋭い突っ込みをされています。(佐藤氏のご経歴は良く存じませんが,雑誌を見ても科学者としてきちんと判断されている方と思います)

下に示したのが,令和3年6月28日に開催された第4回の委員会に佐藤氏が資料として提出した資料です。

第4回医薬品等行政評価・監視委員会 佐藤資料

1) Vちんのリスクとベネフィットをどう考えるか?
2) 死亡リスクの低い小児,若年者に対する許容リスクは?
3) ロットによる死亡リスクの違いの要因は何か?
4) 他のVちんに比べ高いアナフィラキシー頻度への安全対策は?
5) 他のVちんとの副反応比較
6) 添加剤の健康影響の可能性
という厚労省が避けたい内容が6月28日の会議で議題として取り上げられ,各質問に対し厚労官僚が答えています。議事録も公開されており,質問票に対しどのように厚労省が回答したのか。
この議事録は他の議題も含め4万字を超えるもの(よくあることです)で,全部は紹介しきれませんが,1)に関する重要な個所を抜粋します。

○佐藤委員
私の質問は、まず死亡例ですね。
(中略)
厚労省の資料では277例について頻度を求めていますけれども、100万人接種当たりですと16.2件ですね。こちらで計算しても、もし仮に1億人が接種すると単純計算で1,620人が死亡することになります。接種してしばらくたってから亡くなられた例というのは、まだこれから遅れて報告がされてくるということがあり得ますし、ここでは医療機関から因果関係が一応疑われて報告されたものが多いと思いますので、医療機関から報告されなかった死亡例というのも恐らくたくさんあって、それらのうちには実際に因果関係があるものも恐らく含まれているだろうということを考えると、実際はこの頻度よりも高い頻度でワクチンの接種による死亡が起きている可能性も考えられるというように私は思います。もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないかと思います。一般的にこのような副作用報告、副反応報告というのは実際に生じた事例の一部しか報告されないというのが常ですので、実際に旭川医大のように医療機関は報告しないと判断したけれども、遺族からの依頼によって報告がされたという例も報道されていますので、そういう例は恐らく全国の至るところにあるのではないかと思います。
そういうことも考えると、一応100万人接種当たり16.2件ということが仮にワクチン接種による死亡だと仮定した場合に、そのような死亡のリスクというのはベネフィットに照らして許容し得るのかということについてお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口予防接種室ワクチン対策専門官
潜在的にさらなる死亡例があるといったような可能性がある一方で、副反応疑い報告制度自体が、まず医療機関の方等が副反応を少しでも疑った場合に広く御報告いただいているといったようなシステムでございます。このため、報告医の先生も実際には因果関係が疑われないといったような場合も含め報告が上がってきているといった状況でございます。
こうした背景を踏まえまして、先生からいただいた御質問の内容に関しましては、現在、接種後の死亡と報告されている事例の多くがワクチンの接種との因果関係があることを前提ということで御質問いただいているかなというように認識したしておりますけれども、現時点においては報告されている死亡事例についてはワクチンとの因果関係から否定できないと専門家に評価されたものはなく御質問の前提として若干ずれているところもあるのかもしれないというように認識しています。
また、一方で、先生御指摘のとおり、潜在的にそういった死亡事例というのが広がっている可能性等も当然審議会の委員も認識しておりまして、そういった総合的な状況を踏まえまして、副反応合同部会におきまして死亡例の報告状況を含め最新の状況に基づいて御審議をいただいております。直近の合同部会におきましても、現時点においてワクチンの接種体制に直ちに影響を与えるほどの重大な懸念は認められず、引き続き情報収集するとともに、新型コロナワクチンの接種を継続していくことということでお諮りしお認めいただいたというように承知しております。
○佐藤委員
すみません、それでは、回答になっていません。端的にお答えください。100万人接種当たり16.2件の死亡が仮に真実だったときにこのリスクは許容できるのか、できないのかをお答えください。
○林予防接種室長
その仮定というのが、もしそうであった場合にというところの確からしさということをしっかりと考えた上でお答えしないといけないとは思っております。ずっとこの副反応部会が始まるとき、この新型コロナワクチンについて議論が始まるときから議論していることなのですけれども、たくさんの方に接種をさせていただきますと偶発的にその日、その翌日、その翌々日、亡くなる方の数というのは相当無視できない数になるということが接種の始まる前から議論されてまいりました。そういったことから考えて、これまで議論してきている中では、それら全てが新型コロナワクチンの接種による死亡であるというような仮定を置いて議論するということはなかなか難しい状況ではないかというように思います。
○佐藤委員
そういうことをおっしゃるのなら、なおさら日本薬剤学会が提言した個別の因果関係を問わない接種者と非接種者を比べたときの死亡リスクを比較する体制をきちんと取るべきなのですよね。そのことを疫学的な評価をしない限り、この問題はきちんとした評価ができないわけです。そのことを前回の委員会でやるおつもりがあるのか、あるいはやれる体制があるのかということをお聞きしたのですが明確な回答はなかったと記憶しております。やりたいけれども、なかなかもにょもにょという回答に終始したかと思うのですが、その後、その死亡例を含む有害事象の頻度の比較をするような体制というのをつくることに関する進捗状況について教えてください
○林予防接種室長
私ども予防接種室として、これはコロナワクチンが始まる以前から非常に重要なことだと思っています。
(中略)
NDBの集計というのはどうしてもタイムリーにできるかというと、技術的にもそういったことが可能になっていなかったわけでございますけれども、非常に今回御登録いただいて迅速に集計を行って評価もさせていただいて、平素の疾病の発生頻度を併せて評価をするというような取組をさせていただきました。こうした取組をどこまでできるか一生懸命広げていくことで、佐藤委員のおっしゃるところに、できるところからできるだけ早く一歩でも近づきたいというように考えているところです。
○佐藤委員
私としましては、現時点でやはり100万人接種当たり16.2件の死亡が起きている可能性が否定できないというように思うのですね。ですので、そういう点から考えると、これは重大な懸念に当たると思います。ですので、私はこの委員会として何らかの提言なり意見をまとめて厚生労働大臣に提出すべきでないかというように思います。
理由は幾つかあるのですけれども、死亡の問題だけではないですね。アナフィラキシーについてもアナフィラキシーの定義というのがあるわけですけれども、それにしても比較的重大なアレルギー症状ということで医療機関から報告が上がっているわけで、それをアナフィラキシーの定義に当てはめるかどうかということは別にして、そういうこともかなりほかのワクチンに比べれば相当10倍ぐらい高い頻度で報告が上がっているわけですよね。そういうことを考えると、このまま放置していいということにはならないのではないかと思います。
すみません、いろいろたくさんありますので、一旦ここで意見を終わります。
○磯部委員長
決して放置していいとは誰も思っていないだろうと思いますので、御指摘も踏まえて今後も分析を続けていただくということに尽きるのではないかと思います。


1)のリスクとベネフィットに関することだけで,このようなやり取りがなされていました。
如何に役人が質問のポイントをずらし問題を挿げ替えて言い訳しているかがよくわかるやり取りで,佐藤氏も果敢に突っ込んでいましたが,これ以上話してもらちが明かないと締めたようです。
私も,文科省,経産省,あるいは自治体の委員会で,丁寧な口調ですが自分たちの意見は頑として変えず「今後の課題として・・・」「検討してまいりたい」などの彼らのやり口を嫌と言うほど見てきたので,この委員会の状況が目に浮かびます。

この後,他の委員や役人の発言も含め突っ込む委員と逃げる役人のやり取りが
・個別の事例だけ見ても因果関係の評価は難しい
・心筋炎については若い方の接種が始まっておりますので、適切な情報提供してまいりたい

という具合に続き,結局,どの質問も具体的回答が得られないものばかりで,委員会の趣旨の「厚生労働大臣への意見・勧告」がどのような形で行われているか,しっかり見ていく必要があります。
ご興味ある方は議事録全文をご覧になってみてください。ただし,4万字ですからかなり気合が要ります。

なお,「医薬品等行政評価・監視委員会」は3カ月ごとに開催されるので,先日9月16日に第5回が開催されました。

ここでも佐藤氏から検討すべき課題として

1.新型コロナワクチンの安全性に関する評価 方法 について
2.薬害肝炎検証委員会の「最終提言」に対する進捗と成果の確認
3.個別の副作用報告制度の“現代的”更新個別の副作用報告制度の“現代的”更新
4.目的に整合した医薬品医薬品安全性監視活動安全性監視活動への移行への移行
5.リスクコミュニケーションにおける “誠実”と科学性
6.薬剤疫学専門家の育成とアカデミアの活用
7.PMDAの組織形態および業務のあり方に関する疑問

の7項目の重要な提言がなされています。第5回委員会の議事録はまだアップされていませんが,公開された際にはこの7項目と照らし合わせてご紹介したいと思います。(前回は委員会後1カ月以内に公開されたと思うのですが)

厚労省の公開している資料には,彼らが隠したいけど出さないわけにはいかない資料やデータが大量にあります。誰も読まないのだろうと高を括っているのでしょうが,多くの人がその真実を知って声を上げればいずれ無視できなくなり,陰謀論と笑い飛ばす人達も厚労省が発表している事実なので認めざるを得なくなりますし,厚労省側がこの議事録のように柳に風でいなせなくなる日がくることを期待しています。
これからも少しずつですが,発掘作業を続けていきます。彼らの暴挙を多くの方に認識してもらえれば,世界は変わっていくものと思います。

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