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ずっとずっとこの幸せが続きますように



A.B.C-Zにとって初めてのフェス出演は青天の霹靂だった。

世情を鑑みても、塚田くんの復帰ステージがいきなりそういう現場になることも、正直不安がなかったわけじゃない。それでも思ったより早く塚田くんにおかえりを言える場ができたことが本当に嬉しかった。

「僕に考える時間をください」と言った塚田くんがその熟慮の末にA.B.C-Zに戻るという決断を下してくれたことは、日々足元が崩れ立ち上がることもできないような苦しみと混乱が押し寄せる私たちにとって救いとしかいいようのない光だった。5人が5人に戻れるのならまたどんなことも一緒に超えていける

そう思っていた矢先だった。

フェス出演を2日後に控えた木曜日、15時を回る少し前。A.B.C-ZのFC会員に一通のメールが届いた。

仕事をしながら「ファンクラブ会員の皆さまへご報告」という通知が見えて一瞬時が止まった。なんとなく、良い報告ではないだろうなと思った。

塚田くんにまた何かあったのか?
誰か結婚でもするの?

一人になれるタイミングを見計らってメールを開きURLをタップする。

何が書いてあるのか理解できなかった。

一番上に事務所の報告文を載せないクソUIのせいでもあったんだけど、下から順に読み返しても全く理解できなくて目の前が真っ暗になった。ついさっきまで正常に脈を打っていた心臓が握り潰されるみたいに痛くなって、いつの間にか涙が流れていて、立ち上がることができなくなってしまった。動画の再生ボタンはとてもじゃないけどタップできなかった。

自分の身に降りかかるなんて爪の先ほども思ったことがなかった絶望。とめどなく頭に溢れる疑問。あまりにも無力な自分に対する悔しさ。やり場のない怒り。

よりによって河合くんが。
どうして。
もっとCDを買えばよかったのかな。
もっと番組タグで呟けばよかったのかな。
もっとYouTubeを回せばよかったのかな。
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい


河合くんが誰より頑張ってたこと、ずっと知ってた。

コンサートでMCを回してくれるのもペンラ芸の合図を出してくれるのもえび座のメドレーを考えてくれるのも毎日のようにテレビに出て大活躍してくれるのも、全部全部河合くんだった。いつもA.B.C-Zの先陣を切ってえび担のことを大事にしておよめさんと愛し合ってるスーパーマンみたいな河合くんを尊敬してた。

裏切り者って吐き捨てて軽蔑できたらどれだけ楽だったろう。河合くんは謙遜してたけど、A.B.C-Zのリーダーは絶対的に河合郁人だったんだよ。貴方の引っ張るA.B.C-Zが大好きだったんだよ

いつかドームでも手動のペンラ芸やりたいね、広いから時差があるだろうねってみんなで笑ってた日々は、あの夢は、もう帰ってこないのかな。

ドームも大事な夢だけど、5人が5人でいてくれたら何もいらなかった。貴方が絶対手放せないようなファンになれなくてごめんなさいという想いが今も消せずにいる。

それからは混乱して物事を全部悪い方に考えて、塚田くんの休養とか、戸塚くんと五関くんが大阪で部屋飲みしたこととか、なんか勝手に答え合わせかなあと思っちゃったりして。4人は昨年末から、河合くんは多分もっとずっと前から、ファンの前でそんなこと微塵も見せずに活動してきてくれたんだな。戸塚くんは大親友と袂を分かつシーンを、五関くんは自らの手で物語を終わらせて一人残されるシーンを、どんな気持ちで毎日演じていたんだろう。あまりの無力感に消えて無くなりたくなった。

Twitterに溢れる悲しみや怒りや絶望を眺めながら、いつもなら息をするように自分もそこに加わるのに、指を動かすことができなかった。何を言っても誰かを傷付ける気がして、虚しさが募るだけな気がして、言葉を紡げなかった。

金曜日、当然眠れなかったのに明け方に目が覚めて、今年も帝劇でABC座をやらせてもらえることを知った。きっと今のあれこれで多大な迷惑を掛けているだろうに、塚田くんの復帰PVのような感動的な映像を作ってくれた東宝さんに感謝の気持ちが溢れてまた泣いた。千秋楽の日付は予想通り河合くんが脱退するその日だった。やっぱり仕事はロクにできなかったけどなんとか帰宅して、五関くんの出たラジオを聴いてようやく少しだけ癒された。

ただでさえ塚田くんの復帰という大イベントをぶつけたのに河合くんがA.B.C-Zとしてライブ形式でパフォーマンスする最後の機会まで重なってしまい、参加する他のユニットやそのファンの方たちにとにかく申し訳なくて、フェスの準備は気が重かった。数日前までワクワクしながらペンライトを選んでいたのに、どうしてこうなってしまったんだろう。

自分の気持ちの置き場が分からないまま当日はやってきた。

初めての会場、はじめましてのユニットとファンのみなさん。友達と合流してとりあえず御来場の記念にラババンを買って河原で佇むなどしてから入場する。

とにかく内輪の感情で他のユニットに迷惑を掛けることだけはしたくなかったので頑張って盛り上げようと思っていたけど、頑張る必要なんてないくらいそれぞれに可愛かったりかっこよかったり歌が上手かったりキャラが立っていたり楽曲がよかったり、他事務所のボーイズグループをこんなに立て続けに見ることもこれまでなかったのでとても楽しかった。でも本命であるA.B.C-Zを目の前にした自分がどんな感情になるのか分からなくて頭の片隅の恐怖がずっと拭えなかった。

(ちなみに楽曲の予習時点ではカッコいい曲だなと思って再生画面を見るとSUPER★DRAGONさんであることが多かった。OCTPATHさんはなんとなく予算の潤沢さを感じる曲が多いなと思ってたら吉本所属と知ってめちゃくちゃ膝を打った。各種動画も少しずつ見たけどワンエンさんがすごく力入ってたな)

残り二組。
おそらくトリはヘッドライナーを務める超特急さんだ。

A.B.C-Zのフェスデビュー。
塚田くんの復帰。
A.B.C-Zとしての河合くんの最後のライブ。
その瞬間がやってくる。

モニターに5人組のシルエットが映る。聴き慣れたざえびのイントロ。ステージに立ったA.B.C-Zは、黄色を基調とした見たことのない衣装を纏っていた。塚田くんの色だ。やっぱりまずは塚田くんに帰ってきてくれてありがとうの気持ちが溢れる。

そして最後の5starポーズ。歓声で称えられる機会はこれが最後だ。そう思ったら急に寂しさが襲ってきて、頭が真っ白になる。ずっとずっとこれが支えだった。帰る場所だった。それぞれ星の様に煌めくことのできる5人が一つの大きな星を形作るのが本当に好きだった。私にとってはどちらかというとヒーローの決めポーズのようですらあった。

続く頑張れ、友よ!はもともと名曲だと思っていたけど今のあらゆる状況に否が応でも響いてしまう。久々に辛さの後を追いかける喜びも見られて嬉しかった。

3曲目はまさかのSummer上々‼でなんかもう笑ってしまった。夏曲やるには遅すぎるし、河合くん振付だったから捻じ込んだんじゃないかと邪推したくなる。もちろん最高に楽しいのでやってくれたのは嬉しい。

…と、ここで信じられないことが起こる。

「僕連続バク転やるので!みんなで回数数えてください!超特急のファンの皆さん、体力温存したいよね!わかる!!ここまでのグループのファンのみなさん、疲れてるよね!わかる!!でも!一緒に!数えてください!!」

この人何言ってるの???
今日復帰したんだよね??????
えびコンですら久しく見ていない連続バク転をここで??

結果は圧巻の連続20回。A.B.C-Zを初めて見た人の感想でもここで度肝を抜かれた人が多かったらしい。そりゃそうだよねえび担もビビり倒しました。よそのお客さんを巻き込むのはえびらぶとかやるのかなって思ってたんだけど、まさかこれで来るとはね…数ならみんな数えられるし。やった塚ちゃんももちろんすごいしこれを任せた4人もすごい。これが信頼か。

「ちょっと曲がっちゃったね…」などとストイックな感想を述べる大天使の塚田僚一さん。と、息つく間もなく聴こえてきたのは代表曲Vanillaのイントロ。大地が揺れるような大歓声が耳をつんざく。しかもこれ、いつかのコンサートだか舞台でやったシルエットversionだ!!!顔を覚えてもらうとか名前を覚えてもらうとかじゃなく、この子たちはパフォーマンスにこそ誇りを持っている。そんな彼らだから私も好きになったんだったなあ。

会場全体が引き込まれた空気をビシビシ感じていると、畳み掛けるように流れる大名曲Black Sugar。これはもう完全に大勝利の流れである。5人が有機的に絡み合うような振付も大好きで大好きで、だからこそやっぱりこれが最後だと頭に過ってしまう。こんなにも大事なものを手放すのに2日という時間は短すぎる。

続いてはちょっと意外なDAN DAN Dance!だった。さっきまでワルい顔してたのに急に一緒に踊りましょう感出してくる。結局それどころじゃなかったけど本当はみんな誘ってフェスの前にジョイポリスに行きたかったことを思い出した。大事な場所も愛おしい思い出も5人から抱えきれないくらい貰ったね。

続いてはテレワン…と思いきや、出ましたFRとのマッシュアップ。大好きじゃん。最高か。確かにこれは武器かもって納得したしいつもそんな贅沢なものを当たり前に見せてもらってたんだなと実感した。

Reboot!!!が掛かる頃にはもう何も考えられなくて、ただただ目の前で繰り広げられるパフォーマンスに身を委ねる。いつもライブ後半に訪れる大好きな瞬間。今日はアウェーの筈だったのに、5人が完全に空間を支配している。

そのまま最速ギアで突入したのはFORTUNE、塚田くんがアンケートを取った挙句やらないと思うなどと言っていたあのFORTUNEである。やるんだ????まあ圧倒的に最高だから許す…と思いつつめちゃくちゃにブチ上がってからのアウトロ、そのまま橋本くんの「A.B.C-Zでした!」の残響だけを残して5人は風のように去っていった。振り返らず。

しばらく放心して着席したあと、隣の友達に真顔で「えびだけ時間短かったよね?」と確認したけど規定の時間は経っていたらしい。MCも入れず曲中の自己紹介(橋本くんは名前すら言ってなかった)だけで踊り倒したというとんでもない事態が起きていたことをすぐには理解できなかった。

Zephyrコンのラストは痺れるほどカッコよくて大好きだったからそれに近いものがもう一度見られたことはとても嬉しかったけれど、事態の進んだ今行われるリプライズはやっぱりとっても寂しくて。置いていかないでと縋る暇さえ与えてもらえなかった。不満なんじゃなくて、今も愛しているからこそただただ寂しい。

全体通して何がしんどかったって、五関くんの表情にはクるものがあった。今回はあまり双眼鏡を使ってる暇がなかったんだけど、モニターに抜かれた五関くんの顔が見たことないような表情に見えて。うまく説明できないんだけどいつもあれだけ余裕で何事もこなす人がちょっと歯を食いしばっているようなイメージ。あと見落としてるだけかもしれないけどいつもなら河合くんと絡むところで全然絡んでないような気がした。すべてこっちの気の持ちようかもしれないけど。

そして特筆すべきは橋本良亮さんのとんでもねえオーラなんですけど、ビジュアルが過去一仕上がってるのに歌もダンスも最高で、何より感じたことのないほどのなんか獅子みたいな気迫を纏ってて。私たちの可愛い可愛い末っ子がステージで孤高の王になるところを目撃してしまったみたいで物凄く圧倒された。10年越しにまた赤い服で現場行くようになってたら笑って。

これが最後なんて認めたくないのは変わらないし未だに結論なんか出ないし、アイドルグループにおいて一番大事なのはバランス派の自分がA.B.C-Zという存在とどう向き合うか、4人になった彼らを情だけでなく支持することができるのか、何もかも分からないことだらけでポジティブなまとめにできなくてここまで読んでいただいたみなさんには申し訳ないんですが、やっぱり私には5人のA.B.C-Zが最強のアイドルであることしか分かりません。

フェスから帰ってきて朝8時まで夜通しこれ書いてるおたくに言われたくないと思うけどとりあえずみんなもたくさん寝て情緒を安定化させていこうな。5人にもえび担にももう誰にも無理してほしくない。とにかく生き抜こう。

兎にも角にもこのような機会を用意してくださったSTARLIGHT TOKYOさんとこんなご時世に共演してくださったみなさん、温かい言葉をくださった他担のみなさん本当にありがとうございました。よかったらまた呼んでください。






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