すげー文章って何だ

文章はきれいに書いてきた。別にそれが間違っているとか言いたいわけじゃなくて、でもいつも心動かされる文章って、杓子定規に美麗字句をパカパカはめ込んだ、はい化粧箱に小ぎれいにお並べいたしましたよ?みたいな感じだったことって全然ないんじゃないかと思う。少なくとも記憶にはない。

すげー文章に出会って、はっとすることがある。そういう文章はだいたいバチボコに熱くて、真夏にうっかり車のボンネットにベッタリ手を置いちゃった時みたいなビリビリした鋭い熱を感じて顔をしかめちゃうんだけど、でもそれは確かに素晴らしくて、何度も触りたくなるんだよね、火傷すんのに。

そういう文章って化粧箱に入ってるなんてとんでもなくて、出来たてホヤホヤアツアツをオーブンから取り出して、何ならまだ全然発酵してないけど生地のままバーン投げつけられてるぐらいの熱量があるというか、きれいに箱に入ってるものには絶対出せない、そのまま頬張ったら感動で涙が出ちゃうような、なんかわかんないけどすげーもん食ってんな俺、みたいな衝撃を受けることがあるんだよね。すげーんだよそういう文章って。

今、自分がやってる仕事はきれいな言葉をしゃべることが是とされてると思うし、まあアナウンサーが「今日の天気は晴れるからマジ卍だけど気温が35度超えるとかぴえんこえてぱおん」とか言ってたらブラウン管叩き割るだろうしむしろまだブラウン管のテレビ見てるんだったら逆に叩き割ったほうがいい。4Kでも40Kでもいいからなんかいいテレビ買おう。テレビは買ってくれ。テレビイラネとか言わずに買ってくれ。俺の仕事なくなるんだマジで。スマホでYouTube見てもいいからテレビも買ってくれ。

で、じゃあ自分がしゃべった番組聴いて、よどみないような感じだけど、なんか物足りないというか、そこそこのクオリティの有機栽培の野菜使って、まあまあいい感じに料理されてるけどなんか味が整いすぎてるというか、よく食べる味というか、うんうん、塩も醤油もちょうどいいよね。はいごちそうさまみたいな。いや、それはそれでいいんだろうけど、ちゃんとお金も払ってもらえるだろうしさ。

でもさ、そういう料理出したいんじゃないんだよね。「これだよこれこれ!」ってニコニコしながら食べてもらってさ、帰りがけに「美味しかったありがとう」って言われるようなシェフの一皿を作りたいわけ。なんかあの味が忘れられないんだよね、って後で思い出しちゃうようなさ。バルサミコとローリエとクミンとあとなんだ、おしゃれな調味料の名前とか知らんけど、そういうのドバドバ入れて見た目とか虹色にしてインスタ映え最強みたいなごめん途中から嘘入った。虹色は違う。

でもすぐにそんな文章作れるようになったら天才だし、自分はお世辞にも天才に入るような部類の人間じゃないから、地道に走り込みからやってくしかないわけだけど、もうなんだかんだ28になっちゃったわけだし、もっともっと前から走り込みやってる人には到底追いつけるわけないんだよね。だから走り込みしながらダンベル持ち上げながら同時に食事も摂るぐらいの頑張り方しないともう厳しくて、でもそんなやり方したらバテるどころか2日目ぐらいで体壊すよね。は~困った。

でも訓練するしかないからさ、自分ももっと生煮えの野菜出していこうとか、味付けをドラスティックに変えていくとか、ジビエ食材仕入れてみようとか、とにかく思い切りよくやっていこうと思うわけです。自分の常識内で変えるだけじゃもうレシピは増えない。終盤で飛車を可愛がっちゃだめで、大事なところでズバッと切って切り込んでいかなきゃ詰みはないから。あ、藤井聡太さん二冠獲得おめでとうございます。感動した。

えっと、結局結論はどうすればいいんだ?生煮えの野菜咥えながら走り込んで王手?いずれにせよテレビは絶対買ってくれよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?