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サムライねぎってなあに?&茅葺屋根を守りたい。(第三回フィールドワーク)

中村謙吾です。
里山BOOST-UPプロジェクト、第三回フィールドワークを行いました。

credit:いらすとや

サムライねぎ。

皆さんは聞いたことがあるでしょうか。
なんだか格好良い名前ですよね。
一体どんなねぎなのでしょうか。

今回はそんなサムライねぎを育てている志和の”ねぎらいふぁーむ”さんにお邪魔しました。

ビニールハウスで八幡原さんの話を聞く様子

まず、ねぎらいふぁーむを経営されている八幡原さんにお話をお伺いました。

元々京都でねぎ栽培の修行をされていた八幡原さん。
出身が広島ということもあり、将来的に広島でねぎ栽培をしたいと考えました。京都では(京野菜ブランドもあり、)多くのねぎ農家さんがいらっしゃいますが、広島では多くないため、需要が見込めます。そんな広島でパイオニアになりたい、一刻も早く農業をスタートしたいと思い、本来は5,6年かかる修行を「1年で叩き込んでほしい」とねぎ栽培の師匠に申し出ました。その結果、20代前半にしてねぎ栽培を広島でスタートさせました。



栽培地として選んだのは、京都の盆地に似ている東広島市志和町。盆地特有の寒暖差でねぎにストレスをかけることで甘くなるそうです。
初めて訪れた志和町でねぎ栽培を始めましたが、そこには大きな苦労もあったそうです。

まずは、畑の借用です。いきなり畑を貸してほしいと言っても、町の人は「誰か分からない人には貸せない」と言われ、借りることができませんでした。そこで八幡原さんは諦めることなく、町の人と関係を築き、一年半かけてようやく借りることができました。

次に、金銭面でのサポートの少なさです。広島県は工業を推進しているため、農業へのサポートが少ないそうです。それを補うため、日中はねぎ栽培を行い、夜には寝る間も惜しんでアルバイトをしていました。

その結果が実を結び、現在では多くの飲食店、スーパーなどで提供されています。飲食店にサムライねぎを持ち寄ったとき、
「刀のようにしっかりと伸び、シャキシャキと食べ応えがある」
と言われたことから、サムライねぎと名付けたそうです。


そんなサムライねぎを私たちにご馳走していただきました。
ネギにはアリシンという成分が含まれており、がん予防などに効果があるようです。そのようなねぎを多くの人に食べてほしい、というのが八幡原さんの想いです。その想いを感じながらいただきました。
調理は、火を通さずに、味付けのみです。
シャキシャキとした食感を感じられ、生で食べてもとても美味しかったです。何度も食べたくなるような味でした。


今までされてこなかったことを、先駆者として達成する。
これの結果の裏には多くの苦労、努力があったはずです。
そんな侍のような精神で努力されてきた八幡原さんの想いがこもったねぎ、それがサムライねぎだったのです。

サムライねぎは東広島、広島市のスーパーや道の駅でも購入できるそうですので、気になる方は是非購入をご検討ください。



茅葺き屋根

ほたる荘の素敵な茅葺屋根

次に、志和にある茅葺(かやぶき)屋根の古民家「ほたる荘」にお邪魔しました。とても素敵な屋根で、伝統や歴史を感じることができました。

志和には現在6軒の茅葺屋根の古民家が残っており、ほたる荘はそのうちの一つです。20年前は20軒残っていたそうなのですが、その数は年々減り続けています。そんな茅葺屋根を守ろうと、保全活動として”志和堀かやぶきプロジェクト”を実行している「縁もゆかりも」さんにお話をお伺いしました。


縁もゆかりもさんのお話を伺う様子

茅葺屋根とは、茅(かや)と呼ばれる材料(ススキやヨシ、藁など)を使って葺く(覆う)屋根のことです。

茅葺屋根の民家が減っている理由として、維持の大変さが挙げられます。
補修の難しさや職人さん不足、葺き替えにかかる高額な費用など多くの問題を抱えています。

それらの問題解決のため、縁もゆかりもの皆さんはクラウドファンディングでの資金を収集を行ったり、茅を志和で集め、廃校になった学校の体育館に保管させてもらうなど地域の協力も得たりしながら、保全に努めています。

お話の中で印象に残った言葉が、
「一つの地域でできなくても、地域の輪を広げれば、新しい形としてできるようになるかもしれない。」
です。

伝統や歴史を、後世に残すことは大切です。
一方で、時代の変化と共に、社会や生活のあり方は変化していきます。
そしてその変化は、伝統や歴史の保全にとって逆風となることが多いです。
しかし、その中でどのように引き継いで後世に残すか、それを考え試行錯誤するプロセスが重要であり、それが伝統や歴史の一部となっていく、と私は考えます。
そして、それは様々な人と一緒に行動を起こすことで、多種多様なアイデアによりより良いものとなっていくでしょう。

縁もゆかりもの皆さんは、多くの人の協力を仰ぎ、保全を続けています。
実際に、「みんなでつくる中国山地」さんとのコラボも実施し、中国地方に活動領域を拡大し、参加者を広げる活動も行っています。
また、クラウドファンディングでは1,200,000円の支援を達成しています。

大変であるということは分かりつつ、それでも茅葺屋根を守りたい。
そういった想いを持つ人がたくさんいて、それが結果に表れていると感じました。これからも、縁もゆかりもさんの活動をが実を結ぶことを願っています。

最後に、縁もゆかりもの皆さんに教わりながら茅でほうきを作りました。
作るのは難しかったですが、自分で作ったこともあり、愛着が湧いています。
実際に使ってみても使いやすく、趣があってとても気に入っています。



今回のレポートは以上です。
次回もお楽しみに!

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