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昔の九九は九の段が先だった

三井 小学校で九九を習うとき、まずは二の段から覚え始めるよね。
住友 そうだね。二二が四、二三が六から始める。
三井 でも昔は違ったんだ。
住友 昔っていつ?
三井 明治時代。
住友 どう違うの?
三井 九の段から始めたそうだよ。
住友 そうなの?
三井 九の段が一番覚えやすいんだ。
住友 なぜ?
三井 九九八十一しかないから。
住友 えっ、一つだけ?
三井 そう。
住友 九八七十二はどこにいったの?
三井 それは八の段に出てくるから要らないんだ。
住友 九七六十三は?
三井 それは七の段に出てくる。
住友 つまり、九九八十一以外は他の段と重なるから覚えなくていいってこと?
三井 そういうこと。
住友 じゃあ、八の段は、八九七十二と八八六十四だけ?
三井 そう。二つだけ。
住友 楽でいいね。
三井 逆に二の段が一番たいへんなんだ。
住友 二二が四から二九十八まで全部覚えなくちゃいけないからね。
三井 昔の九九はとても合理的だったんだ。
住友 じゃあ、どうして今は重複するかけ算も覚えるの?
三井 単に暗記するだけでなく、かけ算の意味を学習するためじゃないかな。
住友 というと?
三井 たとえば、2本足のツル4羽と、4本足のカメ2匹では、足の数は同じでも計算の意味が違う。それを児童にしっかり理解してもらうことが、教育の目的なんだ。
住友 なるほど、8本足のクモ25匹と100本足のムカデ2匹では違うんだね。
三井 ムカデの足は100本もないでしょ。
住友 でも、漢字で「百足」って書くよ。
三井 そうだけど、実際はもっと少ないでしょ。
住友 数えたことあるの?
三井 ないよ。
住友 ところで、かけ算の意味を理解することも大事だけど、丸暗記も必要じゃない?
三井 そうだね。ときには理屈抜きでひたすら覚える勉強も必要だ。
住友 昔の九九は覚えやすくするための工夫だったんだね。
三井 今と違って、昔は義務教育の就学年数が少ないから。
住友 効率のよい暗記方法を重んじていたんだね。
三井 現代でも効率のよい暗記方法は大事だよ。
住友 語呂合わせのような?
三井 そう。
住友 化学の「水平リーベ」や古文の「ひいきにみいる」は定番だね。
三井 上手に活用してしっかり暗記してほしい。
住友 受験生の皆さん、頑張ってください。
三井 頑張ってください。


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