怖がり親父

画像1 村の片隅に住む怖がり親父。なんにでも怯えた親父は風がそよと吹くだけでも怖がった。昼間も煌々と明かりを灯すその姿。村の皆に笑われてなおやめることはなかった。
画像2 ある晩親父は明かりの備蓄を切らして真っ暗な部屋で過ごすことになってしまった。なれぬ暗闇に怯えて眠れもせず寝床でひたすらに時が過ぎ去るを待つ親父。ガタガタ、ギシギシと鳴る音が妙に大きく感じてたまらない。物の怪でも出たのかと震えて過ごす。しばらくの間そうしていたが、もしや戸口を締め忘れたかと勇気を奮い起こして暗闇に目を凝らす。空は雲が覆っているのか星あかりもなく、そも人の視線に怯えた親父は窓を閉じたまま。
画像3 そろりと寝床を這い出して手探りで暗闇に立つ親父。ジリジリと戸口へ向かうがさして広くもない部屋の端にたどり着けない。後ろを振り返るも暗闇に包まれ寝床かどこかもう分からぬ。道を失いどこともしれぬ闇の中を進みゆく。いつしか頭に鍋を被り手には大小刀。明かりを求めて先の見えない真っ暗闇を彷徨うのだった。どうして、なぜこんなことになったのかと怯えながら………
画像4 村人は日が昇りまた沈んで次の朝日が登っても親父がどこに消えたのか誰も分からなかった。

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