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あの夏の忘れ物。


旅館ってけっこうお客様のお忘れ物が多いです。

洋服、時計、ピアス、ネックレス、充電器などいろいろ。人生いろいろ。忘れ物もいろいろ。

そんな過去たくさんあった忘れ物のなかでも衝撃的だったのが

遺影。

故人が微笑む遺影でした。


なんでも、お父様が亡くなられて、四十九日法要を終えて一区切り付いたからと言う事でお母様と息子さんでお泊まりになられまして。

最期にお父様と一緒に旅行が出来なかったので遺影を持って御旅行されたそうです。

お食事の際にお父様の遺影も並べて召し上がられてたので、失礼かとは思いながら事情を聞いたらそうおっしゃってました。

お母様も息子さんも目に涙を浮かべながら話されていたので、僕もついついもらい泣きしそうになり。仲のいいご家族だなぁと思っていました。

そして次の日、チェックアウト後にお部屋に清掃に入ったら微笑むお父様の遺影がテーブルの上に置いてありました。

「お父さんと最後に旅行したかったのにね…。」

て涙声で昨日言ってたのに。


いや旅先にお父さん置いてけぼりやないかい!!!

昨日の涙返して!!!


お父さん笑ってる場合じゃないよ!置いてかれたよ!

すぐにお忘れになられたお客様に電話しました。


私「お電話申し訳ございません。お忘れ物があったのでお電話差し上げました。あのーお父様の遺影をお忘れになられてます。」

お母様「エッ?あっ!嘘っ!?ごめんなさい!すぐ取りに帰ります!」

電話から15分後、お客様は取りに戻られました。お母様は申し訳無さそうにして。

息子さんは爆笑してました。

何はともあれお父さん無事に戻ってよかったねイェイ!


あともう一つ忘れ物で。

これもちょっとお葬式関連になるんですけど。

ある日の朝に、予約の電話がかかってきました。

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