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耳は最後まで聞こえている。

父が倒れて意識が無い時、
看護師が言った。
「耳は聞こえてる。」

ほんとに。。。⁈ と思ったが
耳元でしっかりゆっくり話しかけたところ、
じいじは、
閉じた瞼をほんの少し強くつぶるようにした。。。ように見えた。
「なんか。。。聞こえてるみたいに見えましたよね?」と
そばにいた看護師に言ったら
「そういう風に見えましたね」と彼女は答えた。

その時はまだ、医師の説明では
今後の回復状態には幅がある、ということで、
まさか翌日亡くなるとは思ってなかったのだが、

翌日にはもう、話しかけても
聞こえてないかんじがしたので、

倒れた日、
あの日、あの時が
じいじの反応の最後であった。あの、 
ほんの少しだけ瞼を強くつぶったのが、
じいじの精一杯。。。
「聞こえてるよ。分かってるよ。」という反応だった。

耳は最後まで聞こえている、
それは、葬儀屋も言っていた。

「水曜日のダウンタウン」で
九死に一生を得た人の街頭インタビューやってて、
その中の一人が
長いこと意識不明だったが
奇跡的に回復して
元気になって 
医師を驚かせた、と言っていて、

彼も
「耳は聞こえてるんです。
 だんだん、指先からちょっとずつ動くようになって。。。」と言っていた。
だから、ほんとにそうなのだろう。
意識が無くても、耳は聞こえてる場合があるんだね。

あの時、じいじは
ワテの声を認識していたと思う。
あの面会。。。たった5分か?

一生忘れられん5分だ。

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