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やっかいな天使

今まで、2回天使に会ったことがあります。

1回目は27歳のころ

その天使は深夜の居酒屋で、完全に酔っぱらった70代のおじいさんという姿。煮しめたような色の服を着ていました。
独りでカウンターに座り、店全体の人に話しかけて店の人は苦笑い、周囲の人は、面白がっているような ‘しょうがないなぁ’ という空気感の中でした。

仕事帰り、同僚と焼肉のあと先輩と飲み直すのに店を探し、なぜかこの店だけ灯りがあり扉が開いていました。
「カップルは、な!正面じゃなくて斜めの位置に座ると良いんや!」
と、いきなり座る場所を決められ
「いや、カップルじゃないですが」
という反論も聞こえないふりされて座らされ、ビールも勝手に注文されましたw
周りのニヤニヤに居心地悪く感じても、まあ二次会なのでグイグイ飲んでおりました。

先輩がトイレに立ち。
「なんで付き合ってないの?」天使が叫びます。
「会社の先輩ですよ」私は愛想笑いです。

「じゃ、付き合ったらいいよ。いい夫婦になるよ。うん」

戻ってきた先輩は日本酒を頼み、そこそこベロンベロンになっての帰り道
「結婚を前提に付き合ってください」
と言いました。
飲んでの告白は真に受けず、タクシーに乗っけて手を振りましたが

結局結婚して、今も夫婦です。


2人目の天使は昨年のこと

ショッピングモールを歩きつつ、周囲を見渡しながら延々と実況しています。
70代くらいのおばあちゃまです。細く小柄で手編みの帽子と煮しめたような色の服を着ていました。
周りの人も一瞥して、遠巻きにするような感じで擦れ違います。
私が気になった商品を覗き込むと、同じタイミングでおばあちゃまが、その商品を見に寄りました。
いきなりおばあちゃまが私の手首を触ります
(!!!!事件!?)
「手仕事は良いよ。人は手を動かしてモノを作ってきたんだ。そうして色々豊かになる」
「そ、そうですね…」
怖くて誤魔化すようにその場を離れ

今は駆け出しのハンドメイド作家です。

もしかしたら他にも気付かず天使に会ってるのかもしれません。
でも、気付いちゃうと人生が転換してるので

なかなかやっかいです。

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